ASDが人と仲良くなる方法 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

今日は少し体調が悪かったので。

仕事を定時で終えて帰ろうと思っていたのだけど。

午前中に私にこっそりと、

「お時間のある時に話を聞いてください」

と言ってきた部下Bが、
独りで残業する様子が目に止まったので、

「今日は他の皆んなは定時で帰るみたいだから、
あなたさえ良ければ、今から話を聞きましょうか?」

と業務時間終了後に声をかけました。

すると、部下Bは、

「お願いします!!」

と二つ返事で返してきたため、
私は部下Bと2人きりで事務所に残り、
2時間ほど、
部下Bの話を聞いていました。

部下Bは自分の仕事の進め方が分からなくて、
ずっと悩んでいたけれど、
彼女に仕事を指導する立場にある、
主任という業務についている部下Aは、
仕事に悩んでいる部下Bに対して、
何のフォローもしてくれないと、
激しい口調で、
部下Bは私に訴えてきました。
(主任である部下Aは、係長である私の部下にあたり、
私>部下A>部下Bの序列になります)

私は部下Bの、
部下Aに対する溜まっていた不満を、
全て聴き終わると、
部下Bが反発しない程度に、
部下Aのことをフォローし、
部下Bが悩んでいた仕事に対する、
アドバイスを行いました。

幸い私はASD(自閉症スペクトラム)の、
拘りが強く真面目な特性から、
自分の部署が扱っている仕事について、
一般的な社員が知らない内容まで、
突き詰めて学んで知っていることが多かったため、
彼女が悩んでいる仕事に対しても、
アドバイスをしてあげることが出来ました。

仕事の進め方が分かった部下Bは、
ずっと悩んでいた問題の答えが分かって、
ホッとした顔をしてくれました。

体調的には少し辛かったけれど、
私は彼女の話を2時間聴いて良かったと、
部下Bの安心した様子を見ていて思いました。

こんなことを書くと、
何だか私が優しい人間のように思われそうだけど。

でも正直に言うと、
この行動は、
決して私の優しさから出た行動ではありません。

私はやはりASDの特性から、
自分の興味あること以外について、
あまり関心を払わずに生きてきました。

そして、そんな自分の態度を、
省みることはありませんでした。

でも、生きづらさを感じて、
心理学や心理療法を学ぶようになった時、
私は人間の、
ある心理を知ったのです。

それは、、、

ザイオンス効果(単純接触効果)

というものでした。

このような言葉で言ってしまうと、
何だか物々しく感じてしまうのですが、
要は、

人は会う回数が多いほど相手に好感を抱きやすい。

ということです。

言われてみれば、
何だか当たり前のことなのだけど、
ASDで人に対する関心が薄く、
その生育歴から愛着障害も併せ持ち、
人と関わることに多大なストレスを感じる私は、
なるべく人と関わらないように生きてきました。

そして、そんな行動を取っているクセに、
人と仲良くなりたいなどと考えて、
独りの自分に寂しさを感じていたのです。

とても矛盾していますよね。

でも私は、
ザイオンス効果を知るまで、
自分の中のこの矛盾に、
気付くことが出来ませんでした。

そして、このザイオンス効果を知ってから、
私は自分に出来るだけの範囲で、
人との接触を図っていくことにしたのです。

人に関心が薄くて人が怖く感じても。
それでも、やっぱり。
私は人と、仲良くなりたいと思うから。

そんな思考により行った、

「部下Bの話を聴くことに2時間を費やす」

という行為。

決して部下Bのことを思ってとった行動ではないことが、
お分かりいただけたのではないかと思います。

きっと定型発達者の人達は、
こんな思考など辿らなくても、
自然に相手の気持ちを慮って、
優しくしてあげることが出来るのでしょう。

でも、それは。
ASDの私には、
望んでも手に入らない能力だから。

私は自分に出来る方法で、
人と仲良くなっていくしかありません。

そして今日、
部下Bのために使った2時間のおかげで、
私は部下Bから、
感謝の言葉と信頼を受け取ることが出来ました。

受け取る結果が一緒なら、
自然に相手を思いやれなくても、
きっといい。

大切なのは、その行動。

ASDでコミュニケーションが苦手でも、
人との関わり方を学んで、
人と関わる経験を増やしていくことで、
きっと人と仲良くなっていけるのだと、
私はそう思っています(*^^*)