子宮外妊娠の原因は。 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 子宮外妊娠の原因は何だと思われますか?

 それは妊娠の成立の過程を考えていただければわかると思います。

 

 通常は排卵された卵子が卵管内に取り込まれ、卵管の内腔の広い場所、卵管膨大部で、精子と出会い受精が起こります。受精した受精卵が卵管の中で分割しながら子宮の方に向かって進んで行きます。そして胚盤胞まで発育したころに子宮内に入ります。子宮内に入った胚盤胞が孵化をして子宮内膜に着床します。これで妊娠が成立します。

 

 ところが、卵管の中に癒着があって子宮内にうまく流れてゆかないと、卵管の中で引っ掛かり、そこで孵化をして、卵管の壁に着床することがあります。これが、一番頻度の高い子宮外妊娠、卵管妊娠、です。このような場合が一番多く起こります。ここに着床すると胎児が大きくなるだけのスペースが無いので、ある程度の大きさに育つと卵管が破れてしまします。こうなると時には大出血を起こし、命の危険もあります。多くの場合、卵管妊娠には手術の必要、それも緊急手術の必要があります。卵管を切除することが多いと思います。

 

 胚が卵管から子宮内に入る直前に卵管の子宮の壁を貫通する部分(卵管間質部と呼ばれます)に着床してしまうことがあります。これを卵管間質部妊娠と言います。この場合は、ときには子宮の一部を切り取る必要性が起こることもあります。

 

 胚が子宮の中に着床はするのですが、子宮の下部、子宮頚管と呼ばれる所に着床することがあります。これを、子宮頚管妊娠と呼びます。頸管妊娠は時に大出血を起こしますので、注意が必要です。

 

 胚が卵管ではなく、卵管の外にとび出し、腹腔内の腹膜に着床することがあります。これを腹膜妊娠と呼びます。

 腹膜妊娠は時に診断が難しいことがあります。経過については、個々により様々です。

 

 以上のように子宮外妊娠には様々なケースがありますが、その原因についてはまだよくわかっていません。

 卵管内の癒着だけが原因とは考えられません。その証拠に、体外受精後の子宮外妊娠の発生率は自然妊娠より少し高いぐらいなのですから。