【令和3年 第2回 富田林市議会定例会(6月)本会議】いとう寛光による大阪維新の会・代表質問① | 富田林市議会議員 伊東寛光オフィシャルブログ「議員って普段、何してる?」Powered by Ameba

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「議員って普段、何してるん?」
「議会が無い日はヒマなんやろ?」

議員になる前、私も同じような疑問を持っていました。
そして、その答えは議員になって初めて知りました!

あなたの疑問に全力でお答えします。

※富田林市議会議員「いとう寛光」の公式ブログ。

■市立図書館について。

(1)富田林市立図書館資料収集方針について。

 公益社団法人日本図書館協会は、「図書館の自由に関する宣言」を1979年に決議しております。その第1には「図書館は資料収集の自由を有する」とあり、2つ目の項目には「図書館は、自らの責任において作成した収集方針にもとづき資料の選択および収集を行う」との記載があり、その際には「多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する」などの5つの原則を掲げております。

 本市においても富田林市立図書館資料収集方針が平成21年7月1日から施行されておりますが、まず気になるのは、全体的にざっくりし過ぎているという点であります。

 神奈川県の藤沢市図書館資料収集方針では、各市民図書館と各市民図書室の資料収集は、本方針に基づき、施設の規模、地域性及び役割に応じた蔵書構成と利用状況に留意し、藤沢市図書館全体として体系的な資料収集を行うと定められており、図書館ごとの特色を挙げた上で、どのような資料を収集するのか方向性が定められております。また、分類ごとに細かく収集方針が定められております。

 本市の資料収集方針では、分類ごとの細かい収集方針の記載はありません。そもそもの問題として、資料収集方針の意義や位置づけについて議論が必要なのかもしれません。

 私は、資料収集方針というものは、市民を含め、対外的に図書館の収集方針を分かりやすく伝えること、図書館のスタッフマニュアルとして実用的であること、他の機関等との連携・協力をして資料収集に取り組むことができるようにすることという機能を備えたものであるべきだと考えます。

 また、このような観点から本市の資料収集方針は不十分であると考えますことから、まずは2点お伺いします。

 1点目、資料収集方針の意義について、2点目、資料収集方針をより具体的で実用的な内容に改定してはどうか、以上2点について執行部の見解を求めます。

(2)地域資料の収集について。

 近年、地域特有の資料として地域資料の収集が重視されてきております。本市では、資料収集方針の4の(6)に地域・行政資料として、「富田林市に関する地域資料及び行政資料は網羅的に収集し」と定められておりますが、地域資料の定義は見当たりません。

 東京都の調布市立図書館では地域資料収集等に関する方針を定めており、「調布市立図書館は、調布に関する専門図書館としての責務を負っている」、「地域資料は、その地域の公共図書館が収集していかなければ、散逸してしまう可能性が大きいので、様々な手段を講じて積極的・継続的に収集していく必要がある」との記載があるほか、郷土資料や行政資料等の定義や収集範囲等が明確に定められております。

 また、千葉県の浦安市立図書館では、浦安市立図書館地域資料収集基準の中で「市民著作」が定義されており、郷土資料には新聞折り込みチラシも含まれております。これに基づき、図書館では「市民著作」というカテゴリーを設けて、浦安在住市民の著作を商業出版・自費出版にかかわらず幅広く図書館の資料として収集しているという事例があります。

 本市においても、他市の事例を参考に地域資料の収集に取り組んではどうかと考えますが、そもそもの本市における地域資料の定義や地域資料の収集の現状についてお伺いいたします。また、地域資料の収集等に関する方針を策定したり担当職員を定めるなどしてはどうかと考えますが、執行部の見解をお示しください。


(3)地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集について。

 言うまでもありませんが、資料等は経年劣化いたします。資料の保存と利用の両立のためにはデジタル化が望ましいと言えます。少し古い情報にはなりますが、全国公共図書館協議会は2018年7月26日に「公立図書館における地域資料サービスに関する報告書について」というレポートを公表しております。2016年度、2017年度に行った調査研究の結果をまとめたものでありますが、その中で地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集についての記載があります。
 地域資料のデジタル化については、専任職員がいる図書館ほどデジタル化の実施率が高いことや、市区町村立図書館では具体的なノウハウがないことを実施できない理由に挙げていることが記載されております。また、電子行政資料に関する取り組みについては、都道府県立では約57%の図書館が、所属する自治体が公式ウェブサイト上で提供・公開する行政情報の収集を行っているのに対し、市区町村立で行っているのは僅かに9%だったとの記載があります。

 しかしながら、スマートフォン等の端末の普及が進んでいるほか、全ての公立小中学生に1人1台のタブレット端末が整備されている現在、以前にも増してウェブ等からデジタル情報を取得する機会が大幅に増えているということは間違いありません。今後もこの傾向は続くであろうことからも、地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集・提供など、地域に関する情報の発信は図書館の役割としてますます重要となっていくと考えます。

 以上のことから、私は地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集を推進すべきだと考えますが、本市の現状と今後の予定についてお示しください。



[執行部答弁]生涯学習部長

 まず、(1)富田林市立図書館資料収集方針についての①でございますが、本市図書館資料収集方針は、富田林市立図書館処務規則の規定による資料の収集について必要な事項を定めております。公立図書館の任務として、基本的人権の一つ、知る自由を持つ国民に資料の提供をする必要があります。

 資料収集方針は、図書館法並びに図書館の自由に関する宣言の理念に基づき、市民の資料要求を反映させ、市民の文化、教養、調査、研究、趣味及び娯楽等に資する資料を、国内出版物を中心に各分野にわたり、基本的なものから必要に応じて専門的なものまで幅広く収集するようにしております。

 この方針に基づきまして、本市図書館では、資料選定におきましても一般書選書、児童書選書に分かれて職員が集まり、見計らい図書の選定や出版情報からのリスト選書、利用者からのリクエストに関し、それぞれ週1回の選書会議を行って決定しているところでございます。

 また、本市の図書館は2館1分室で構成されておりますが、蔵書は市立図書館として管理し、各館に資料を固定せず、どの地域の市民でも幅広く資料を共有できるように運用しているところでございます。

 次に、②でございます。司書の職務に携わる者として責任を持ってOJTを行いながら収集しておりますが、各時代の状況を踏まえた市民の要求や資料の形態にも対応できるように、改定に向けて検討してまいります。

 次に、(2)地域資料の収集についての①でございますが、地域社会の歴史、文化、行政、市民生活などあらゆる分野に関する資料や、その地域で作成・発行された資料を地域資料の定義としており、本市図書館では、富田林市を重点的に大阪府や南河内、寺内町、石上露子に関する資料等を収集・保存しております。地域資料の収集に関しても、さきの資料収集方針の改訂時に指針とできるよう明文化してまいります。

 次に、②でございますが、本市で発行しました行政資料につきましては、各課との連携を図り、図書館の保存用、貸出し用として3部以上受入れをしております。

 また、地域資料の古い文献で入手が不可能なものにつきましては、資料として残すため、国立国会図書館をはじめ所蔵されている図書館からお借りしてきて、複写資料として研究用に保存しております。さらに、見計らい図書の選定時や出版情報、新聞や雑誌、インターネット等を通じた情報収集を行っております。また、市民の著作はご紹介、ご寄贈いただくことも多く、蔵書として図書館でご利用いただいておりますが、資料収集方針に盛り込むなど、積極的に呼びかけて収集できるように努めてまいります。

 続きまして、③でございますが、中央・金剛図書館で各1名を地域資料担当職員としております。加えて、職員間で情報共有やOJT、レファレンス回答集も参考にしながら業務に当たっております。また、地域資料はもとより図書館資料全般において利用者の求めに応じるため、図書館業務に携わる司書全員が市民と地域を知って資料収集に反映させるよう取り組んでいるところでございます。

 昨年の市制施行70周年事業「~図書館資料にみる 知る人ぞ知る富田林~」では、職員全員が、所蔵する地域資料に目を通し、改めて資料について学び直す契機になりました。今後も、職場力を高めるため計画的に研修を実施するなど、マネジメントに努めてまいります。

 最後に、(3)の地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集についてでございますが、図書館での先行事例「北摂アーカイブス」はレンタルサーバーを利用しての公開とされています。

 現在、本市文化財課で進めております文化財デジタルアーカイブを図書館ウェブページでリンクし、ご紹介をしております。

 また、行政資料につきましては、市ウェブサイトの「オープンデータ」や「富田林市について」でデジタル化された資料を市民に提供しており、図書館ウェブページでリンクし提供することが費用対効果の観点からも効率的、効果的な運用であると認識しておりますが、今後におきましては、市の方針や関係課で連携を図りながら長期的な視点に立って検討してまいります。



[いとう寛光の発言]意見・要望

 今回取り上げた資料収集方針等に限ったことではありませんが、しっかりと方針を定め公表することは、対内的にも対外的にも非常に大きな意味があることだと考えます。

 まず、対内的には、これまでの勘や経験、暗黙知、個人的なノウハウの継承等で業務を回すという属人的な仕事の仕方から脱却することができるということが挙げられます。組織として明確に方針を定めたり、具体的で実用的な内容に改定していくプロセス等を通じて暗黙知を形式知、集合知へと進化させ、属人的な仕事のやり方を減らしていくことができます。これは同時に、短期間で人材を育てること、サービスの質を向上させること、ノウハウを継承しやすくすることで持続可能性を高めることなどにもつながります。

 また、対外的には、資料の収集に当たって地域住民や各種団体、機関との積極的な関係づくり、場合によってはボランティアの協力を得ることも必要な場合も出てくるでしょう。加えて、もちろんご答弁にもありました各関係課との連携も非常に重要になります。

 中央図書館、金剛図書館に地域資料担当職員を1名配置しているとのことですので、明確な方針を打ち出した上で積極的に呼びかけ、また、協力関係の構築に力を入れるなどして業務に当たっていただきますように要望いたします。

 最後に、地域資料のデジタル化や電子行政資料の収集についてでございますが、ご答弁では、現時点では地域資料については文化財デジタルアーカイブ、電子行政資料についてはオープンデータや富田林市についてで提供されている資料へのリンクを張ることが費用対効果の観点から効率的、効果的との認識を示されました。

 一方で、今後については長期的な視点に立って検討する旨のご答弁ではありましたが、図書館としてデジタル化の推進、電子行政資料の収集を行うことの重要性をいま一度よく考えていただきたいと思います。一部、文化財デジタルアーカイブとの重複の問題はあるにしても、図書館所蔵の特色ある地域資料のデジタル化と公開の意義は非常に大きいほか、電子行政資料については、公開されている資料へのリンクだけでは情報が古いものから消されていく場合もあるため、図書館が独自に収集することの意義は大きいと考えます。

 紙媒体等で残しておくべき貴重な資料については経年劣化に備える必要があること、また、電子行政資料については、現状でも書庫スペースが圧倒的に不足していることからも、きちんと予算をかけてでも将来に向けて取り組んでいくべき課題の一つだと考えます。前向きに議論、検討等を進めていただきますよう要望いたします。