不妊治療で出生、1割に:新聞記事 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

「不妊治療で出生、全体の1割に 保険適用が後押し」と題する新聞記事です。

 先のブログに関連するのですが、統計が発表される前に新聞紙上に出た記事です。

 

 少し長いですが、よく書かれているのでほぼ全文を載せます。(改変短縮)

 不妊治療で生まれた子どもが出生数全体の1割に迫っている。晩婚を背景に、2022年度からの保険適用の拡大によって利用者の裾野はさらに広がる。成功率は欧米より低く、仕事と両立しやすい環境整備を望む意見が目立つ。

 

 「保険適用でなければ体外受精まで進めなかった」「支払う医療費が減ったため気持ちに余裕ができた」当事者からの安堵の声が寄せられている。

 従来は検査や、不妊の原因が明らかな場合の治療にのみ保険を適用していた。2022年度に体外受精や顕微授精といった生殖補助医療、人工授精が対象に加わった。

 顕微鏡を用いて極細のガラス管で1つの精子を卵子に注入する顕微授精はそれまで数十万円の費用が必要だった。保険適用後は3割の負担で済む。

 医療費の自己負担をある一定額で抑える高額療養費制度を併用でき、収入状況によっては出費をさらに減らすこともできる。

 

 保険適用を拡大する前に実施していた不妊治療の助成制度を利用した人は21年度に13.6万人だった。2022年度に治療を受けた人は厚生労働省の調査で37.3万人に上った。単純には比較できないが、3倍近くに増えた。

 

 日本産科婦人科学会のデータをもとにした政府の集計では、体外受精と顕微授精で生まれた子どもの出生数全体に占める割合は2011年に3%だった。2021年には8.6%に高まっている。

 不妊治療で生まれた子どもの数は3.2万人から6.9万人に増えた。一方、全体の出生数は右肩下がりで、2023年には外国人を含む数で75.8万人と7年間でおよそ25万人減った。不妊治療で生まれた子どもの割合は上昇し続けており、1割を超えるのも間近とみられる。

 

 出生数は増えても、治療の成功率が欧米より低いという課題がある。米国や英国は2割を超える。日本は1割強にとどまり、10年前からほとんど変化がない。

 

 日本政府内には、少子化対策としての費用対効果の高さを訴える声がある。

 2022年度に保険適用された不妊治療に関連した医療費はおよそ900億円だった。「巨額の予算を投じる児童手当の拡充よりも効果的なのではないか」。経済官庁の幹部からはこんな意見も聞かれる。

 ある指摘では、保険の適用拡大を評価しつつも「女性の社会進出や晩婚化の影響で治療を受ける人は40歳以上が突出して多い」といった現状を説明する。治療開始が遅れると成功率は上がりにくく、出生率の改善への効果も限定的だとみる。

 保険治療には年齢や回数に制限がある。体外受精と顕微授精については40歳未満で6回まで、43歳未満で3回までとなっている。43歳を超えると保険は適用されない。

 

 見直しを求める声が広がり、2024年度の診療報酬改定でも論点になった。

 不妊治療は43歳を超えると成功率が5%以下に低下することから、制度変更は見送られた。治療の継続による夫婦への身体的な負担なども考慮された。

 女性の社会進出が広がり、晩婚化によって不妊治療の件数が増えているということであれば、保険適用の対象拡大などと並行して、女性が年齢に関係なく、出産も育児もしやすい職場環境づくりはこれから一層重要となる。

 以上のような記事です。

 

 体外受精の保険適用は患者様にとっては福音だったと思います。ただ、回数制限があるため、回数を使い切ると”燃え尽き症候群”のような気分になってしまうのかもしれません。もうやり尽くしたような感覚になられるのかもしれません。不妊治療、公正に考えてまだ可能性があるようであれば、早々に諦めずにもう少し続けていただきたいと思います。以前は何百万円と使われる方も多くおられましたから、あと少し投資されてもいいのではないでしょうか。

 

 アメリカでは1回の体外受精の費用が250万円以上(円安のため日本円にすると高くなります)が普通です。保険でみなさんがこんな費用で体外受精を受けられる国は、世界中に他にはありません。

 無料の国もありますが、無料であれば待ち時間が1年以上あり、150万円以上払えば直ぐにしてもらえる、など大きなハードルがあります。どこの国でも大変で、日本ほど平等に保険の使える国は他に無いと思います。

 

 この記事、少し長いですが、よく書かれているのでゆっくり読んでいただければ幸いです。