なんちゃって作家の青息吐息 -4ページ目
 10代の頃、私はファミリーレストランで主に深夜にアルバイトをしていました。その店舗は上下二車線ずつの国道沿いにあったのですが、私の家とは反対側でした。行きはまだ子供でも起きてる時間帯でしたので、車が頻繁に行き交っています。帰りは大体深夜3時半くらいで、時たま車の流れがぴたりと止むことがありました。たった数分くらいだと思いますが、いつも騒々しい道が一時静かになってとても清々しい気分になります。私は自転車で通っていたのですが、ところどころ中央分離帯が途切れている場所があり、数百メートル離れた信号まで行くとだいぶ遠回りになってしまうため、その途切れている場所を突っ切っていました。
 そこを渡れば自転車でたった5分ほどの距離です。今ほど犯罪率も高くなく、国道沿いには住宅もたくさんあるので若い女の子がひとりで走っていても特に怖いこともありませんでした。

 そろそろ暑くなり始めた初夏の夜。
「そういえばさ、この間すぐそこの交差点ですごい事故があったって聞いた?」
 仕事が終わり閉店作業をし、客席を使って日報などを書いてるときに、同僚が賄いの食事をしながらそう言いました。この日は閉めの従業員が4人いましたが、その同僚以外誰もそのことは知りませんでした。
「えっ いつ?」
「おとといだったかな。明け方だったみたいだけど、右折車線にいた車に直進してきたトラックが突っ込んだんだって。要はトラックの信号無視なんだけどさ」
 明け方といえば、この辺では大型車の交通量が増える時間帯でした。長距離トラックやダンプの仕事が始まる時間なのでしょう。
「ええ~~~! 全然知らなかったよー! 怖いなぁ!」
「事故ってのは、自分だけが気をつけてても避けられないときってあるからなぁ」
「突っ込まれた乗用車は旅行帰りの家族連れで、全員即死だったって」
「うわぁ……可哀想に……小さい子もいたんでしょ?」
「同情すると憑かれるらしいぜ」
「えええ!? しばらくその交差点通れねえええぇぇぇ……」
 深夜のアルバイトといえば基本若者ばかりです。そのレストランも例外ではなく、20歳前後の者しかいませんでした。となると、夏といえば怪談です。事故云々よりも幽霊話の方に花が咲いてしまいました。
 私はといえば、少しホッとしていました。その交差点は家とは反対方向で、そちら方面にはあまり用事がないため滅多に通ることはありません。通ったからどう、ということもないとは思いますが、今までの実体験からできるだけそういった場所には近寄りたくないのです。当然、肝試しのようなイベントにも参加したことはありません。
「そういや、事故ったときってさー……」
 遠くにぼんやりと皆の声を聞きながら、話が盛り上がってるのでもう1杯アイスコーヒーを飲もうと、私はカウンター下の冷蔵庫に入ってるデカンタをそのままテーブルまで持っていきました。どうせ明日には廃棄されるものなので、飲みきってしまってもいいものなのです。ただ、どうしてこのとき会話から離れてしまったのか、私は後々とても後悔することになったのです。

 翌日、私は居間でここ数日間の新聞を読み漁っていました。
「あった!」
 確かに、3日前のローカル版に件の交差点で事故があったことが小さく書かれていました。
『7月15日未明○○県××市国道17号線○○交差点で乗用車と4tトラックの衝突事故がありました。乗用車に乗っていた同県○○市会社員男性(38)とその妻(32)息子(14)は病院へ運ばれましたがいずれも全身を強く打って死亡。トラック運転手(51)も両足を骨折する重傷。県警は4tトラック運転手の過失とみて調べています』
 免許がない私は車を運転するときの気持ちはわかりません。人間ですからうっかり、ということもあるのでしょう。ただそれが、こんな大事故に繋がってしまうとなれば「しょうがない」じゃすみません。
 私はぼんやりと、死んだらどこに行くのかなぁ、などと考えていました。

 夏休みも間近に迫ってきたその日、私はギャザーのロングスカートをはいていました。賄いの食事や片付け、日報などすべての仕事を終え、午前3時頃自転車で帰宅しようと国道沿いを走ってているとタイミングよく車の流れが切れました。中央分離帯のない場所までは少し距離があったのですが、車の音すら聞こえません。そのまま斜めに国道の車線に入ったときでした。
スカートの右すそをツン、と何かに引っ張られました。
「ん?」
 思わず右後ろを振り返りますが特に何も見当たりません。すると今度は左のすそをツン、と引かれる感じがしました。また左を振り返りますが何もありません。スカートが長かったので、もしも後輪かどこかに引っかかっているのならマズイと思い、国道の真ん中で一旦止まりひらひらしないようにお尻の下にスカートを巻き込むような形にしました。そしてまた走り出し、ちょうど中央分離帯が切れてる場所に差し掛かった頃です。またもや右側からスカートを引かれる感じがしたのです。
「何なの、一体……」
 少しイラつきながら国道のど真ん中で止まり、自転車に跨ったまま左右を確認しました。降りてしまったら、何がスカートに引っかかってるのか分からないと思ったからです。
国道の両脇には外灯が並んでいますが、真下というわけでもないのでそれほどよくは見えません。手で探ってみましたが、やはり原因はわかりませんでした。仕方がないので昼間明るいところで確かめようと、気を取り直して右足に力を入れたときでした。
ふわりと何か、羽毛のようなものが左足首に触れたような気がしました。途端、それは瞬く間に膝まで這い上がり、ものすごい力でスカートの端をぐい、と引きました。
「あっ……!」
 左側に倒れこみながら、私は漠然と死を感じ取っていました。
 目の端に映る黒いもやもやとしたもの。そして迫ってくる強い光。さっきまでは音すら聞こえなかったトラックの影──。
 最後の記憶は急ブレーキの音でした。


 目が覚めたときは病院の集中治療室だったと思います。ちょっと手を動かしただけで全身がギシギシ音をたて、どこかが痛いというよりはとにかく苦しい、といった状況でした。看護婦や医者が次々と私の顔を見に来て何やら装置をつけたり外したり、何か喋っていたとも思いますがあまり記憶にありません。
 1週間くらい経った頃、最初にお見舞いに来てくれたのは同じ深夜時間にバイトをしている同級生でした。彼女はカゴに入った高級そうな果物を持ってきてくれたのですが、どうも様子が変です。私も起き上がれるようになっていましたし、2人ともお喋り好きです。大部屋でしたが特に重傷患者もいませんし、あまり気を使う必要もないのに果物を置いて「また皆で来るね」と、そそくさと帰ってしまったのです。
 その後、店長や他の時間帯の人も次々とお見舞いに来てくれました。私はフリーターで家も近く、ランチやディナータイムに人手が足りないときなどよく呼び出されたのです。明け方寝て、9時頃電話で起こされる、なんてのもざらでした。その当時は私も働くのが楽しくて仕方がなかったので、そんな事があっても滅多に断ることもなく眠い目をこすりながら仕事に出ていました。おかげで全時間帯の人と仲が良かったのです。
 ただひとつ気になったのは……。毎回ではないにせよ、最初にお見舞いに来てくれた同級生のように、私の顔を見てすぐ帰ってしまう人が数人いたこと。でも人それぞれ事情もあることですし、単に忙しかっただけかもしれません。不思議に思いながらも、それ以上気にすることはやめました。
 ところが……一番最初にお見舞いに来てくれた同級生が、深夜帯の同僚を連れて再びお見舞いに来たときにそれは判明しました。
「いやぁ、お前が事故ったなんて本当に驚いたよ」
「一体どうやったらあんなところでトラックとぶつかるの~?」
「疲れが溜まってたのかもねぇ」
 その場所は直線で、曲がり角でも何でもなく見通しはよすぎるくらいでしたので、皆の気持ちもわからなくもありませんでした。
「うーん……よくは覚えてないんだけど、気がついたら目の前にトラックがいたって感じかな」
「立て続けにすぐ近くで事故だもんなぁ。思わず交差点の死亡者に連れてかれそうになったかと思ったぜ」
 一瞬私はハッとしました。あの、スカートを引っ張られる感じ……。最後に膝の辺りに触れたのは “手” ではなかったか……。
が、私が事故に遭った場所は交差点ではありません。
「やっぱさ、田中の言ったこと、本当なのかも」
「たなピー何か言ってたっけ?」
「何かとぶつかって即死だと、魂だけポーンと数百メートル飛ばされるって話……」
 数百メートル……確かに事故のあった交差点から私が轢かれた現場まではそれくらいです。それに、今思えばあり得ない事故でした。今まで音すら聞こえていなかったトラックが眼前に迫るまで気づかないなんて。トラックの運転手さんも、私がそこにいることを直前まで気づかなかったと言ってました。対向車はおらず、蒸発現象としても考えられない……。
 青ざめた私の表情を読み取ったのか、
「やだぁ。それじゃギャグじゃん。マンガじゃないんだからさぁ」
 別の子が笑ってフォローしてくれましたが、スカートのすそを引かれたことは言い出せませんでした。
 ひとしきり冗談を言って笑っていると、母が病室に入ってきました。
「あら、にぎやかね」
 同僚たちがそれぞれ簡単な挨拶をすると、ふと気づいたように
「ちょうどいいわ。お見舞いの果物が食べきれないのよ。切るから皆で食べていってくれる?」
 と、母が言い、そのまま食器を借りに病室を出ていきました。
「今のお母さん?」
「うん」
「えっ じゃあ、この間いた人は誰だったの?」
「この間?」
「てっきり家族だと思ってたんだけど……青白い顔して突っ立ってたから、あんたが手か足切断しなきゃいけないとか大変なことになってるのかなって。全然そんなことなかったけど」
 そう言って彼女はけらけらと笑いました。
「あぁ、ランチのオバチャンも言ってたなぁ。お前の家族が挨拶もできないくらい悲しんでるみたいだから、見た目より重いのかと思ってすぐ帰ってきちゃったって」
「ほら、私が最初に来たときすぐ帰っちゃったでしょ? その時、窓際に男の人と女の人と中学生くらいの子が下を向いて立ってたじゃない」


                                             終わり
 まだ友達同士だけで旅行なんて行ったことがなかった17歳の夏、私たちは女の子だけの仲良しグループで旅行の計画をたてました。
 近隣の海へ2泊3日。それ程お小遣いがあったわけでもないので、宿泊先は貸し別荘にしました。1軒いくらの料金で数人が泊まれ、食事も自炊、布団の上げ下ろしやお風呂の準備も自分たちでやらなければなりませんが、ホテルに泊まるよりも数段安いのです。それでも初めて親の監視の目のない旅行に、私たち4人の心は期待でいっぱいでした。
 新幹線とローカル線を乗り継ぎ、2時間ほどで目的の宿に着きました。それは小高い丘の上にあり、裏手は木しか見えませんでしたが、坂を下ったところに海があるようでした。遠くには市街地も一望できます。
 私たちは朝早く出たので、午前中のうちには管理人さんからカギを受け取ることができました。
 別荘は予想していたよりも古い建物でしたが、中はそれなりに手入れもされており、おしゃれではないけど特に不満もありませんでした。とりあえず荷物を置き、中をあちこち探索です。
「わ、こっちの部屋広いよー」
「お鍋とか食器も一通りそろってるね」
 収納や戸棚の中を開けてみたり、ベランダからの景色を確認したり。そのうち誰かが少しだけ開いている押入れに気づきました。
「……リエ、開けてみなよ」
「え!?私!?何でよ!」
 にやにやしながらヒロコは怖がりのリエの腕をつつきます。
「こういう所ってさぁ、誰も泊まってないときは、部屋の風通しのために窓や玄関を開けっ放しにしておくことがあるんだってね」
「えー、無用心だね」
「でもまぁ、食器や掃除機なんて誰も持っていかないでしょ」
 みんなの頭にいくつかの都市伝説がよぎります。
 そう、開けっ放しにしていた間に入り込んだ男が、まだそこに……。
 私はごくり、とつばを飲み込みました。
「……カマを持った男の人が……」
「やだ!やめてよー!!」
 ぼそっと呟いたヒロコにリエが飛びつきました。
「あははは!大丈夫だよ、そんなの都市伝説だけだって」
 マナミはそう言いながら勢いよく押入れのふすまを開けました。
 案の定、そこには布団が重なっているだけで何の気配もありません。
「大体、カギ閉める前に管理人さんが確認してるよ」
 その言葉に全員が納得し、荷物の整理後、海に遊びに出かけたのでした。


 海の家でランチをすませ、熱い砂浜を駆け抜けて海へ飛び込みます。私は泳げないのでどうしようかと思いましたが、マナミに「波が来たら一緒にジャンプするんだよ」と遊び方を教えてもらいました。それでも怖くて腰より深い位置には行けませんでしたが……。
 ひとしきり海で遊ぶとすぐ夕方です。夕食の買出しもあるので早めに海水浴場を出なければなりません。
 買い物袋をぶら下げて別荘へ帰る途中、ふとマナミが私の足を見て言いました。
「あれ?虫にでも刺された?」
「えっ」
 見ると、右のふくらはぎに小さくポツン、と赤い点がありました。
「かゆくはないけど……蚊でもいたかな」
「忘れないうちに薬塗っておきなよ。掻き壊すと痕になるし」
「うん。蚊取りマット持ってきたから、部屋の中でつけておくよ」


 初めて自分たちで作った夕飯に感動し、食後にテレビを見ていたときです。みんなはそれぞれ、畳の上にうつ伏せになったり、クッションを抱えてゴロゴロしたり、思い思いにくつろいでいました。
 私は右に足を流して横座りしていたのですが、ふくらはぎの上に置いた右手の中指のちょうど下から、それはのぞいていました。
「あれ?」
 見ると、夕方に見つけた小さな赤い点が、少し大きくなって色も濃くなっていたのです。
「どこかにぶつけたのかなぁ……」
 独り言のように呟くと、好奇心旺盛なヒロコが見に来ました。
「アザ?虫刺され?」
「うーん……ぶつけた覚えもないし、痛くもかゆくもないんだよね」
「田舎だからねぇ。見たことない虫とかいてもおかしくないし、帰るまでにひどくなるようなら医者に行った方がいいかもね」
 確かに、首都圏からだいぶ離れた場所です。海のそばでもあるし、別荘があるのはうっそうと茂った森の中。暗くなったらもう窓からは何も見えません。玄関のすぐそばに外灯がひとつありましたが、隣の別荘までは距離もあるし、目の前の道路を歩く人影もありません。
 聞こえてくるのは、木々のざわめく音と虫の声だけ……。
 明日も朝から遊びまわる予定だったので、いつもは日が変わるまで起きている私たちも、早めに寝ようということになりました。
 夏とはいえ、避暑地ですので夜は冷えます。そのためか、押入れには薄い夏掛けではなく比較的軽い掛け布団が用意されていました。
 横になってからしばらくは興奮も手伝い、その年頃特有の恋バナなどで盛り上がり、なかなか眠くなりませんでしたが、そのうち一人、二人と寝息が聞こえるようになりました。
 誰の声も聞こえなくなると、外の風が強くなったように感じます。たまに窓ガラスをガタガタと揺らすと、ウトウトしかけていたところから現実に引き戻されました。
 そんな事を何度かくり返した頃、いつの間にか虫の声がやんでいるのに気づきました。風もおさまり、辺りは静寂に包まれています。かわりに、波の音が遠くから聞こえました。海までは歩いて10分ほどの距離だったと思いますが、普段は森の音にかき消されてしまうのでしょう。
 その音に混じって、かすかに女の人の声が聞こえたような気がしました。
 何となく不安を覚えた私は、
「……ねえ……誰か起きてない……?」
 小さな声で呟きました。が、誰からも返事はありません。
 また、何か聞こえたような気がしました。
 私は掛け布団をあごまで引き寄せ、ぎゅっと目をつぶり、無理にでも寝てしまおうとしました。が、どうしても神経は”何か”の方へ向いてしまいます。
 今度は、少し大きく聞こえました。坂がある道路の方からです。
 私たちと同じように別荘を借りている人が、市街地で遊んでお喋りしながら帰ってきたのかとも思いましたが、どうも複数ではないようです。
 何かを話しているわけではなく、途切れ途切れに叫んでいるような……うめいているような……言葉にはなっていない声……。
 私は背筋にぞくりとした何かを感じ、布団を頭まですっぽりとかぶると横向きにひざを抱え、息を殺してそれが聞こえなくなるのを待ちました。
 何か、波が岩にぶつかる音だとか、木が何らかの原因によってこすり合わさっている音だとか、近くの別荘の人が酔っ払って歌っているだとか……そんな事もいろいろ考えました。
 そのうちに、また、少し声が大きくなったような気がしました。
 両手の指先が血の気を失って冷たくなっていきます。冷や汗もどっと噴き出てきました。
 
 そう、声はこちらに 近 づ い て い る のです。
 
 私はいっそう縮こまって耳をしっかりとふさぎました。声は、何か意味のある言葉を紡いでいるようですが、はっきりとは聞き取れません。が、それが聞き取れたら終わりのような気もしました。
 気のせい気のせい気のせい……と自分に言い聞かせようとしましたが、かすれて声になりません。そのまま眠ってしまったのか、気を失ってしまったのか、いつの間にか朝日が差し込んでいました。もう、声は聞こえません。
 明るくなった部屋を見回すと、あれは夢だったのか現実だったのか、よくわからなくなりました。 ただ、びっしょりと濡れたTシャツだけが、恐怖の痕跡を残していました。

 
 この日は近くの小さな牧場で乗馬体験の予約をしていました。
 私は牧場へ向かう途中、みんなに昨夜の出来事を話しました。リエは離れて歩きながら、耳をふさいで聞こえないようにしています。ヒロコとマナミは興味津々で聞いてくれましたが、結局は気のせいだろう、と信じてはもらえませんでした。
 ひとしきり乗馬を楽しんだあとは、そのまま海水浴場へ直行です。正午近くだったので、すでに砂浜は人であふれかえっていました。
 その頃には私も、昨夜のことはすっかり忘れていました。暑いし天気もいいし、人も多くてそんな怖い体験など思い出すきっかけもなかったのです。
 私たちはまた波と戯れて遊んでいましたが、昨日と違ったのは少し深いところ、ウエストの位置まで海水がくる場所にいたことでした。
 何度も寄せては返す波をかわして水に慣れてしまったのか、私はちょっと油断していたようです。大きな波が押し寄せてきたと思った瞬間、砂に足をとられ転んでしまったのです。もちろん泳げない私は一気にパニックに陥り、すぐ隣にいたマナミの腕を掴みました。
 上下左右もわからなくなり、立ち上がることもできず、それでもその腕を離すまいと必死でした。きっと数十秒のことだったでしょうが、私にはとても長く感じられました。ただ、自分のひざ下あたりに長い髪が広がって見えたので、そこに私が腕を掴んで転ばせたマナミがいると思い少し落ち着けたんだと思います。
 ようやく波が引いて立ち上がると、
「もうー、ひどいよ!巻き添えにするなんてー!」
 と、マナミが後ろで笑いながら言いました。


 宿に戻り夕食をすませると、散らばった荷物の整理を始めました。楽しかった2日間はあっという間に過ぎ去り、明日は帰らなくてはなりません。そのとき気づいたのですが、右足のふくらはぎの赤い点だったものが3つに増えていました。色も紫に変わり、1~2センチくらいの楕円形が縦に並んでいます。どう見てもアザでした。

 ――どうやったらこんなところにアザなんてできるんだろう……。

 そう思いながら手を当ててみましたが所詮ただのアザです。それ以上、みんなも気にも留めなくなりました。


 数日後、旅行のためにアルバイトを休んでいたので、お土産のお菓子を持って店に向かいました。控え室に入ると同級生が数人、テレビを見ながらコーヒーを飲んでいたので、旅行の夜の怖い体験や不思議なアザのことを話しました。 中に霊感の強い男の子がいたからです。
 するとその彼が、
「……お前、海で転ばなかったか……?」
 と、聞くのでそのときの状況を話すと、
「それ、足を掴まれたんだよ」
「えっ……」
 彼は私を凝視したまま、言いました。
「そのとき見ただろ?髪の長い女」
 私ははっとしました。波の間に見た黒く長い髪の毛……。よく考えれば、マナミはあんなに長くはありません。それに、立ち上がったときマナミは、私の 後 ろ に い た のです。
 そう言われ、ようやくここで初めて恐怖を感じたのでした。

「前の日から狙ってたんだろうなぁ。夜中に迎えに来たのかもしれないけどうまくいかなかったから、次の日足を掴んだんだ」
「でも、手形じゃなかったよ?丸い形のが3つだったし……」
「それな、多分死んだときに指が2本欠けてんだよ。掴んだのは指先だけ」
 そう言いながら彼は、親指と人差し指を曲げてみせました。
 言われてみれば、確かに中指から薬指にかけて、手を当てたときにぴったりと合ったのを思い出します。指先だけの大きさで……。

「お前よかったな。もしそいつの指が欠けてなかったら、今ここにいなかったかもしれないぜ」






                                     終わり
転載元
http://ameblo.jp/105neko/entry-11252713043.html

東京郊外105匹猫多頭飼い飼育破壊

期日5/23!

残った子は処分されてしまいます!

5月18・19日12時より3時まで現地での譲渡会
5月20日15時~18時 譲渡会
時半より、4時までの譲渡会
当日、申込み用紙、契約書を交わします。
身分証明のわかるものをお持ちください。

連絡はちょこママ携帯へ
08054575161


21日、たんぽぽにシャンプーして移動。
19.23.24.25.34.35.36.37.38.4391

すでに移動
31.41.47.94.100.103

こちらで決定
39.40.41後日.44.28.49

チョコママ家
16.3.16

よしさん担当
16.3.16を除く1~20.21.22.26.27.29.30




1匹でも多くの猫が助かりますように・・・。


祝日 追記 祝日

転載した翌日ですが、全員預かり手が見つかったようですw
読んでいただいた方、ありがとうございましたw