※2月の出来事の備忘録
フクは、エレベーターの点検作業が行われているときの階数表示灯を見るのが好きだ。
マンションのエレベーターの点検に出くわした時は、表示灯の数字が点滅したり、休止というランプがついていたりするのをただ眺めたり、写真を撮ったりして楽しんでいる。
そしてある日の学校からの帰宅の時こと。
車から降りて先に自宅に向かったはずのフクが、熱心にマンションの掲示板を見ていたかと思ったら。
「⚪︎月⚪︎日にエレベーターの点検があるよ。
点検を見たい。その日は学校を休みたい」と。
それから毎日毎日言うようになった。
エレベーターの点検なんかで休みたいなんて…
と普通の感覚の人は思うだろう。
私もそう思った。
けれど、フクの立場になって考えてみた。
フクにとって、エレベーターの点検を見ることは、この上なく楽しみなことなんだと思う。
例えば好きなミュージシャンのライブを見に行くような。
年に数回しかない特別なイベントのような。
調べると、次のエレベーターの点検は4ヶ月後。
しかも、その時も見れるかどうかは分からない。
代わりに見に行けるエレベーターの点検というものも提案できない。
代替案が出せれば良かったのだけど、それが難しい。
学校を休まなくても2時間早退すれば、点検中のエレベーターの階数表示灯を見ることができる。
だったら、早退させて満足させた方が良いのでは?と悩みながら私はその方がいい気がしてきた。
だってたったの2時間早退すればフクはハッピーになれる。
点検を見ることを我慢して学校にいても、そのストレスで友達にちょっかいだして迷惑をかけたり、そして先生に叱られて悪循環に陥るかもしれないという不安もあった。
家に帰ってきても、点検が見れなかったと少なくとも数日は引きずるだろう。
夫にも相談してみた。
夫、「悩むところじゃないでしょ」と一蹴。
チーン。
ここで夫とやり合うほどの情熱も、休ませた方が良いという確信も私は持ち合わせていない。
早退は断念かなと思っていた。
当日の朝、案の定布団の中で苦しむフクに、私はフクにこう言った。
「お父さんがダメって言うから無理だよ。」
(本当はこんな言い方良くないと思うけれど)
私のその一言と、朝から悲しくなっているフクの様子から夫も
「お母さんに任せる」と私に一任してきた。
そうい経緯を経て私に一任してきたので、エレベーターの点検を見るために早退させることに決めた。
さて、早退の理由どうしよう。
先生に正直に言うことも気が引けた。
こんなことで早退させるなんて…と思われるだろうな、と思ったから。
とはいえ、早退の理由を嘘偽りなくありのまま連絡帳に書いて、返事にこう書いてあった。
『先週、フクさんが来週の⚪︎曜日はエレベーターの点検のため休みます、と言ってきました。その理由が分かりました。』と。
フク、先生にも伝えていたのね
エレベーターの表示灯はマンションの2階のエレベーターの前で見た。
2階の住民は階段を使う人がほとんどで、エレベーター前を人が通らないので邪魔にならない。
思う存分1時間半くらい、表示灯を見たり、表示灯の写真を撮って。
マンションの住民の人には1人も会わなかったので、不審がられることなく、フクも大満足で早退させて良かったのではと思う。
点検の度に早退したいとなるのでは?という不安もある。
早めに点検の日がわかれば、リハビリや病院で学校を休む日と被せれたらいいかな、と考え中。
学校も有給休暇のようなものがあればいいのにな。