治療方針ステップアップの決断 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 どのような治療を受けるべきかは患者様の病態によって異なります。

 先ずは自然妊娠を目指し、卵管治療(おもに卵管鏡下卵管形成術:FTと呼ばれる、保険適用)からタイミングか人工授精に進みます。これでうまく行かなければ体外受精となります。

 

 このステップアップのタイミングが重要です。

 多くの医療機関で、ある治療法のテーブルに乗ってしまうと延々と同じ治療法が続くことがあります。

 患者様にとってもですが、医師にとっても同じ治療法を続ける限り、余分な説明も要りませんから仕事が楽に進みます。いわゆる、流れ作業になってしまいがちです。

 

 まして、ステップアップに消極的もしくは否定的な患者様にステップアップを促すことはエネルギーを必要とします。

 しかしです、体外受精でなくては妊娠の可能性が非常に低い方について、一般不妊治療で延々と続けることは非倫理的だと私は考えています。医師によっては、「患者様サイドが希望しないのだから、わざわざ労力を使って説得する必要はないのではないか」と言われるかもしれません。

 

 私の考えは違います。患者様が妊娠を希望されて治療を受けられているのですから、プロとしてたとえ少々の抵抗があろうとも説明すべきだと考えています。それでも患者様が拒否されれば、それは患者様の自己決定として尊重すべきです。

 

 しかし、私の今までの経験では、多くの患者様が「そこまで体外受精が必要だと誰も強く言ってくれなかった」と言われました。治療方針の変更についても、医師は自信を持ってプロとして患者様にお話しすべきだと思います。

 

 患者様の決断も大切ですが、決断を促すプロとしての医師の説明はもっと大切です。