旧優生保護法 | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 旧優生保護法の国家賠償訴訟の最高裁判決をうけて、ネットの愛国者たちが、付け焼刃の知識で、戦後間もない1948年、人口抑制や強姦などによる「望まぬ出産」の回避を目的として、旧社会党の女性議員たちが中心となった議員立法で成立したの「優生保護法」だ、 社民党は責任を取れと言い立てていますが、当時の国民の意識を全く知らない人間の妄言でしかありません。

 

 私の父親は70年ころになっても、か●●(障碍者に対する差別語)みたいなもんは生かしといても国の役に立たず食い物の無駄だから●した方が良いと言っていました。私があなただって障碍を持つ身になるかも知れないのにと言ったら、俺様はか●●になっておめおめ生きているような根性なしではない、その時はタヒぬからええがや、と言いました。

 

 70年になってもこのような主張をする人がいたのですから、敗戦後の48年で食料不足が深刻なときであれば、国のために働けない者を生かしておいたら食い物が無駄、食い物は国のために働ける者にのみ分配せよという議論が強かったことは間違いなかったはずです。

 

 旧優生保護法は今から見れば酷い法律であり、優生思想による障碍者差別そのものですが、その法律が作られた背景としては、上記のような国民世論が有って、「望まぬ出産」をさせないから、今生きている障碍者に関しては、そんなことを言わないで、とする意味もあったと思われます。

 

 ナチスドイツは、1940年から1945年にかけて、約20万人の心身障碍者を殺害したと言われていますが、日本の大衆にもそれに似た気分がありました、70年ころになっても堂々とその議論をやっていた人間がいたのですから、旧優生保護法か作られたときはそういう世の中だったのです。

 

 今の常識で、旧社会党が酷い法律を作ったと言っているネットの愛国者たちは、敗戦後の国民の議論が分かっていない愚か者です。旧優生保護法に関して何が悪いかと言えば、旧社会党ではなくその時代の国民の人権意識のなさが原因なのです。