新潟にもついに平地に雪が降ってきて、青空の広がる季節が恋しく感じる日々がはじまりました。
そんな時は、「次の春に向けてどこへいこうか」と思案したり、
こたつに入って温かいお茶をのみつつ旅の本を読むと、サッと気持ちが晴れます。
ページをめくれば、そこは砂漠へ向かう道になったり、月夜のテントの中になったり、
想像を巡らす時間がなんとも心地よいのです。
今日紹介する本は、若菜晃子著『旅の断片』。
年に何度か海外に旅して、しかもメジャーな観光地ではなく、その国の人もあまり行かないような地方へ足を運ぶ著者。
そんな旅の記憶を、短いエッセイでまるでスケッチブックのように綴った本です。
静かな語り口がとても心地よく、目の前に景色が浮かぶよう。
印象的だったのは、クリスマスをタイの小島で過ごすお話。
海風に当たりながらビールを飲み、新鮮なお魚の美味しいディナーを食べる。
海に目を向けると、海中にはクリスマスツリー・ワームという名のゴカイの仲間がいて、
色とりどりの林のように見え、魚がその周りを泳いでいるのが見える。
同じクリスマスという日に、そんな風に過ごす人もいるのかと、ちょっとクリスマスの概念が壊れた感じがします。
私は当たり前のように毎年、日本でいつものクリスマスを過ごしているので、海で過ごすクリスマスはとても新鮮。
知らぬ間に、今年はこんな感じだったから、来年はおおよそこんな過ごし方をするだろう、と考えてしまっていたことに気づく。
ここ数年は行動範囲がどうしても狭まって、予想外の景色に出会ったり、新しい場所へ足を運ぶのをためらったりしがちだったけど、来年からは動き出そうかな。
長い冬の間に少しずつ読んで、こんな過ごし方もいいな、この町の景色を見に行きたいと、来年の手帳に書き込んでみよう。
いとぽんより
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【のんびり読書泊の宿】
新潟県長岡市にある、1日1組限定の一軒家の貸し切り宿『NEMARU~stay&deiscovery~』
ブックコーナーの本は、いとぽんがセレクトした新刊・古本が並んでいます。
お泊りの方は本を読んだり、購入することができます。