八ヶ岳の遭難で思ったこと | ピッポのおじさんのブログ

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静岡県静岡市”草薙駅のすぐ近くで、1978年より子どもの本と古書を取り扱っている専門店「PIPPO」の店主によるブログです。
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先ごろ八ヶ岳連峰の阿弥陀岳で7人の滑落事故が起こり、3人が死亡したという残念な報道に接した。八ヶ岳はとても好きな山で、ここ2年ほど登っていないが、何年も続けて登っている山だあるからとても気になった。

 

ぼくはこの山には春と冬の雪のある季節にしか登ったことがない。その理由は山があまり深くなく比較的楽に雪山を経験できるからだ。ぼくの山行はほとんどが単独行だから、冬でも多くの山小屋が開いている八ヶ岳が便利なのだ。60を過ぎてからは、体力的にテントを担いでの山行は無理で、冬の山道具を入れても、せいぜい10キロ前後がやっとであるから、冬は毎年八ヶ岳に通うのである。

 

阿弥陀岳にも2回登ったことがある。といっても、今回遭難したパーティーの南稜ルートではなく、2回とも正規ルートで、赤岳を登ったあと阿弥陀岳に回ったのであった。1回は山仲間3人で5月連休だった。阿弥陀岳は頂上付近が急斜面で、下山するのに後ろ向き(登るときのスタイル)になって降ったものだった。もう一回はある年の1月1日で、このときは単独行で、前日赤岳の頂上小屋に泊まったのだった。冬の山に登るときは3~4回に1回しか青空を眺めることが出来ないが、この時はその1回に当たったように記憶している。

 

さて、今回の遭難の報道で1つ疑問に思ったことがある。それは7人が一緒にアンザイレン(ロープでつながっていること)していたということである。普通は2人か3人がアンザイレンして、互いが確保して登っていくのである。もしトップが滑落してもビレーさえしっかりしていれば、止めることが出来る可能性が高いが、今回のように7人が一本のロープで結び合っていれば止めるどころか全員が引きずられて滑落してしまう可能性が高いのである。それなのになぜ?という疑問である。報じるところによれば、みんなかなり山を経験した人たちだったようなのに残念である。

 

単独行の多いぼくにはアンザイレンした経験はあまりないが、3年前に2年続けてスイスの山に登ったときに、日本で山岳保険入る条件がガイドと一緒に登るということだったので、現地のガイド組合に申し込んで、ガイドを含んで5人のパーティーを組んだ。そのときには5人が一本のロープにつながって登ったのだった。翌年も同じようにガイドと一緒のツアーに申し込んで登ったのだが、そのときはドイツ人スイス人との4人だった。

このときのガイドは、前年のガイドとひとつけ違ったことがあった。それは前年のガイドは、ぼくが持参したカラビナを使おうとしたら、ガイドののカラビナを使うようにと、持参のカラビナを否定したのだった。翌年のガイドはそんなことは気にする様子もなく何も言わなかった。思うに、前年のガイドはぼくの持参のカラビナを信用しなかったのだとおもう。ドイツ製のカラビナだったのにね。

それだけ彼は慎重だということだったのかな。

 

ところで、登山においては慣れと油断は絶対に禁物だと、今回の阿弥陀岳の遭難で改めて思ったしだいである。