建国記念の日 | 夏炉冬扇の長袖者の尉のブログ 

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 現在の制度では、紀元節ではなく、建国記念の日となっています。2月11日は建国記念日ではなく、建国記念の日が正式名称です。

 

 占領が終わって日本が独立すると、さっそく極右勢力から紀元節を復活させよという声が出て来て、1957年に議員立法で国会提出されましたが、社会党の反対によって廃案になり、9回国会提出されるも悉く廃案となりました。紀元節の復活は戦前の誤った皇国史観を蘇らせるもの、紀元節は歴史的根拠がない、神武天皇の紀元前660年の即位は史学で否定されているとの反対論があって、抵抗する社会党も強気になれました。

 

 そこで政府は極右勢力を満足させつつも、反対論を弱める狡猾な方法を考えます。紀元節は2月11日に決まっているとの議論を排除して、日本の建国を偲ぶ祭日を定めたい、日付はこれから議論しましょうという態度に出たのです。

 

 そんなものは必要ないとした共産党を除いて、この手に乗ってしまって、社会党は現憲法が施行された5月3日を言い、公明党はサンフランシスコ平和条約が発効した4月28日を言い、民社党は17条の憲法が制定されたとされる4月3日を言います。

 

 4月3日を言った民社党はバカです。17条の憲法では話になりませんし、新学期が始まるときに祭日による休みが入るのは好ましくありません。社会党と公明党は、建国を古代に求めるのではなく、戦後の日本の出発点に求めました、戦前の帝国主義国家と決別するのであればこれは当然の選択です。

 

 現憲法が施行でも、サンフランシスコ平和条約の発効でも、意義はよく似ているのですが、日付としては公明党案が優れています。5月3日では憲法記念日と重なりますから、憲法記念日を公布日の11月3日に移すことになり、文化の日がなくなって祭日の日数は増えません。4月28日だと、翌日が当時の天皇誕生日で連休になり、ゴールデンウィークが1日長くなる効果があります。この4月28日案は池田大作氏の提案であるといわれ、このころの池田氏は冴えていました。

 

 もともとこれは自民党政府の政略でしたから、野党は日付を言わされただけで、日付は極右勢力の希望通りの2月11日に決まってしまいます。

 

 野党に猛反対をさせないために、政府は、この日は日本が建国したという記念日ではなく、建国はいつなのか分からないが、日時不明の建国を祝う日だから、建国記念の日という名称したのだと説明します。この日に神武天皇が即位したと政府が認めているわけではないという言い分なのです。

 

 従って、神武天皇の即位を主張しているネット民は、建国記念の日に関する政府の公式見解にも反していることになります。