平成27年 第4回 富田林市議会定例会(12月議会)①「生活つなぎ資金事業」の適正な運用に向けて | 富田林市議会議員 伊東寛光オフィシャルブログ「議員って普段、何してる?」Powered by Ameba

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「議員って普段、何してるん?」
「議会が無い日はヒマなんやろ?」

議員になる前、私も同じような疑問を持っていました。
そして、その答えは議員になって初めて知りました!

あなたの疑問に全力でお答えします。

※富田林市議会議員「いとう寛光」の公式ブログ。

※見やすくする目的で、質問と答弁の順番を入れ替えてあります。


【伊東の発言】

 ご指名頂きました、議席番号18番、伊東寛光でございます。通告に従いまして、お伺い致します。本日の質問は、全部で3点ございます。

 1点目は、「生活つなぎ資金事業」の適正な運用に向けて。
 2点目は、数量を算定基礎とする随意契約について。
 3点目は、職員の能力を最大限に発揮するために。

 以上の3点につきまして、順にお伺い致します。
 ご答弁の程、よろしくお願い致します。



【1.「生活つなぎ資金事業」の適正な運用に向けて。】

 私は、6月議会でも申しました通り、市が保有する「債権」というものは、公債権、私債権を問わず、100%の回収を目指すべきものと考えております。「債権」である以上、当然のことであると考えます。

 人口減少、少子高齢化により、歳入の減少と歳出の増加が見込まれております。また、これから公共施設が続々と更新時期を迎えるため、建て替えや改修に多額の費用を要することになります。さまざまな形で市民への負担増を求めなければならなくなりつつある今日、「市民負担の公平性」という観点からも、滞納額の縮減、収納率や償還率の向上は喫緊の課題であると考えております。


 さて、本日、取り上げますのは、「生活つなぎ資金貸付金」であります。

 「富田林市生活つなぎ資金貸付基金条例」第6条には、「一時的な支出増加又は収入の減少により日常の生計を維持することが困難となり緊急にその生計資金を必要とする者に対して貸付けるものとする」と規定されております。


 また、「富田林市生活つなぎ資金貸付基金条例施行規則」第5条第1項により、申込者は保証人を遅滞なく選定しなければならない旨が規定されております。

 ここで注目しておきたいのは、この保証人というのは、同条第2項により、「連帯保証人」であるということです。

 連帯保証人というのは通常の「保証人」とは異なり、民法第454条により催告の抗弁権、検索の抗弁権が認められておりません。


 「催告の抗弁権」とは、保証人が請求を受けたときに、「まずは本人に請求してください。」といえる権利のことです。

 また、「検索の抗弁権」とは、「本人が債務を弁済できるだけの財産を持っています。まずは本人から弁済してもらってください。」といえる権利のことです。

 「保証人」という言葉の響きからは、どちらも行使できて当然の権利のように思われるかもしれませんが、実は、「連帯保証人」の場合はどちらの権利も行使できません。

 つまり、分かりやすく言い換えますと、連帯保証人が請求を受けた場合には、「私はあくまでも保証人だから、まず本人から返してもらうべきだ。」とか、「本人がお金を持っているので、返せるはずだ。本人に返してもらってください。」とは言えないということです。

 連帯保証人の責任というのは、本人の責任とほぼ同じです。

 実務上は、本人に請求しても履行されない場合に連帯保証人に請求するのが通常ですし、「富田林市債権管理条例」第7条にもそのように規定されておりますが、民法上は、いきなり連帯保証人に請求することも可能なのです。

 連帯保証人というのは、それだけ大きな責任を負うものなのです。


 「生活つなぎ資金」というものは、元々、生活資金にお困りの方に対して貸し付けるものである以上、本人が無資力となり、債務の履行が困難となる事態が生じることも容易に想定できます。

 一方で、この制度を持続可能なものにするためには、確実に債務を履行して頂くことが不可欠であります。

 だからこそ、適正な債権管理、本人への請求はもちろん、とりわけ連帯保証人への請求の強化が必要だと考えます。

 それも、現滞納者の連帯保証人への請求強化だけでなく、滞納初期段階における連帯保証人への請求強化も大切だと考えます。


 ここで、お伺い致します。

 「生活つなぎ資金事業」について、貸付額、貸付残高、及び償還率の推移など、現状について教えてください。

 また、償還率向上に向けての取り組みや必要性について、執行部の見解をお示しください。



【答弁】子育て福祉部 生活支援課

 まず、(1)現状の確認、認識について、につきましてお答えを申し上げます。

 生活つなぎ資金貸付金は、本市民のうち低所得世帯が特別な事情で一時的な支出増加又は収入の減少により日常の生計を維持することが困難となった場合に、その生計資金を必要とする方に対して貸付を行うものであります。

 昭和52年創設以来、多くの市民の方にご利用いただき、生活保護に至る前のセーフティネット機能になっていると考えており、本市の大事な福祉施策の1つであります。

 最近3年間の貸付額、貸付残高及び償還率の推移は、平成24年度は貸付額842万5,000円、年度末貸付残高5,881万9,177円、滞納額4,976万9,177円、平成25年度は貸付額813万円、年度末貸付残高4,516万7,267円、滞納額3,726万4,767円、平成26年度は貸付額971万円、年度末貸付残高4,444万3,583円、滞納額3,525万2,083円となっており、償還率につきましては、平成24年度末時点68.25%、平成25年度末時点69.3%、平成26年度末時点77.81%となっております。

 平成25年度から平成26年度へかけて大きく償還率が増加し、平成24年度から平成25年度にかけて滞納額が減少したことは、平成25年10月1日に施行いたしました富田林市債権管理条例に基づく債権放棄が起因しております。

 最近5年間は、償還率が徐々に向上し、滞納額が減少している状況で、債権管理プロジェクトでの債権回収の各種取り組みなどの効果があらわれていると考えております。

 続きまして、(2)償還率向上に向けての取り組みや必要性について、執行部の見解を問う、につきましてお答えを申し上げます。

 生活つなぎ資金貸付金の償還は、貸付金額が5万円以内の場合2か月据え置き後10か月以内、5万円を超え20万円までの場合2か月据え置き後20か月以内、無利子で元金均等月賦償還としているところでございます。

 滞納となってしまった借受人には、償還期日ごとに督促状を送付し、併せてコールセンターにて納付案内を行っております。また、滞納が継続する場合は、自宅を訪問し、納付勧奨をしております。

 初回の償還期日を滞納する借受人に対しては、担当職員より電話をし、償還を促すとともに貸付後の生活再建の状況などの聞き取りも行っております。その他、年度に2回は、滞納している借受人及び連帯保証人へ対して催告状を一斉に送付しております。

 この制度の維持につきましては、償還がなされてこそ成り立つもので、また市民負担の公平性を確保するためには適正な債権管理が不可欠なものであります。

 したがいまして、償還の担保とすべき連帯保証人への請求は非常に重要なものであると考えております。

 今後は、引き続き債権管理プロジェクトとも連携し、現滞納者の連帯保証人への請求強化は当然のことながら、滞納初期段階においても、きめ細やかな対応での貸付金回収を推進してまいりたいと考えております。



【1の答弁を受けて】伊東の発言

 積極的なご答弁、有り難うございました。

 本人に対する請求はもちろんのこと、ぜひ、法的手段を含めた、連帯保証人への請求の強化にも取り組んで頂き、更なる償還率の向上を目指して頂きたいと思います。


 また、ご答弁の中でも言及がございましたとおり、この制度を持続可能なものにするためには、貸付金の回収が重要です。

 原資は市民が納めた税金であることを考えれば、「市民負担の公平性」を確保するためにも適正な債権管理が不可欠であって、それを怠ることは許されません。

 そんな中、「富田林市債権管理条例」に基づく債権放棄額が約1,296万9,084円というのは驚くべき金額です。

 債権管理条例により放棄された債権はこれだけではありませんので、他の公債権、私債権等も含め、改めて議論させて頂ければと思います。


 「1」の最後に、誤解の無いように申し添えておきますが、私は決して「弱い者いじめをしろ」と言っているわけではありません。

 公債権、私債権を問わず、請求を強化し、積極的なコンタクトを取ることは、むしろ、本当に支援を必要とする方々の早期発見につながると考えております。


 「1」については、以上でございます。