最終回、公布式を終えてソイの亡骸と対面したイド。
言葉で聞くことができなかったソイの気持ちを、思いがけず知ることになります。
過去に書いた「新世界」はプロローグだとしたら、
「この世界が終わっても」はエピローグになります。
「この世界が終わっても」はエピローグになります。
公式ガイドブッグでイドソイの関係性をしっかりと確認することができたので安心しました。
「男女間の愛よりも深い精神的なロマンス」まさにコレです!コレなんです!
※この記事は韓ドラが好きすぎて、
ひたすら個人的に楽しむために書いた二次創作品です。ご了承ください
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「この世界が終わっても」
「こんな冷たい所に…すまないな、ソイ」
埋葬の準備が調うまで、ソイの亡がらは石畳の部屋の一室に安置されていた。
桃のような赤みを帯び、やわらかかった頬。
今はもう、冷たく固い。
触れた手から、ソイの体はイドの体温を奪っていく。
人払いはした。
思う存分泣くこともできる。
だが、涙は出てこない。
もう、涙は枯れ果てていた。
ソイの胸に耳を当ててみる。
「ムヒュルもそなたの元へ行ったぞ…」
彼の心音もこうして確かめた。
だが、ムヒュルと同様、ソイの胸からはなんの音も聞こえなかった。
多くの人を失った。
大事な部下たち、息子、そして…
「ソイ」
「そなたは余の片割れだった。余が傷つき、削がれた部分を埋めてくれたのがそなただった。
そなたもそうであっただろう?我々は2人で1人だったのだ」
そなたもそうであっただろう?我々は2人で1人だったのだ」
イドはポツポツと語りかける。
動かなくなった、大事な人に―
イドとソイはお互いに唯一の人だ。
愛情…、そんな簡単な言葉で済ませられる縁ではないことはとうの昔に気付いていた。
片割れを失った今、明日の自分すら想像できない。
「そなたを…ムヒュルを失って、余はこれからどう生きていけばよいのだ…?」
労うように、ソイの艶やかな髪を撫で、耳から首、肩から胸元に優しく手を滑らせると、
懐に小さく固い物が手に当たった。
懐に小さく固い物が手に当たった。
先程胸に耳を当てた時にも、そういえば何かの感触があった。
イドはソイの衣の懐に手を入れると、奥深くに細かく折りたたまれた紙を見つけた。
大事に、隠すように、しまわれていた紙。
丁寧に広げてみるとそこには見覚えのあるソイの筆跡で文章が書かれていた。
いくつか文字の書き損じがある。
文(ふみ)の下書きのようだった。
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王様
私はカン・チェユンと二人で残りの人生を歩むと決めました
ですが、もう王様とお会いすることはないかと思うと
筆をとらずにはいられませんでした
ですが、もう王様とお会いすることはないかと思うと
筆をとらずにはいられませんでした
無礼にも石を投げた幼い私を許し
宮中に置いてくださった御恩を一生をかけて返すつもりでしたが
王様がカン・チェユンと行けと仰るのでそうすることにします
宮中に置いてくださった御恩を一生をかけて返すつもりでしたが
王様がカン・チェユンと行けと仰るのでそうすることにします
王様が作られた文字を読み、書きつづる民達の姿を
王宮の外に出てみることのできない王様にかわって
カン・チェユンとともにこの目で見てきます
王宮の外に出てみることのできない王様にかわって
カン・チェユンとともにこの目で見てきます
文字創製に関わり、ひときわ大事にしてくださったこと
この文に書ききれないくらい、心から、心から感謝しています
この文に書ききれないくらい、心から、心から感謝しています
王様は私にとって世界そのものでした
この世界から離れて暮らすことは少し心配ですが
同じ空の下で王様が健やかでいらっしゃることを願い、日々を暮らしていくつもりです
同じ空の下で王様が健やかでいらっしゃることを願い、日々を暮らしていくつもりです
王様
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最後の文章は墨で黒く塗りつぶされていた。
「ソイ」
暗号で隠したのではない。
それは、女官の身分では決して書いてはならない言葉だった。
「分かっている。わざわざ書かなくとも…分かっている」
組まれたまま動かないソイの手を優しく撫でる。
「そうだ、これも愛だ。余も、そなたを愛している」
ソイは、いや文字創製に関わった誰もが、公布式を無事に終え、
王の前で再び集うことを思い描いていた。
王の前で再び集うことを思い描いていた。
ソイはすべてを見届け、カン・チェユンと宮殿を発つ日に王に渡すための文をしたためていたのだ。
『この世界から離れて暮らすことは少し心配ですが、
同じ空の下で王様が健やかでいらっしゃることを願い、日々を暮らしていくつもりです』
同じ空の下で王様が健やかでいらっしゃることを願い、日々を暮らしていくつもりです』
イドは自分の懐から1枚の布を取り出す。
ソイが命がけで書いた解例のうちの1枚。
「そうだな…そなたはここにいる」
ソイの文と解例を抱きしめる。
「ずっと言ってきたではないか、ソイ自身が解例だと。
余の文字とともに、これからもそなたは余のそばにいるではないか…」
余の文字とともに、これからもそなたは余のそばにいるではないか…」
ソイのいない世界。
だが、解例になったソイはいつまでも王のそばにいる。
歩みを止めるものか。
世界を止めてなるものか。
明日の自分すら想像できない、だと?
ソイのいない世界であろうと、
ムヒュルのいない世界であろうと、
生きていくしかないのだ。
王なのだから。
文字は公布とともに民のものになった。
イドは解例を本としてまとめて発行したのは数年後のこと。
命をかけてソイが書いた布は、始祖解例としてイドが生涯大事にしたという。
(了)
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ソイが解例として存在し続ける、というなんだか最終兵器彼女みたいになってしまいましたが、
最愛のソイとムヒュルを失って、イドはどう再起を果たしたのか、という隙間を埋めてみました。