週一回程度、借りている畑まで往復9キロの道を歩いたり走ったりしている。以前はここを、週2~3回往復走り通していた。それも起伏にとんだコースを選んで走り、自己満足に浸っていたのだ。だがいつの間にか、それが週一回に減り、今や行程の半分以上を歩かなければ9キロの道は踏破できない。
週2~3回走っていた時には、各地のマラソン大会にも出ていたのだ。だが、それもいまは夢。
そのころは、あちらこちらの山にもガンガン登っていたし、大井川の源流域に渓流釣りにも毎週のように出かけていた。自分の体力の限界などな考えもしなかったし、時には自分の商売よりも、山登りや釣りを優先さえしていた。まあ、それほど好きだったということなのかな。
ぼくがその手の記事を注目しているからかもしれないが、ネットニュースを見ていると、今夏は山の遭難が多いような気がる。そのたびに載る山名や場所の多くは、かつて自分が踏破したことがある名前が多かった。あんなところで道迷いか、こんな場所で滑落するのか?など思ったりするが、それぞれ状況や天候、ましてやその時の遭難者の体調などわかりようもないのだから、非難などできはしまいし、しようとも思わない。
山へ登ったり、渓流を遡行したりしていれば、何度かハラハラする場面には出くわすものだ。だから、そのほとんどが単独行のぼくは、よく言えば慎重、悪く言えば臆病で無理はしないよにしてきた。だから幸い、これまでは遭難の経験はない。
なぜこんなことを書き始めたかといえば、遭難記事に出てくる山名や地名が懐かしく、これらの名をみて、自分の体験を思いだしたからである。
今の自分の体力を考えば、願わくばもう一度、などと思うべくもない。だが、こうして週一回よれよれになりながら、畑まで往復9キロの道を歩いているのも、そう、せめてもう一度、上高地から涸沢までを歩いて、あの涸沢の景色を眺めたいという望みがあるからだ。そして、できるならもう一度奥穂へ登ってみたい!
78歳のピッポのおじさんの儚い夢か・・・・・。