卵子凍結、少子化対策に有効? Netニュース | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 東京都が卵子凍結に助成金30万円を出すということで、卵子凍結が話題となっています。

 都は卵子凍結を受ける女性に30万円を助成するだけでなく、卵子凍結に対して有効な労働環境を整える企業に対しても助成金を提供するということです。

 都が提供する助成金を受けるためには、卵子凍結に関する説明会を受講しなければならないのですが、説明会の受講希望者が5000名を超えたと書かれていました。われわれ生殖医療の関係者も、東京では体外受精を受ける方の数に近い、卵子凍結のための採卵件数があると聞いています。東京での卵子提供件数が助成金のためにそんなに多いとなれば、東京以外の女性は卵子凍結という面においては不平等なのではないでしょうか。

 それでは卵子凍結が少子化対策になるでしょうか。

 卵子凍結は、凍結される個人にとっては、将来、40歳を越されてもお子様を持てる可能性が残るとしても、少子化対策には全くならないと思います。というのは、凍結卵子からの出産率は驚くほど低いからです。現在のところ、卵子凍結でおひとりのお子様ができるには、15-20個の卵子が必要と言われています。若い方(35歳未満)からでも15個以上の成熟卵を凍結しようとすれば、1回の採卵では難しいと思います。そうすれば、どうしてもおひとりに対して2回以上の採卵が必要となりますが、都のような30万円の助成金があっても(おひとり1回しか受けられません)、2回目の採卵は自費ということになり平均でも50万円近いお金が掛かると思います。結果として皆さんが15個以上の卵子を凍結することは難しくなり、少子化対策にはまったく結びつかないと思います。それよりも子供を持ち易くする社会体制を整備して、カップルが少なくともお二人のお子様を持てる状況を作ることが大切だと思います。

 

 このような社会体制が構築できないとすれば、政府として卵子凍結に対する助成が必要だと思います。東京都民だけが助成金を得られるのではなく、国民全体にもその恩恵にあずかる権利があると思います。

 

 大阪は実質的に日本第二の都市なのですから、東京都に引く続いて、卵子提供に助成金を出すべきだと思います。

 先ずは大阪市が、続けて大阪府も卵子凍結に対する助成金制度を設けてほしいと思います。

 みなさま、いかが思われますか。