ジリリリン!!
目覚ましの音で僕は飛び起きた。
時計の針を見ると慌てて身仕度を始めた。
朝食を食べてる余裕などない。
(この目覚まし、いいかげん買い替えどきだな)
そんなことを考えつつも僕はかなり焦っていた。
何故なら今日は最近知りあって付き合い出した彼女との実質的な初デートの日だ。
朝8時にベルが鳴るようにセットした筈なのに
現在時計の針は10時5分を指している。
今までは僕の仕事のほうが遅くなることがほとんどだったので、
彼女が僕の会社の近くで待ってくれていた。
ふたりで待ちあわせて昼間から会うのは今日が初めてだった。
なので、絶対に遅刻するわけにはいかない。
ひととおり支度が終わり、いつも身につけている腕時計をさがすが
こんな時に限って見つからない。
慌ただしく棚やベッドの下に目をやってもどういうわけか見当たらない。
最後に机のひきだしの奥を手探りしてみると、懐かしい金色の腕時計が出てきた。
僕は急いでその時計をはめて家を出た。
今からなら待ちあわせの11時に何とか間にあう。
途中の電車の中で金色の腕時計の時刻を携帯で時報を聞いて合わせた。
この時計は今は亡き僕のおじいさんが就職祝に買ってくれたもので、
アンティークな今どき珍しい手巻き時計だ。
金色だが奇抜さは感じさせないシンプルで落ち着いたデザインは、
年をとってもお洒落さんだったおじいさんらしい贈り物だ。
しばらく感傷に浸っていると待ちあわせ場所の駅へ着いた。
僕は走って彼女が待っている筈のコーヒーショップへ向かった。
そして店の前まで来て時計を見るとちょうど11時だった。
店へ入って店内を見渡してみたが、まだ彼女は来てないようだった。
僕はコーヒーを注文して店内へ入ってきたらすぐにわかる席に座り
彼女を待つことにした。
続く
ー間にあえば後半も今日中にアップしたいと思いますー
一斗
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