体外受精成功のカギについて講演をする機会がありました。
生殖医療の専門家150名以上が参加された会でした。
体外受精の卵巣刺激について、新しい排卵誘発剤について議論される講演会でしたが、これを機に体外受精成功のキーポイントについて考えてみました。
卵巣刺激:みなさまご存知のようにロング法、ショート法、アンタゴニスト法などいろいろあります。
どの方法が最適かは患者様の小卵胞の数やAMHの値、そして年齢が大きな要因となり決まります。以前に治療の経験がある方では、その時の状況によっても変わってきます。いずれにしても、どのような刺激法を選ぶかが、まずは何個の卵子が採れるかに影響します。患者様の状態に最適の刺激方法を選択する必要があります。
患者様も、どういう理由で今回の治療の刺激法を選択されたかを聞かれる方が良いと思います。
卵胞発育のモニター:採卵に向けての卵胞発育の超音波検査。これも大切です。大きい卵胞が早く出てしまうと、排卵の危険があるので早い採卵が必要となります。できるだけ同じぐらいの大きさの卵胞が育ってくれるのが理想です。
その辺は主治医の裁量に任すしかないですね。
採卵:これは大切な操作です。10個見えた卵胞から10個採れることもあれば、数個しか採れないこともあります。
多くても少なくても、納得できる理由があれば問題ないと思います。いつも多いとは限りません。ただ、私は「空胞でした」という説明はしません。最初から空の卵胞などありませんから。医師は、ときに「採れなかった」と患者様に説明すると、「腕が悪かったのでは?」とか「失敗したのでは?」などと思われると嫌なので、もともと卵子が入ってなかった、かのように説明することがあります。
卵子があっても状態によって採れないことはあるのです。その状態を説明すれば良いだけのことなのですが。
卵子は、いつも見えた卵胞の数だけ採れるとは、思わないでくださいね。時に多いことも少ないこともあります。
少ない時には、納得のできる説明を受けてください。
胚移植:これは「終わり良ければ総て良し」の諺通り、最後の胚移植がスムーズに終わるに越したことはありません。所要時間が短いことが、まずスムーズの目安です。痛み(これは個人差があります)も少ない方がスムーズと言えます。
ただ、時間が掛かっても肝心のところが短時間で終われば、スムーズと考えてよいと思います。
卵巣刺激、採卵、胚移植、この3つがうまく行けば良いことがありそうです。
ただ、胚の本質的な正常の割合は女性の年齢に掛ってきます。それは何ともできません。