体外受精と言えば今や胚盤胞移植が主流です。
私自身も若い患者様で多くの卵子が採れる場合は、胚盤胞単一胚移植を標準的に実施します。ここにも書きましたように、多くの卵子が採れる患者様という但し書きが付きます。
それでは、近年どうして”胚盤胞単一胚移植”が標準的方法になったと思われますか?その理由は、日本産科婦人科学会が”移植胚の個数は原則として1個とする”とガイドラインに書かれているからなのです。海外では年齢に応じて3個から4個まで許容されるのですが、日本では女性年齢にかかわらす、1個を原則としているものですから、1個にせざるを得ないのです。とは言え、分割胚では35歳以上の女性では2個も許容されています。
単一胚移植であれば、妊娠率の高い胚を、ということで”胚盤胞単一胚移植”が主流となっています。胚盤胞を2個移植し、双胎になって出産時に問題が起これば、生殖医療の施設に跳ね返ってくることもあり得るのです。ですから、生殖医療のクリニックでは、怖くてなかなか胚盤胞を2個移植できないのです。
そこに保険の回数制限も加わり、単一胚盤胞移植が更に増加しました。
とは言え、保険の回数制限が出現したため、胚盤胞2個移植も増えてきています。2023年の統計あたりから双子の数も増えるのではと考えています。
また、同時に分割胚移植が置き去りにされている面もあります。
胚盤胞まで育たなくても分割胚までは、多くの患者様で発育可能なのです。
胚盤胞移植を目指し胚移植に至らない患者様でも、分割胚であれば十分に移植のチャンスのある方が多くおられます。
そして、分割胚移植でも、それなりの妊娠率が得られます。
その確率もそんなに捨てたものではありません。分割胚移植で2人以上のお子様を持たれている方も多くあります。
分割胚移植も捨てたものではありません。あまり、胚盤胞移植ができないようであれば、分割胚移植も考えてみてください。なんたって、昔はすべて分割胚移植だったのですから。