卵子が出難い方の刺激法のキーポイント | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 卵子がたくさん出る方の刺激法は、ある意味で簡単だと思います。

 卵子を多く採る方法を考えるより、いかにして卵巣過剰刺激を予防するかだと思います。いずれにしても、多く採れる方は、その内にうまく行く、という方向だと思います。

 

 問題は、AMHが低くてなかなか卵子が採れない、または、年齢が大きくてなかなか卵子が採れない、などの場合だと思います。このような場合どうしたらよいかと、どの施設でも悩まれていると思います。

 私のおこおなっている方法です。

 月経3日目ぐらいのエコーで、両側の卵巣を合わせて3-4個の小さな卵胞が見えれば、わたしは思い切って従来の刺激法を用います。卵胞数が少ないからと低刺激を用いるのではなく、ロング法やショート法で高刺激を行います。

 採れなくて元々ですから、もし5-6個の卵子が採れれば望外の喜びだと思います。意外と、少なめの卵胞数であっても多くの卵子が採れることがあります。やって損はない方法だと思います。

 私は、高齢の方や、極端に卵子の少ない方には、新鮮胚移植法を行いますので、卵胞数が少なくてもクロミッドは用いないようにしています。クロミッドの副作用で子宮内膜が薄くなりますから。

 私の場合は、卵胞の大きさが10ミリに近ければ排卵誘発剤を少量で長く続け、数個の卵胞をゆっくりと育てます。

 そうすることで1個だけが急に大きくなることなく、小さいものも含め数個が育つことがあります。

 卵胞は16ミリ以上になればHCGの効果がありますので、なんとか16ミリまで、複数個育てるようにします。

 もし卵子が採れれば、分割胚(採卵後2日目)で、できるだけ多く移植します。日本では、原則1個の胚移植と決められています。

 しかし、例えば45歳の方の出産率は日本産科婦人科学会の統計では、百分の一(1%)です。

 この場合、2個戻(胚移植)したときの双子率は一万分の一(1/10000)です。3個戻した(3個胚移植)ときの三つ子率は百万分の一(1/1000000)です。これでも2個、3個もどしてはいけないでしょうか。2個、3個戻せば、妊娠率は二倍、三倍に上昇します。海外では女性年齢に応じて移植可能個数が決められています。

 

 いずれにしても、私の考えは、できるだけ多くの卵子を採り、可能な限り妊娠率を上げるという方針です。

 殆ど起こらない多胎妊娠を恐れるより、なんとか妊娠していただくことが大切だと考えています。

 卵巣刺激においても、卵子が多く期待できない方に対しても、まずは十分に刺激をして、できるだけ多くの卵子を期待します。もちろん、うまく行かなければ、低刺激も行います。

 

 卵子の少ない方の刺激法、難しいですが、なんとか多くの卵子が採れるよう、頑張ります。