なぜ、分割胚? | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 最近は、みなさん「胚盤胞、胚盤胞---」と言っているのに「どうして分割胚?」と不思議に思われると思います。

 

 その理由は、分割胚の方が、細胞1個1個は能力が高いのです。

 例えば、2分割胚や4分割胚であれば、個々の細胞がひとりの赤ちゃんを作る能力を持っています。ですから2分割胚や4分割胚が何らかの理由で発育途中で2個に分かれると一卵性双胎になります。

 先に書いたように、細胞1個でも赤ちゃん(胎児と胎盤の両方を作る能力を秘めている)になるのです。

 

 ところが、胚盤胞では、細胞1個では赤ちゃんにはなりません。既に細胞は30個以上に分かれており、その方向性も、胎児部分(胚盤胞の内部のかたまりの細胞)になるか、胎盤になるか(胚盤胞の外側の層の細胞)に分かれているのです。

 もちろん、胚盤胞全体が二つに分かれれば双胎になります。

 

 分割胚では細胞個々の能力が高いので、例えば4細胞胚の3個の細胞(割球)があまりよくなくても、1個の細胞が良ければ赤ちゃんになる可能性があります。

 

 いつも言っていますように、胚盤胞が育つ患者様は敢えて分割胚移植をする必要はないと思います。何回も胚盤胞移植を試みても、胚盤胞が育たない方では、一度、分割胚移植を試みられてはどうでしょうか。もちろん、複数個の分割胚を移植することに問題はありません。

 

 何度も言いますが、分割胚移植も捨てたものではありませんよ。