「議員半減」を考える・・・(3) | 世のため人のため~“メガホン侍” 伊藤央

世のため人のため~“メガホン侍” 伊藤央

代議士秘書10年、山口県防府市議6年。現在は東京都小平市議(2期目)。地方から日本を改新し、世界を救うことを目的に活動中。日々街頭に立ち、思いと政策を訴える“メガホン侍”。

 
昨日の記事にも多くのご意見をいただきありがとうございます。
 
非常に参考になります。
 
議員報酬についてのご意見もありますが、私は議員定数と報酬とは別の問題と考えています。
 
確かに、「報酬を下げて、むしろ定数は増やした方が良い」とか、「人数を半分にして、報酬を倍にしてはどうか」というご意見はよく耳にします。
 
しかし、どちらの意見も予算、議会費の総枠の中だけで考えているというか、銭金の問題を一番の基準にして定数を考えているように思えます。
 
報酬の問題は、また別の機会に論じるべきと考えています。
 
 
さて、昨日の予告通り、議会・議員の役割について考えてみましょう。
 
先日、やっと素案が完成した議会基本条例の前文(素案)を紹介します。
 
この前文は、私が素案を執筆しました。
 
先日の議会改革推進協議会では、特にこの前文について意見が出なかったので、今のところ、このまま条例案になる予定です。
 
私の考える議会・議員の役割というものを表現したつもりですので、少し長いですが、読んでみてください。
 
 
防府市議会基本条例 前文(素案)
 
 日本国憲法は、第8章において地方自治を保障するとともに、地方公共団体の長、その議会の議員を住民が直接選挙によって選ぶ二元代表制を定めています。
 防府市民に直接選ばれた議員によって構成される防府市議会は、市長等執行機関の対立機関として市民に代わり監視し、けん制することで、市政の独裁化・空洞化を防ぐ役割を担っています。
 また、市民と市長等執行機関、そして議会が相互に抑制的均衡と緊張関係を保つことが、防府市の発展、市民福祉の向上には不可欠です。
 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号 以下、「地方分権一括法」と言う。)の施行によって、機関委任事務は廃止され、地方公共団体の処理する事務は自治事務と法定受託事務に再構成されました。
 これにより、防府市は国・山口県と「対等」・「協力」という新たな関係を築くことになり、これまで国や山口県の権限であったものについても、防府市への移譲が推進されつつあります。
 自らの責任において、自ら決定する領域が拡がったことにともない、防府市議会が担う役割と責任も増大しました。
 防府市議会は、市長等執行機関を監視・けん制するだけでなく、政策提言・立案機能や調整能力を高め、「幅広く市民の意思を反映する」という議会の役割を果たすため、市民に開かれた議会・市民と協働する議会を目指します。
 また、防府市議会は、これまでも様々な改革に取り組んできましたが、今後も、議員一人ひとりが資質の向上に努めるとともに、議会自らが不断の改革を続けることで、市民から信頼され、市民の幸せを実現する議会となることを決意し、この条例を制定します。
 
 
以上が、前文の素案です。
 
私は、議会・議員としては市長や執行部の「監視・牽制」が第一の仕事であると考えています。
 
市長の「議員半減の代わりに市民100人委員会を」という主張は、幅広い市民の意見の反映に資することがあっても(これにも疑問は残りますが)、監視・牽制機能については、全く無視したもので、非常に危険な考え方です。
 
議員個々の資質を別として、市長や執行部のチェック機関としての役割を果たすために必要な人数はどのくらいであるか、ということから議員定数を考えるのは一つの手段ではないでしょうか。
 
コメント欄に「現在の市議会は、例えばやはず苑への不当な(実際は違法である可能性が高い)高額補助金を見逃した。また、徳地町や秋穂町との合併に向けて松浦市長の尻をたたくこともなく、逆に合併で市議数が減ることを内心恐れて合併に消極的だった。」というご意見をいただいています。
 
正確に言うと、やはず苑への補助金支出も、合併協議も、私が議員になる前の話で、つまり、現在の議会ではなく、二つ前の議会なのですが、このことから考えてみましょう。
 
このご意見は「チェック機能を果たしていない」ということでしょうが、これを製造業に喩えてみましょう。
 
製品のチェックをする部門で、不良品の見逃しが続いたとします。
 
これを改善するには、
 
①チェックするシステムを改善する。
 
②チェックする人数を増やす。
 
③チェックする人間の能力を高める。
 
このようなことが考えられるでしょう。
 
②は、必ずしも有効ではありませんね。
 
議会で言うと、議員数を増やすことに当たりますが、人数を増やしたところで、いい加減な人間ばかりが増えれば、チェック能力は高まらないでしょう。
 
①は、取り組む価値があります。
 
議会の場合、執行部の議案提出時に説明資料を増やすことを義務づけたり、決算審査を事業仕訳のような方法で行ったりと、色々考えられます。
 
実は、これらは、議会基本条例の中で定めようとしているので、ご期待ください。
 
③も価値があります。
 
ただ、これが一番難しいことです。
 
議会基本条例でも資質の向上には触れていますが、なかなか困難なことです。
 
一番重要なのは、採用時や人員配置(議会で言うと選挙ですね)で、どのような人間にチェックを任せるかということに尽きます。
 
しかし、ご存知の通り、選挙というフィルターは、いとも簡単に全く働かないような議員を通過させたりします。
 
私の立場では非常に言いづらいことですが、敢えていうと、採用部門(何を指しているのかご理解ください)の能力を高めること、また、採用基準を変更することも、必要になってきます。
 
当然、採用、不採用の判断のための資料の提供は必要です。
 
これは、議会の情報公開ということになります(新人の場合は別ですが)。
 
 
さて、いずれにしても、チェック機能を高めるために、人員を減らすということは考えにくいことではあります。
 
しかし、事情によって、どうしても人員を減らさなければならない事態が生じているとすれば、①、③に取り組むことが必要になってくる訳です。
 
もし、今、議員定数を減らした方が良いという人が多いのであれば、
 
a)製品に不良品が減っている。(市長や執行部にミスや不正が少ない)
 
b)チェック部門の能力が高まっている。(議員の質が向上している)
 
ということが考えられますが、どうでしょうかねぇ・・・。
 
どちらでもないでしょう。
 
理由としては、
 
c)会社に金がない(市の財政状況が許さない)
 
ということなんでしょうね。
 
つまりは、リストラです。
 
しかし、このリストラは危険も高い。
 
不良品が増加する可能性もあります。
 
そうならないためには、どうしても①、③が欠かせません。
 
議員・議会の努力は当然としても、市民の協力も不可欠です。
 
選挙だけでなく、議会モニター等(出来れば議員の通信簿をつけるなど)通常からの議会の監視にも是非、協力していただきたいと考えています。
 
 
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