2人の仲が悪い理由 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私の職場の部下Aと部下Bは、
とても仲が悪いです。

部下Aは部下Bの、
神経を逆撫でする言動が多く、
そのために部下Bは、
とてもストレスを抱えています。

でも側から見ていると、
部下Aの部下Bに対する言動に、
特に悪気はありません。

人の言動をネガティブに捉える部下Bが、
部下Aの気遣いの無い言動に、
過剰に反応しているように見えます。

なので部下Aは、
なぜ自分が部下Bに嫌われているのか、
理解することが出来ません。

部下Aにはそのつもりは無いのに、
全てを悪意で受け止めているのは、
部下Bだからです。

2人の上司である私は、
部下Aの部下Bに対する苦情も、
部下Bの部下Aに対する苦情も、
両方とも聞くことになります。

2人とも私に対して、
相手への苦情が言いたくなるタイミングは同じらしく、
昨日、部下Bの苦情を聞いた私は、
今日は部下Aの苦情を聞くことになりました。

人に共感する能力が低いとか、
他人の意図を読み取れない、
などと言われるASD(自閉症スペクトラム)ですが、
ASDだからこそ、
2人が仲が悪い理由が、
私はとてもよく分かります。

それは、、、

相手を受け入れようとする気持ち

がお互いに無いからです。

50歳を過ぎている、
定型発達者の部下Aと部下Bの2人には、
それぞれ長い時間を共に過ごしてきた、
とても仲の良い友人達が存在します。

その友人達の中では、
長く付き合っているからこその、
共通認識というものが出来上がっており、
2人は友人達の中では、
意思の疎通に何の努力も必要ありません。

それが多分、
仇になっているのだと思います。

私に部下Bの苦情を言ってきた部下Aは、

「私の周りにはあんな人いなかった。理解出来ない」

と怒りを露わにし、
私に部下Aの苦情を言ってきた部下Bは、

「私の友人達はあんな思い遣りの無い言葉なんか言わない」

と悔し涙を流しました。

そんな2人を見ていて、

相手を受け入れないって怖いなぁ。

と、私は感じたのです。

私はASDの特性のため、
普通にしていると、
集団からはみ出てしまう人間でした。

思考パターンも定型発達者とは違うため、
自分が何故そのように考えるのか、
何故そのような言動を取るのか、
周囲の人間に理解してもらい、
受け入れてもらうためには、
とても多くの言葉と時間と根気を、
必要としました。

そんな経験から私は、

自分の中の当たり前は他の人の当たり前ではない。

ということを理解したのです。

そして自分の中の当たり前を、
相手に押し付ける行為は、
とても傲慢な態度だと思うようになりました。

だから私は社会に、

「ASDの自分」

という、
マイノリティを受け入れてもらうために、
自分自身も、
相手と自分の違いを、
理解出来なくても受け入れようと、
少なくても否定するのは辞めようと、
ずっと努力してきたのです。

それは自分が、
相手にそのような態度で受け入れられたかったからでした。

私の相手を理解しようとする気持ちは、
自分が理解されなかった経験があったからこそ、
生まれてきたものでした。

けれど定型発達者の部下Aと部下Bは、
そんな努力などせず、

自分と違うものは受け入れられない。

という態度で生きてきても、
気の合う人達が周囲に一定数いたために、
ちゃんと社会に溶け込んで、
生きてくることが出来たのでした。

気の合う人達とばかり交わってきた2人が、
50歳を過ぎて、
自分が今まで嫌っていたタイプの人間と、
コミュニケーションを取っていくのは、
きっと大変だと思います。

でも、それが出来なければ、
2人は仕事上で連携する事が出来ず、
業務上のミスが発生してしまいます。

そのような状況を防ぐために、
2人の間に立って仲裁している私ですが、
ASDだけでなく、
HSPの資質も持っている私は、
ずっと諍いの中にいると、
気分が悪くなって疲れ果ててしまいます。

今日も職場からの気分の悪さを引きずり、
家に帰ってきてからずっと、
ベッドの上で動けなくなっています(^◇^;)

でもね、私は思うのです。

マイノリティな自分で良かったなぁ。

って。

想像力や共感力が低かったとしても、
自分が経験した感情なら理解出来るし、
人に受け入れてもらえない心の痛みも、
自分のこととして感じることが出来るから。

そんな経験が無かったら、
ASDの私が人の仲裁なんて出来ないし、ね(笑)

定型発達者の仲裁をするASD。

社会経験を積めばそんな状況も、
起こってくるようになるのです^^