こんにちは!
胚培養士O です☺
受精卵には、卵子(お母さん)由来 の染色体と精子(お父さん)由来 の染色体が存在し、それぞれが前核 とよばれる核を形成します。
前核 の中にはよく見ると核小体 と呼ばれる小さな丸い粒が確認できます。
この核小体 を観察すると、前核 が接している面に集合しているものと、前核内にバラバラ散らばっているものがあることが分かります
↑集合タイプ
↑バラバラタイプ
近年、この核小体 の分布と、核内の染色体 の分布が一致するという報告がありました。
核小体 が集まっている、すなわち染色体 が集まっている方が染色体の分離異常を引き起こしにくいと言われています。
そこで私たちは、核小体の分布 を見ることによって、胚を傷つけることなく染色体異常 を持った胚を見つけることができるのではないかと考えました。
2023年の日本臨床エンブリオロジスト学会 において核小体分布に関する発表を行いましたが、先日の日本卵子学会において新しいデータを発表しました✏
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今回の研究では、当院でPGT-Aを行った胚盤胞のタイムラプス映像を用い、前核期の核小体分布を一つ一つ観察しました。
過去の論文から、核小体が集合しているタイプは分割期胚における異数性の割合が低いということが明らかになっており、私たちは胚盤胞においても異数性の割合が低いのではないかと考えていました。
しかし!統計解析を行ってみると、核小体の分布によってPGT-Aの結果に差はみとめられない ことが分かりました。
すなわち、核小体を見ても胚盤胞の異数性を予測することができない ということになります。
これは、胚盤胞に至るまでに染色体異常胚は発生が止まってしまう(淘汰される)ため、胚盤胞まで発生した胚に関しては異数性の発生頻度が変わらないと考えられます。
しかし核小体が集合しているタイプは胚盤胞になりやすいということが分かっているので、結果的には正倍数性胚の割合が高いということが示唆されました。
今後も当院は学会で新しいデータを発信していくとともに、情報収集も積極的に行っていきます☺
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