何故、自然周期凍結胚移植が少ないか? | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 日本では自然排卵周期の凍結胚移植がほとんど行われていません。当院で凍結胚移植を受けられた方は、ほとんどが自然排卵周期です。自然排卵周期であれば薬剤服用の必要がありませんから、もちろん薬剤の副作用もありません。超音波で卵胞を見るだけなので身体にかかるストレスはありません。来院回数が増えるとは言え、通常は2回以内の来院で済んでいます。

 自然排卵周期の凍結胚移植の方が妊娠中の合併症や出産のトラブルも少ないことが分かっています。

 ではどうして日本でホルモン補充周期が圧倒的に多いのでしょう?

 実は、この理由は医療機関側にあるのです。ホルモン補充周期ですと胚移植の日を移動させることができるので、土日、祝日の胚移植を回避できるからなのです。凍結胚移植法の良し悪しや、患者様の身体への負担を考えたものではなく、医療機関の都合でホルモン補充周期を行われていることがほとんどです。

 もちろん、一部の医療機関ではホルモン補充周期の方が妊娠成立や維持に有効であるという信念に基づいているところもあるとは思います。

 当院は自然排卵周期が妊娠成立にも効果的で、患者様の身体的負担も少なく、妊娠中や出産時の副作用も少ない、という信念に基づいて長年、自然排卵周期の凍結胚移植を行っています。もちろん、土日、祝日にも胚移植を実施しています。ずっとこのようにしてきたのですが、近年世界的にも自然排卵周期の融解胚移植の有効性が世界でも評価されています。というよりは”ホルモン補充周期の融解胚移植はしない方が良い”の方向になってきています。もちろん、排卵が起こらない、卵子提供胚、遠距離で卵胞観察が難しい、などの場合はホルモン補充周期で問題はありません。

 もし、これから凍結融解胚移植を受けられる方がおられれば、可能であれば自然排卵周期をお勧めします。楽ですよ!