こんにちは!
胚培養士のTsです。

今回の【胚培養士のお仕事】は全12回のうちの7回目です。


ところで、皆さんは受精卵がどのように成長するかご存知ですか?


受精卵が分割していくところまでは想像できるけど、そのあとはどうやって胚盤胞になるかわからない!
報告書に書かれている胚の評価についてもっと知りたい!


【胚培養士のお仕事】では今回から3回に分けて、受精卵の成長と胚培養士が行っている胚の観察・評価について紹介 します。
きっと皆さんの疑問も解決するはず……!?


ということで、今回の【胚培養士のお仕事】のテーマは、受精卵の成長 ~培養1日目~ です!


 

体外受精によって得られた受精卵は1日~7日間、体外で培養を行います。
胚移植・凍結に向けて複数個の受精卵を体外で培養するとき、最も状態の良い受精卵を選択するために観察が必要 となります。
当院の観察は受精操作翌日を1日目として1・3・5・6・7日目に、受精卵の成長段階に合わせて評価 を行います。



○培養1日目 

培養1日目 (受精操作を行った翌日)では、正常に受精しているかどうかの確認を行います。

受精卵の様子を観察し前核の数を数えることによって、正常受精卵、異常受精卵、未受精卵、その他受精卵、変性卵に分類します。

 

正常な受精卵の場合は、精子由来の雄性前核と、卵子由来の雌性前核の2つの前核が見えます。 
前核期で凍結できる胚は、正常受精卵(前核が2つある胚)のみ となります。

当院では前核が1つの受精卵は正常受精卵の可能性があるため、培養を継続しています(受精確認メールでは、前核が1つの受精卵はその他受精卵に含まれています)。
採卵翌日にお送りしている受精確認メールの内容、その他受精卵について知りたい方は以下の記事でイラストを用いて解説していますので、ぜひご覧ください!
【簡単解説】その他受精卵とは
【簡単解説】その他受精卵とは②


ちなみに、前核は受精後22時間程度で融合して1つとなり消えてしまうのですが、従来の観察では観察時の評価しかわからないため、もともと2つあった前核が消えた状態なのか、そもそも受精していないのかを区別するのは困難でした。
そのため当院では、受精確認にタイムラプスインキュベーターを用いることで、前核の出現・消失のタイミングを逃さないようにしています。 
(タイムラプスインキュベーターについては「次世代タイムラプスインキュベーター 」で詳しく紹介しています!)




次回の【胚培養士のお仕事】では、受精卵の成長 ~培養3日目~について紹介します。

分割している胚は3種類の観点から評価しているんですけど……
なんと組み合わせは160種類以上!?


【胚培養士のお仕事】シリーズは毎週末に更新します! 

次回もお楽しみに!