こんにちは!Kinoshitaです。
最近は東京、愛知、神奈川からの受診お問い合わせを多く頂いております。
遠方からの場合、今後の受診回数や治療プランについて不安な点もあると思います。
当院では体外受精カウンセリング/セカンドオピニオンを無料で行っておりますので詳しい治療内容についてお聞きになりたい場合はお気軽に当院ホームページからご予約をお取り下さい。
それでは本日の内容に入っていきます。
全国で多くの方が悩まれている問題だと思います。
少しでも皆様の参考になれば嬉しいです
以前にも書いている、
”胚盤胞にならないと妊娠しません”と言われた方いませんか?
https://ameblo.jp/ivf-kinoshita/entry-12415207702.html
と共に読んで頂けたらと思います。
今回のラボの内容が理解できれば、
胚盤胞も初期胚も移植できるご夫婦に合わせた最善の環境を作る大切さがわかって頂けると思います。
不妊外来だけでなく、ラボ業務にも実際に関わる医師だからこそお伝えできることもあります。
ラボの中で行われる体外培養について正しく知りましょう。
まずはじめに!!
“生殖補助医療(ART)”において未だに達成されていないラボでの課題があります。
それが・・・
体内での受精の環境を正確に再現した体外受精培養液の開発です。
え!!って思いませんでしたか。
そうです。
体外培養が体内を上回っているという考えを持つ以前に、
体内環境をそのまま再現することさえ、まだできたわけではありせん。
例えば、
体内に存在するが、市販されている多くの培養液に含まれていない成分にサイトカインがあります。
体内での受精では、受精卵は卵管の中を移動し、子宮に入って着床するまでサイトカインにさらされています。
サイトカインって何してるの??
→2つ覚えておきましょう。
①受精卵自ら受精卵の遺伝子の発現を調整し、ストレスから胚を守ることで細胞の発生を助けている。
(※詳しいことが知りたい人は読んで下さい。※は読み飛ばしてもOKです。
※サイトカイン何してる①の面白いところは、サイトカイン自身は細胞分裂を直接刺激することがない。
※P53誘導アポトーシスによる細胞死を防ぐことにより細胞発生を助けています。
→簡単にいうと細胞発生に直接は関与しないけど、細胞が死にすぎないようにコントロールしてるんです。)
②サイトカインは受精卵と母の組織の間の情報伝達を調節しています。
サイトカインは受精卵にとって良い環境を作るべく着床が成功する可能性を最大に高めているとされています。
・体内の培養では
サイトカインに受精卵を暴露すると、胚発生能力が改善されるというエビデンスまで報告されています。
(論文:Hardy K, Spanas S. J Endocrinal 2002; 172:221-236)
(論文:Richter KS. Curt Opin Obset Gynecol 2008; 20:292-304)
・体外発生胚は体内発生胚よりも発生速度が遅く、また細胞数も少なくなる。母体組織から分泌されるサイトカインが非常に重要となる。
(論文:Richter KS. Curt Opin Obset Gynecol 2008; 20:292-304)
体内の培養の場合、発生中の胚は着床に至るまでに卵管および子宮の細胞から放出される各種のサイトカインにさらされます。
難しかったかもしれないですが、図でまとめると。
(Kinoshita コメント)
サイトカインというものが妊娠に関わる1つの大切な要因なんだなくらいはわかって頂けましたか?
妊娠はこういった大切な要因が複雑にたくさん絡み合いながら達成できるのです。
その1つであるサイトカインでさえ未だに体外培養では完全再現できていません。
体外培養は日々進化しています。
今後、さらに体外培養中にできることも増えてくるでしょう。
しかし、2019年の体外培養はまだまだ完璧ではありません。
移植も大事な不妊治療の一つです。
ご夫婦の受精卵に合わせた多くの移植選択肢を持つことが大切です。
もし胚盤胞にならないから、移植がずっとできていない(泣)
という方がいらっしゃるのであれば現在の体外培養の限界を正しく知り、今と違う選択肢があることを知ることも大切なことだと思い今回のブログを書くことにしました。
1回の採卵で胚盤胞も初期胚も狙える採卵をすることは選択肢を広めます!
さらに良い体外培養を作るべく私たち生殖医療のプロも努力を続けます。
頑張っておられる皆様にもぜひ選択肢の多い不妊治療を受けて頂きたいなと思っています。
医療法人 木下レディースクリニック
不妊治療は選択の連続です。
皆様が想像している以上の選択肢が不妊治療にはあると思います。
広い視野を持って自分達の体に合う治療選択肢を持つことが何よりも大切だと当院は考えています。
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