こんにちは!
胚培養士のTsです。

今回の【胚培養士のお仕事】は、シリーズ全12回のうちの11回目です。

今回の【胚培養士のお仕事】では、胚移植について紹介したいと思います。



 

移植胚は患者さんの子宮内膜が整うまで凍結保存され、胚移植に合わせて融解を行っています。

例えば、分割期胚を移植(Day3移植・Day2移植)する場合は、前核期胚を融解し、インキュベーター内で数日培養を行って分割期胚に成長した受精卵を移植しています。
また、胚盤胞移植の場合は胚移植当日に融解を行っています。


胚移植は、患者さんがOPE室に入室され準備が整ったところで、移植胚が培養室から医師へと渡され、子宮内へと戻されます。
医師、胚培養士、看護師、メディカルアシスタントそれぞれが協力し合うチーム医療で胚移植を行っています!


それでは、培養室にある移植胚はどのようにOPE室へ移動するのでしょうか?
培養室はOPE室の隣に位置しており、移植胚をOPE室へと移動させるPass boxという通り道があります。
【胚培養士のお仕事】~採卵・検卵~」でも紹介しましたが、胚移植でもPass boxを使用することで、素早く・安全に胚をOPE室へと運ぶことができます


 

(写真では、矢印で示された場所がPass boxです。Pass box越しにOPE室が見えていますね)



胚移植では医師が子宮の中に胚が入ったカテーテルを入れて、胚を戻しています。
この時患者さんにもエコー画像を見ていただきながら進めています。
エコー画像、よくわからないなあと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、医師協力のもと、胚移植時のエコー画像について簡単にご紹介します!


 
仰向けになった女性の体の子宮と膀胱は、上のイラストのような配置になっています。
(上が腹側、下が背側です)


これをふまえてエコー画像を見てみましょう。

 

左が胚移植時の子宮とカテーテルの位置を示したエコー写真です。
この写真だけではわかりにくいので、右側に解説をつけた同じ写真を載せています。
胚の入ったカテーテルは青の線で描かれています。


 

この写真は胚を子宮内に戻した後の胚の場所を示したエコー写真です。
とても見えづらいですが、図のオレンジ矢印で示された小さな点が胚を戻した場所を示しています。

エコー写真について少しでもわかっていただけましたか?



胚移植は採卵から始まった体外受精の最後のプロセスとなります。

お預かりしている大切な受精卵を安全に・確実に患者さんにお戻しできるように、様々な工夫を行っています。


「妊娠」という結果につながるように、スタッフ一同で皆さんをサポートします!



【胚培養士のお仕事】シリーズ最終回となる次回は、これまでのまとめをお送りします

【胚培養士のお仕事】シリーズは毎週末に更新を予定しています。

次回もお楽しみに!



培養研究部 Ts
医師部 HY


今後、名古屋クリニックでは3階を一部改装する予定です。
そのため改装後には胚移植の流れが今回の記事から一部変更になる可能性があることをご了承ください。