医学の進歩の為に差し出せと言われた話【中編】 | いつこの時時勤払拭

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心を曇らす塵やほこりを
日記という形で
払ったり拭いたりしています。

そうすることで
自分の心を平常心に戻し
落ち着いて生活できたらいいな。

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タイトルは違いますが、続きものなので

【前編】【中編】【後編】の三部構成です。

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うちの父親は癌でした。

 

父の癌はかなり希少な癌だった事もあり

当時はあまり症例がありませんでした。

 

その為、薬や治療については手探りであり、

使用した薬・治療法及び結果・副作用等の

データはかなり取られていたと思います。

 

しかし治療の甲斐なく父は他界。

 

死因は「原因不明」でした・・・。

 

もちろん、癌が進行していたことは

大前提としてあるのですが

 

癌が進行した結果、体内で何かが起こり、

それが原因で死亡に繋がったのでは?

 

というのが医師の見解だったようです。

 

その為「死亡宣告」してから割とすぐ

 

ご主人の身体を解剖することで

体内で何が起きていたのか知りたい。

 

今後の医療の発展の為にもぜひ・・

 

と医師は母親に提案をしたのです。

 

母はなんと答えるのだろうか。

 

そう思っていると母は医師に対して

 

子供たちに決めさせようと思うので

10分ほどお時間をいただけますか。

 

と言い、私たちにはこう言いました。

 

あなたたちは全員成人しているから

判断力等はしっかり備わっている。

 

だからお父さんの実の子供である

あなたたちが四人で決めなさい。

 

結局私たちは満場一致で提案を拒否し

医師は「残念だ」と言い、去りました。

 

尚、拒否した理由は全員異なりましたが

結論は全員一致していたんですよね・・。

 

ちなみに私が拒否した理由は

 

世界の医学の為になったのだとしても、

散々メスを入れてきた父親の身体に

これ以上メスを入れることを望まない。

 

というものでした。

 

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あの時、もし解剖に同意をしていたら。

 

父親の解剖結果、治療への糸口がつかめ、

その結果、救える人がいたかもしれない。

 

そう思ったことは何度もありましたが、

あの時はどうしても心情的に無理でした。

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・・だから目の前で困っている人を

「サンプル」だと思って「データを」と

言われることへの抵抗は分かるんです。

 

そしてそこに「人権問題」が絡むのも

とてもよく分かるので・・ここから先は

個々の価値観になってくるんだろうなぁ・・。

 

 

③に続く