生殖医療ガイドラインについて | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 私たちの生殖補助医療は日本生殖医学会が定める生殖医療ガイドラインに基づいて行われています。

 体外受精が保険適用となるにあたり、厚生労働省の依頼で日本生殖医学会が編纂したものです。生殖補助医療で行う様々な治療や技術について書かれています。

 

 日本のガイドラインが海外と違う大きな点は、日本のガイドラインでは、それぞれの技術について推奨度の強さに応じておおまかに、A.強く推奨する、B.推奨する、C.考慮する の3段階に分けられています。

 海外のガイドラインでは、項目により”推奨されない”と評価されます。

 

 この違いは日本の文化に影響しているように思われます。海外では”ダメなものはダメ”とはっきり定義されるのですが、日本では、このようなあいまいな表現を用いることで、現実にその技術を使っている医師が悪く言われないようにとの配慮で、以上のような3段階に分けられています。

 

 私個人としては、患者様が希望される技術であっても、効果が証明されていない場合には「ガイドラインで推奨せず」となっていますからとご説明できるのですが、日本のように”使ってもいいし、使わなくてもいい”(考慮するの場合)という表現であれば、患者様の方も「じゃ使っていただけませんか」というようになります。また、他の医療機関でその技術で治療を受けられていた場合に「当院では使いません」といった時に、「どうしてやってもらえないのですか」と怒られる場合もあります。

 そのような時でも、ガイドラインに「推奨せず」と記載されています、とお話すれば納得されると思います。

 

 また、その内容についても、海外で「推奨されない」と記載されている多くの項目がC評価で記載され、ほとんどのクリニックで実施されています。健康保険に適用となるのは、B評価までと言われていたのですが、C評価でも保険となっています。先進医療についても同様のことが起こっています。

 

 2024年4月には生殖医療のガイドラインが改定されるそうですから、是非そのあたりも海外のガイドラインと合わせていただきたいと思います。そうでないと日本の生殖補助医療のレベルに疑問を持たれるのではと心配です。