(1)オーラルテストとその評価基準

オーラルテストには通訳式オーラルテストとインタビューテストの2種類があります。私自身は、アメリカの日本語教育では1学期2回エクストラで行うオーラルテストに通訳式オーラルテストを使い、中間・期末テストのオーラルテストにインタビューテストを使っていました。

 

1)通訳式オーラルテスト

オーラルテストの1つ目は“通訳”で、テストされる生徒が真ん中で、その生徒の右左に“A:英語が分からない日本語母語者の役の人”と“B:日本語が分からない英語の母語者の役の人”がいます。日本語スクリプトを読むAの役は他の生徒でも良いですし(生徒を使う場合は、既にオーラルテストの終わった生徒を使います。ですので、このテストの1人目の生徒に対しては、先生が1人2役をするしかありません)、日本語のスクリプトを読む役を日本人の先生、英語のスクリプトを読む役をネイティブの先生にしてもらっても良いわけです。

 

以下、このタイプのオーラルテストの最初の部分と、“2人の共通の知人であるスミス夫妻ついて話す”と言う設定での会話の一部をご紹介します。

 

母親:「こんにちは。はじめまして」

通訳:Hello! Nice to meet you.

ゲスト:Hello! Glad to see you.

通訳:「こんにちは。お会い出来て嬉しいです」

母親:「あっ、靴は脱いでそちらにそのままにしておいて下さい」

通訳:Oh, please take off your shoes and leave them there.

母親:「どうぞお座り下さい」

通訳:Please, have a seat.

ゲスト:Thank you.

通訳:「ありがとうございます」

母親:「お飲み物はいかがですか?」

通訳:Would you like something to drink?

ゲスト:No, thank you.

通訳:「どうぞお構いなく」

<中略>

母親:「で、スミスご夫妻はアメリカに帰るんですね?」

通訳:So Mr. and Mrs Smith are going back to America, aren’t they?

ゲスト:Yes, next November.

通訳:「ええ、11月に」

母親:「スミスさんご一家の故郷はニューヨークですね」

通訳:The Smiths are from New York City, right?

ゲスト:Yes. Have you ever been there?

通訳:「はい。そこ(ニューヨーク市)に行ったことはありますか?」

母親:「ええ。夫と2年前に行きました」

通訳:Yes, I went there with my husband two years ago.

ゲスト:Which tourist spots did you visit?

通訳:「どの観光名所にいかれましたか?」

母:「セントラルパーク、エンパイアステイトビルと自由の女神を見て回りました」

通訳:We toured Central Park, the Statue of Liberty, and the Empire State Builing.

 

2)インタビューテスト

2つ目は、オーソドックスなオーラルテストであるインタビューテストです。1対1のテストが理想ですが、生徒数が多い場合は生徒が2人以上いる場合もあります。生徒と先生は相対して座ります(もしくは状況次第では立ちます。どこかに行くシチュエーションで座ったままでは不自然ですので)。先生はこのオーラルテストのシナリオ、それをサポートするビジュアルエイドを用意して来ていて、そのシナリオに沿ってテストを進めていきます。

 

以下、ドリルのクラスのシナリオドリルとインタビューテストの若干の違いを示す為に、オーラルテストの一部をご紹介します。

 

T: You are visiting your American friend Tom, OK?

(ポストイットのTomは先生に貼ってあり、先生がTom役であることを示してあります。Tomの部屋のドアのビジュアルエイドがあり、非試験者である生徒にドアをノックさせます)

T (Tom役): Who is it?

S: Shinji! (It’s me.も可)

(Tom役の先生がドアを開けるジェスチャーをします)

T: Oh, Hi! How are you?

S: Fine. And you?

T: I’m OK. Come in!

(ビジュアルエイドでTomの部屋がかなり乱雑であることを示します)

S: Hey Tom. Your room is very messy!

T: I’m very lazy. Have a seat.

S: Thanks.

(ビジュアルエイドでメガネがテーブルの下にある事を示します)

S: Oh, Your glasses are under the table.

T: Where?

S: They are under the table.

T: Oh, gee! I have been looking for them all morning. 

(Sである生徒がそのメガネをTom役である先生に渡します)

S: Here you are.

T: Thanks. By the way, I haven’t seen Yoko these days. What happened to her?

(アメリカの地図があり、Yokoは今ミネソタ住んでいる事を示してあります)

S9: Yoko moved up to Minnesota.

英語教育は、文法理解+スピーキングに2/3のエネルギーを使い、それを下支えにし、リスニング、リーディング、ライティングに残りのエネルギーを使う感じ。

リーディングでさえ、文法読解中心法での読みよりかなり伸びるようになっています。リスニングもライティングもそう。

では、20数人以下のクラスサイズの場合ですが、具体的にジョーデンメソッド援用法ではリーディングはどう扱っているか、例を書いてみます。

リーディングの内容について、英語でディスカッションを行います。スピーキングファーストで積み上げて来ているので、それは可能です。つまり、読みのセッションがリーディングのみならずスピーキング、リスニングの復習となりライティングの予習となっています。

英語のリーディングの教材(下のエッセイ)を生徒の机の上に置きます。生徒はその英語の教材には、日本語訳とかヒントとなるものは書きません。そして、既にクラスの準備としてそれを読んで来ていることを前提としてクラスを行います。

 

In Japan, when someone is about to take a test, or enter a sports event, or start a new job, it is customary for others to say to him, “Ganbatte!”, which translates roughly as “Work hard!” This would sound very strange in English. The usual English expression would be just the opposite: “Don’t work too hard,” or “Take it easy.” Americans would assume that anyone in such a situation would already be keyed up and wouldn’t need to be told to work hard. Instead, he would need to be reminded to relax.

So when my children were in Japanese elementary school, and would be starting out for a sports meet or to take a test, I would see them off from our house with “Ganbatte!” in Japanese, and “Take it easy” in English. Then they would pretend to walk out of the house horribly lopsided—all tensed up on one side, and hanging loose on the other. If their teachers had seen them, I don’t know what they would have thought.

(T=先生、S=生徒で、この場合も先生の3つの役割である“クラスルームのディレクター”、“会話相手”、“モデル”を区別して使い、より効果的なドリルを試みます)

T: Do you often use “Ganbatte!” with your friends?

 

S1: Yes.

 

T: I see. How about Yui? She may say “Ganbatte!” frequently to her friends.

 

S2: Maybe she does.

 

T: OK, ask Yui to find out.

 

S2: Yui, do you say “Ganbatte!” to your friends often?

 

(use “Ganbatte!” with your friendsとsay “Ganbatte!” to your friendsの違いは、前置詞withとtoの意味の違いで想像出来易いと思いますが、前者は“友人と「頑張って!」と言い合っている”感じで、後者は“友人に対して「頑張って!」と言う”感じです。こう言う細かいアイテムは、グラマーのクラスでカバーします)

 

Yui: I do.

 

T: When do you say “Ganbatte!” to your friends?

 

Yui: Well, when they take a test or . . . .

 

T: Or?

 

S3: When they enter a sports event or start a new job, I may say “Ganbatte!” to them.

 

T: I see. How do you translate “Ganbatte” into English according to this article?

 

S4: “Work hard!”

 

T: That’s right. What do American people say when their friends take a test, enter a sports event, or start a new job?

 

S5: They may say “Don’t work too hard.”

 

T: Interesting, isn’t it? Do you know another expression for this situation?

 

S6: “Take it easy.”

 

T: Which would you prefer to be said when you’re in trouble, “Work hard!” or “Don’t work hard!”?

 

S7: Maybe “Don’t work hard!” is better for me.

 

T: How about Takeshi?

 

S8: He may like “Don’t work hard!” better than “Work hard!”.

 

T: Ask Takeshi.

 

S8: Takeshi, which do you like better, “Don’t work hard!” or “Work hard!”?

 

Takeshi: I like “Don’t work hard!” better.

 

T: OK. Do you know the author’s name?

 

S9: Nancy Sakamoto.

 

T: Is she Canadian?

 

S10: No, she is American.

 

T: Is it possible to say “She is an American.”?

 

S9: Yes.

 

T: Which is more commonly used, “She is American.” or “She is an American.” ?

 

S11: I think “She is American.”

 

(ここで、Nancy Sakamotoさんの絵をビジュアルエイドとして使います。Nancy Sakamotoさんの特徴を生徒に述べてもらうため先生はその特徴を1つ1つ指で指します。この部分は前のドリルのクラスでカバーした“常に複数形の名詞”と“固有名詞にtheがつくケースとつかないケース”の復習でもあります)

 

T: Could you describe Nancy Sakamoto to us.

 

S12: She is wearing glasses. 

 

S13: She is wearing gloves. 

 

T: Where is she from?

 

S14: From America.

 

(“「米国」を他の表現で述べれば?”と言う意味のジェスチャーを生徒に示します)

 

S15: From the States.

 

T: From where in the United States?

 

(ミシシッピー州のビジュアルエイドを生徒に示します)

 

S16: From Mississippi.

 

T: Do you know the difference between Mississippi and the Mississippi?

 

S17: Mississippi is a State and the Mississippi is a river.

 

T: She is single, right?

 

S18: No, she is married.

 

(ここで、先週カバーしたmarryを使ったパターンをまだ覚えていかビジュアルエイドを使ってチェックします。Sarahさんの結婚や、結婚生活に関する情報が生徒に示されています)

 

S19: She married 10 years ago.

 

S20: She is married.

 

S21: She is married to Tom.

 

S22: She is married with two children.

 

(この時点で又Nancyさんの話題に戻ります)

 

T: She doesn’t have any children, right?

 

S23: No, she has children.

 

T: How many children does she have?

 

(この情報に関しては、リーディングのテキストには与えられていません)

 

S24: I don’t know.

 

T: Please ask Miwa. She knows.

 

S25. OK. Miwa, how many children does Nancy Sakamoto have?

 

Miwa: I don’t know, either.

 

T: OK, Ask Kenji.

 

Miwa: Do you know how many children Nancy Sakamoto has?

 

(ビジュアルエイドで、子供たちの数を示します)

 

Kenji: She has two children.

 

T: Are they high school students?

 

S26: No, they are elementary school students.

 

T: Are they in America?

 

S27: No, they are in Japan.

 

T: Nancy Sakamoto is American, so she may say “Take it easy!” to her children when they have a test?

 

S28: She says both “Take it easy!” and “Ganbatte!” to them.

なぜ純ジャパの中二の僕の生徒さんが英検一級の長文読解で満点だったか(全体で9割超)?

 

最大の理由は文法理解のスピーキング。母語と同じ。京大の青谷先生の本にもあるように、スピーキングは読みを下支え。それで始めて直読直解(本来のreading)が可能に。それ抜きだと読解(decoding)の遅い読みへ。一石二鳥。

 

その子には、ライティングは殆ど扱わず。2分間のスピーチをやれば、書いてもスムーズに書ける。つまり、スピーキングはライティングも下支えしている。で、一石三鳥。で今回の英検での書くも合格ラインを突破。

 

話せれば聞けるので、スピーキングはリスニングも下支え。やはり合格ラインを突破してた。何と、スピーキングは一石四鳥。

 

北米の然るべき日本語教育も、まさにこの一石四鳥の効率的手法で行なっていた。グラマー理解の上でのスピーキングをベースにリスニングや読み書きを積み上げる手法。他のスキルがお互いを予習・復習が出来るようになっている。この繰り返しが効率的習得の極意なわけです。文法・読み中心の手法の日本語プログラムより読みそのものもかなり上を行ってた。

中二の純ジャパの女の子ですが、今回英検一級を受験しております。

 

一次の発表が本日ありました。見事合格💮💮💮でした。

 

全スキル合格ラインを超えてました。リーディングは9割の正解率で、長文読解は満点でした!

 

英語命では勉強しておりません。週にせいぜい5〜7時間です。

 

ポイント:理解と繰り返し

 

1.グラマー理解のスピーキング(スピーチも1つ)
2.読み聞きは過去問のみ(問題が足りないのでTOEFLを援用)
3.ボキャビル

 

英検やTOEFL iBTは時事問題を考えたり、アカデミックな小教養が付くので良いですね。

実質1技能で教えている予備校の先生方(表面的にコミュ英語や書くを扱う場合も同様)、実質1技能で学んでいる生徒さんが、4技能の外部試験を導入されるのことが不安なのはもちろんだと思います。

 

野党の議員さんたちも、マスコミもそろそろ英語教育に関して、海外並みにアップデートしないと。感覚が、通信速度で言えば基本1Gのまま。他の国々は4Gにとっくの昔に移行しているのに。

 

『学習指導要領』は、他の国々がそうであるように4技能の習得レベルを上げることが目標ではありませんか?これが学校の英語教育の目的です。表面的にコミュ英語や書くを扱って、実質、文法・読みを中心に教育することではないわけです。

 

生徒たちの非常に偏った低い英語力から目を逸らさないで、そろそろしっかり向き合ってあげて欲しいです。

 

まじめに四技能の学習している生徒たちにあの非常に偏った英語力を低くする入試を押し付け続けるわけにはいかないと思います。非常に不公平です。

 

それと、英語教育の内容の差で、アジアの生徒たちと非常に英語力の差があります。この不公平をどうするか、、、そういった肝心な事に触れないで、反対のための反対ばかりするから、世間の英語教育に対する不信が大きいのだと思います。

 

英語教育の本で、議論でなぜ具合的なカリキュラムデザイン、実際のティーチングスキル、評価法がベースにならないのだろうか?日本だけの特異な現象だと思います。英語教育に関しては、日本は抽象論が圧勝ですね。

 

僕の友人なんかは、塾で英語教育が文法・読解中心から変わることを延々と待っている。コテコテの文法・読解法でないと進学塾は潰れます。なので、今でもこのタイプの塾の圧勝です。

 

文科省が変えようとすると、いつも高校と大学が潰しにかかるパターンは同じです。

このまま、彼は定年が来て引退ですかね。残酷物語ですね。

 

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3792762.html?fbclid=IwAR3PU8ye_xl_p-1zZJfN_TO9Ct0DH8DHFGgBI_sUtE4hdPTRGh8UoEcQrDw

 

僕は、情報収集でtwitterでよく「英語教育」で検索することがあります。生徒、元生徒、保護者たちからの英語教育に対する悪口が非常に多いです。

 

他の教科でトライしたことはありますが、これは英語教科だけの特徴で、掲示板では昔からある現象でした。文科省は毎年膨大な数の高三生の英語の4スキルのテストをしていますが、CEFRの初級中の下であるA1のまま。生徒・保護者の不満は仕方ないと思います。

 

で、今はその「英語教育」で検索すると英語の先生方の書き込みが非常に多くなっています。大学入試の英語の4技能化への反対の大合唱です。T大のA先生が本を出されたり、積極的に新聞その他で発言されたりで、その中でもオピニオンリーダー的存在。

 

以下、僕の勘違い部分があったらご指摘願います。統計的な数値の部分は具体的なエビデンスを必ず示していただきたいです。「HPにあった」とか「(ソースを明示していない)本に書いたあった」「自分の経験ではそうだ」では、エビデンスにならないですね。

 

日本の多くの英語教育本では、やはり生徒の英語力はCEFRのA1レベルを作り上げるしかないようになっていますね。

 

その理由は、このタイプの本の主張の中心に「英語は日本人には要らない」(もしくはそれに近い表現)というのがあるからです。つまり、英語の一部しかカバーしないわけなので。A先生の本にも日本人の「9割に要らない」とか出てきます。英語は要らないので、文法読み中心で良いんだ、もしくはA先生の場合は文法読み中心+リスニングで良いんだ、という主張につながっていると思います。

 

英語は日本語母語者には膨大に時間がかかる。A先生も、レファレンスとしてあげている他の本にもそう書いてある、とおっしゃっている。その「他の本」には、2400~2760時間のクラス時間が必要と書いてあったりします(サイトでも検索すれば同じか似たような統計が出てきます)。時間がかかる。よって、学校では文法+読解中心でよくて(A先生の場合はプラスリスニング)、それ以上は生徒の将来の必要性に応じて自分でやりなさい、ということ。

 

しかし僕がアメリカの院時代に教授からもらったことのあるコピーでは、FSIの統計では最難外国語の2400~2760時間の部分は超上級のことなんですね。0~5の6段階(CEFRのようにそれぞれキチンとレベル別の定義があります)あって、0が初級で1が中級、2が上級です。3~5が超上級。中級(かなり高いレベルです)だと普通レベルの履修者で480のクラス時間で到達できるわけです(そもそも、海外の英語教育ではやれてて、どうして日本だけ出来ないのか、、、海外で英語は必要ないという英語の先生がいたら、目が点になるでしょうね)。

 

今の高三生の英語力は初級の下という悲惨な結果ですが、単純に教育が一部の英語に偏っているから、入試も非常に偏っていて正に英語力が上がらないような鉄壁のシステムが出来ています。学習指導要領との著しいズレで、不公平、不公正極まりないテストを生徒に課すとこうなってしまう、当然の帰結だと思います。

 

「1目的ー>2その達成のためのカリキュラムー>3その評価」は言語教育のカリキュラムデザインのイロハでしょう。2と3で著しいズレがある。日本の英語教育現場が混乱し続けるのは当然です。

 

ともかく、中級レベル習得で480時間です。中学生にはもっと時間がかかるとは思いますが、それでも桁違いの時間はかかるはずはないと思います。

 

これから分かることは、日本の学校での英語の履修時間は膨大だということです。時間が足りないから、「コミュニケーション英語」のクラスの英文読解のクラス化、「英語表現」のクラスの文法のクラス化させる必要はサラサラないわけです。

 

「英語」という名前のプログラムなら、中学で4スキルをカバーし、高校でも4スキルをカバー、大学でも4スキルをカバー。右肩上がりで英語力は伸びます。ここにEnglish for Specific Purposes、つまり受験英語的な「特殊目的の英語」を持ってこられると、英語力はかなり落ちて行きます。単純に、英語の多くをカバーしないので。真面目に英語の4スキルの教育をやっている先生からすると、受験年で受験勉強させたら英語力は下がる他ないので、非常に苦しい状況です。

 

高三生の英語力は初級の下で、これ以下のレベルはないですから立派な「英語難民」です。で、入試の4技能化をめぐっては、南スーダン化して内戦のような感じですね。今の段階で反対すればするだけ混乱。そしていつも犠牲者は難民の生徒です。

 

大学の入試の4技能化に反対なら、言葉だけでなく実際のカリキュラム、クラス活動を示しながら、議論しないと保護者、生徒には分からないですね。保護者や生徒の意見を聞くべきだし、聞けるようにして欲しいです。主人公はあくまでも生徒です。で、今回の4技能の外部試験反対ならキチンと「具体的」な対案も示してほしいです。

言語教育は2つ

 

Fact vs Act

 

1. 前者はグラマー(英語について学ぶ)
2. 後者は英語を使う

 

ジョーデンメソッドはこの2種類のクラスのみで、運営しています。

読みのセッションは後者のタイプ。読みの内容について、英語で議論する。訳させることはゼロです。英語の「読み」で、実際に訳す経験をすることはまあないからです。

 

英語教授法もFactとActの2つ

 

1. 応用言語学の知見から学ぶ(Fact)
2. カリキュラムデザイン、実際のティーチングスキル、テスト制作を習得(Act)

 

1.はあくまでも2.を助けるもの。当然、主は2.です。

日本だけの特異な現象だと思いますが、英語教育に関しては抽象論が多くて、2.の具体的議論が少なくて、本当に残念です。

 

文化も2つ

 

1. Fact文化
2. Act文化

 

1. は美文化、技術文化、知識文化等
2. 言語を支えている文化 a language in cultureですね。cultureが英語に生を吹き込む。この行動文化というか言語文化というか、抜きで言語は成り立たないわけです。

中一の教科書。日本語と英語を簡単にパラレルに。これで良いかですね。

 

簡単にカバーするとミスリーディングになりやすいです。特に英語学習の最初の段階の場合、それがインプットされると延々と引きずる、ということなのでコンテクスト無しの日本語と英語のパラレル法は実はかなり不都合なことが。

 

ですので、僕は将来コンテクストベースのコミュニカティブなメソッド(ジョーデンメソッドが正にそれです)やりたいです。テキストブックを書いたのもそのためです。

 

Hello/Hi.は「こんにちは」とは限りません。「おはよう」「こんばんは」もです(Good afternoon.やGood evening.はよりフォーマルな状況)。(2)「やあ!」にも、(3)電話に出たときの「もしもし」にもなります。(4)身内や同居相手にも使えるところも日本語の「こんにちは」とは違う点です。

 

How are you?と「お元気ですか」はかなり使い方が違います。「お元気ですか?」はよく会っている間柄では使えませんが、“How are you?”は毎日顔を合わせていても使えます。

 

“How are you?”は、実際の相手の調子を聞いている場合は少なく、“Hi!”に続けて使うあまりに習慣化したあいさつ表現です。

 

Good night.は「おやすみなさい」とは限らないです。nightは外の暗い時間帯のことで、eveningも含みます(eveningは日が暮れてから寝るまでの時間帯)。「良い夜をね」という意味もあるので、夕方帰って行く同僚に使える表現です。むしろこっちの使い方の方が「おやすみなさい」より多いのでは。

英語は、今の中学一年でカバーしている文法アイテムが小学校5、6年に降りる感じになります。

 

と言うことは、今現在中学2年でカバーしているアイテムは中学1年でカバーすることになりますよね。

 

指導要領には文法項目は明示されてはいませんが、導入の文法アイテムは大体決まってますね。それをベースに検定教科書が作られ、英検の各級の範囲が決められる感じ。

 

その新中一の英語の文法項目は法助動詞(句)から名詞、副詞節まで幅が広くて凄いです。「使えれば」相当英語でコミュニケーションが出来ます。

 

第4文型も5文型もここで出てくる。比較、準動詞3つ全部出てくる。色々な疑問文のバラエティーもここでカバー。

 

おそらく、英語教育では中学一年が一番重要になりそう。

 

追記:

英検は分詞、関節疑問文などは3級、つまり3年次に導入してありますね。

コミュニティー内の犯罪についての質問に対して:

 

英語的ロジック:We don't have much crime in our community. (結論的で直接的)

「私たちのコミュニティーにはそんなに犯罪はありません」

 

日本語的ロジック:Our community is pretty close-knit, so we help each other. 

(説明的・婉曲表現的)

 

僕は海外生活が長いのですが、日本語母語者が日本語の論理の上に英語を乗っける癖が抜けず、ミスコミュニケーションが起こるところを散々見てきました。

 

グラマーの概念は、当然この面の言語ルール、言語文化も含まれまるんですが、、、。さすがCEFRは当然そう行った重要な言語面もカバーしてます。CEFRを使うのなら、学習指導要領の方向性もそっちに行かなければ、CEFRとの整合性がガタガタになると思いますけどね。

 

他の例:

 

英:This is very good. - I'm glad you like it.

日:「お料理お上手ですねェ」「いえいえ、Aさん程では。まあ、何もございませんがどうぞ」

 

平等を建前とする社会では、比較の表現は避ける方が無難。また、日本語の「何もございませんが」は、実際にはかなりのご馳走が出てくることすらある。

 

日本語では「~時頃に会いましょう」とか、「あれ5つほどください」といったふうに曖昧にすることで丁寧な響きを添えることが可能。英語ではこの場合でのこう言った曖昧さは避ける方が無難。

 

「5時にここで会おうよ」 Let's meet here at 5:00.

「あれ5つください」 Can I have five of those?