■政策的意思決定について。
[いとう寛光の発言]
富田林市行政会議設置規則第1条には、「本市の行政運営の基本方針、長期的な重要事務、事業計画その他重要施策等について協議策定し、市の行政組織における総合調整を図り、効果的かつ円滑な行政運営に資することを目的とする。」とあります。また、第2条には「行政会議は、庁議、部長会議及び調整会議とする。」と定められております。
それぞれの主催者や構成、議題等については別の条文で定めがあるほか、おのおの設置目的や意義を持っているはずですが、現在、本市の政策的意思決定はどのように行われているのか。また、その決定手法に理事者や部長等はどのように参画し、各事業の取組の推進等にどのようにつなげているのか。トップダウンやボトムアップなどのケース別に、それぞれどのように意思形成をされているのか。意思形成の主体や過程、意思決定のスピード等について、現在の手法に問題はないのか。問題があるのであれば、その解決に向けてどのようなことを検討しているかなど、私は以前から問題意識を持っておりましたので、今回このことを取り上げることといたしました。
例えば、大阪府では、意思形成プロセスの記録は進捗状況の把握や評価検証の実施に有益な情報であることから、平成23年4月から実施されております。意思形成プロセス情報が発生するたびごとに記録することとされており、記録する意思形成プロセスを「1.決裁時やレク時に知事、副知事、部長等、また所属長以上の役職者と行った打ち合わせ」、「2.庁内横断的な会議、審議会など庁内の各種会議」、「3.国、他自治体や各種業界団体などの庁外の各種会議」と定められております。
詳細は割愛しますが、所属長との打合せに係る意思形成プロセス情報は詳細かつ膨大であるため、記録は、所属として制度や事業の仕組み等、一定の方針決定をしたプロセスについてのみを対象とするなど、工夫も見られます。
また、記録する内容については、その一部を紹介しますと、知事、副知事、部長等、また方針決定の際の所属長との打合せや庁内外での会議について、実施時間、場所、出席者、議題、方針決定に至る主な意見や論点などの概要、結論、関連資料がある場合は関連資料を添付し、議事概要を作成することとされております。
その他、検討の発端、例えば知事、副知事、部長等、また所属長の指示が発端なのか、職員が仕事上入手した情報や調査収集した情報が発端なのか、庁外からの要望、要請、依頼が発端なのかなども記録することとされております。
なお、知事や副知事との打合せに係る意思形成プロセス情報については、知事、副知事の決裁に当たり意思決定プロセス記録表を作成することが別途定められております。
少し事例の紹介が長くなりましたが、現状、本市にはこのような定めがなく、各職員が個別にメモ等で記録している状態であります。
本市においても意思形成過程の統一化や記録のルールを定めるべきではないかと考えますが、執行部の見解をお示しください。
[執行部答弁]吉村善美 市長
本市では、行政運営の基本方針や長期的な重要事務、事業計画その他重要施策等について協議する場として庁議、部長会議、調整会議を設置しており、部局を横断する課題への対応や市全体で協議・調整すべき事項について随時協議を行うことといたしております。さらに、市長、副市長、教育長、市長公室長、総務部長、秘書課長で構成する市政推進会議も定期的に開催しており、必要に応じてその場を活用した協議・調整も実施しているところです。
また、各政策の意思形成につきましては、担当課によるボトムアップ方式を基本としつつ、急を要する案件など、場合によっては市長である私のリーダーシップにより方向づけを行うトップダウン方式で行うこともあり、意思決定の手続といたしましては、富田林市事務専決及び代決規程に基づく決裁処理を基本としているところです。
現在のところ、本市におきましては、大阪府で取り組まれているような政策的意思決定の中での意思形成過程の見える化は行っておりませんが、主要な施策の実施計画や事務事業評価などを公表することで、市民の皆様に関心を持っていただき、市政への理解促進に取り組んでいるところでございます。
今後におきましては、市政のさらなる推進へとつながるよう、これまでの本市独自の取組の継続とブラッシュアップを図るとともに、市政のさらなる透明化並びに効率的、効果的な事務執行に向け、議員ご提案の大阪府の事例や他の自治体の取組なども参考にし、そして情報収集をしながら、意思形成過程の統一化や記録のルール化など効果的な手法について鋭意研究を進めてまいります。
[いとう寛光の発言]意見・要望
ご答弁をいただいた内容としては、各種会議で協議、調整を行い、富田林市事務専決及び代決規程に基づいての決裁処理を基本としているとのことですが、それはその通りだと思います。
しかしながら、それぞれの協議、調整内容がその後の決裁処理との兼ね合いで整合性がどこまで担保されているかどうかについては若干疑問が残ります。
そもそも記録がなければ検証のしようがありませんし、後に協議、調整の時点では、予測等していなかった事象が発生した場合に判断を変えなければならない事態も想定されます。
そのような不測の事態が起こった際に、時系列も含めてその時点、その時点の判断に至った過程を記録しておくことで、どの時点まで遡ればよいのかが明確になることから、記録をするというのは非常に重要なことだと考えます。
また、事務執行後の効果検証の際などにも、問題や責任の所在が明確になっていれば次に向けての改善方法等が見つかりやすくなると考えます。
今回は、まず第一歩目として、大阪府を例に対象を絞っての意思形成過程の統一化や記録のルールについて問題提起いたしました。前向きに取り組んでいただきますように強く要望しておきます。