体外受精の始まりで大切なのは卵巣刺激です。
この刺激の方法で、どれぐらいの数の卵子が採れるかが決まります。
一番問題のないのは、卵胞の数が多くて、AMHの値の大きい方です。
このような方では、どのようにして多くの卵子を採るかより、どのようにして卵巣過剰刺激を起こさないようにするか、の方が難しいこともあります。いわゆるPCO(多嚢胞性卵巣)と言われる方については、当院であればAMHが10以上あれば、最初は未熟卵体外受精(IVMと呼ばれる)を行いますので卵巣過剰刺激はありませんが、普通の卵巣刺激であれば過剰刺激は必要だと思います。ただ、最近は効果的な薬剤もあり、そんなに重症化はしません。
卵巣刺激で難しいのは、卵子の数があまり多くない方です。AMHの値が2以下の場合で、小卵胞の数も少ない方は、刺激方法が成功へのキーポイントとなります。
私の場合は、できるだけ多くの卵胞を、同じような大きさに育てることを目指します。
卵胞の発育が遅いからと、やみくもに注射の量を増やすと、一つだけ大きいのが早く出てしまい、排卵が心配となり、早めに採卵せざるを得なくなります。
注射の量を増やさずに、小さな卵胞が大きくなるのを待つような刺激法が必要です。
患者様も、卵胞モニターの時には、エコー画像を見るように心がけてください。
卵巣刺激のコツは、すべての見えている卵胞を、ゆっくりと大きく育てることだと思います。
そうすることで、より多くの卵子が得られ、どの年齢の女性であれ、結果として妊娠の可能性が高くなります。