NHKからの取材を受けて ~自粛と自己責任~ | 伊藤ギター音楽教室 札幌のギター教室(琴似、月寒、白石)

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伊藤ギター音楽教室の伊藤博一です

 


 
先日、新型コロナウイルスによる自粛でフリーランスに与えている影響についてNHKから取材を受けました。
4月2日の放送を自分でも観て、取材で話した事、取材では話さなかったけれど思っている事などを書きます。
前回のブログでは「ギター教室を休講にするかの葛藤やギター教室への想い」について書きました。
今回は自粛と自己責任といった行動に対してやそれに伴う補償に対して思う事を書きます
 
「先が見えない」
これは本当に恐怖です。
 
北海道では2月下旬に緊急事態宣言が出され、不要不急の外出は控え、特に週末の外出は自粛するよう求められました。
また、学校は長期の休みとなりました。
 
緊急事態宣言が出された直後は北海道での感染者数は多いものの全国的にはそこまでではなく、今ほど騒がれていなかったと思います。
しかし、この頃から一部の個人事業主、フリーランスは苦境に立たされていました。
 
私自身も前々回の記事で書いた通り収入が4割減になりました。
 
ライブバーでは収入7割減とか閉店したお店もあると聞きます。
私の師の教室もグループレッスンは休講になったり、個人レッスンもお休みが続いたりと聞きました。
音楽業界だけをみても大変な事態となっています。
それは現在でも回復していません(2020年4月3日現在)
 
話を緊急事態宣言に戻しますが、当初は新型コロナウイルスはそこまで恐れるものではないという情報も流れていました。
しかし重篤化すると死の危険が高い事と、中国の武漢での惨状を映像で見てとても危険なのではないかと思った人もいると思います。
となると感染防止のためなるべく人と接触しないようにし、自宅から極力出ない様にした方がよいと考えると思います。
私のように個人経営のギター教室の場合は休講、お店をやっている方の場合閉店。
しかし私達にも生活があります。
危険なのか気を付ければ大丈夫なのか、大丈夫な可能性が高いなら気を付けながら営業を続けるという方が多いと思います。
けれど私達はウイルスの専門家ではないので判断ができません。
 
出されている指示は「自粛」
 
しかも教室や店舗側に営業の自粛を求めるのではなく、いわば利用者側に行動の自粛を求めるもの。
この「自粛」という都合のよい言葉は私達を間接的に苦しめます。
※営業している側にも自粛を求められているかもしれませんがその辺は詳しくないのでご了承下さい
 
これが教室や店舗に対し営業を休止するよう指示や命令であればその分の補償を求める事もできますが、あくまで行動を自粛するのは利用者。
そして私達は生徒さんやお客様に自粛したからといって補償を求るような事は当然しないです。
また、教室や店舗に対して営業の自粛を求めたとしても、最終判断は個人に任せ、自己判断なので責任は取らないという意味にも捉えられます。
 
危険な可能性があるなら休講にすべき!営業を休止すべき!という意見もあると思います。
しかし収入が無くては今度は生活ができません。
しかもテナントを借りている教室やお店だと家賃が発生するので収入は無くても支出はあるという状況になります。
緊急事態宣言が出された時、テナント料といった地代家賃の補償、生活の補償が出るならリスク回避のために完全休講や営業を休止する人も多いと思います。
 
自粛と補償はセットにして欲しいと切実に願います。
先が見えないからこそ強く願います。
そうすれば防げた感染は沢山あり、廃業に追い込まれず済んだ個人事業主は多いと思います。
 
少し話が大きくなってしまいましたが、私自身の事で思った事をもう少し書きたいと思います。
苦境について長々と書きましたが、前々回の記事でも書いた通り私の所は収入が4割減で済んでいます。
しかもスタジオ代や交通費が発生しなくなった分支出も減っているので、他の同業者の方よりは状況はましなのかもしれません。
 
私の教室は2月下旬に休講期間を設け、3月上旬はほぼレッスンが無い状態で中旬辺りから少しずつレッスンを再開し始めました。
その間生徒さんに休講のお知らせやレッスン再開の見込み、質問は無いかなどメールやLINEで連絡を取っていました。
 
最初の頃はメールの文面を何と送ろうか悩みました。
琴似教室は休講、月寒教室は営業するけれどお休みされてい方は休んで頂いて構わない。
感染リスクを考えると休んでもらった方がよいがレッスンを楽しみにしている生徒さんもいる。
真っ先に思い浮かんだのは「自己判断」という4文字の言葉でしたが、この言葉を使うのに抵抗を感じました。
その時は抵抗を感じた理由はハッキリわかりませんでしたが「自衛最優先としお休みされる方はお休み~」という言葉を使う事にしました。
 
あの時感じた「自己判断」という言葉への抵抗は後からより強い抵抗に変化していきました。
理由は幾つかあります。
ここまで読んでピンときた方もいるのではないでしょうか。
一つは「自粛」という言葉同様、責任を相手に委ねるという事。
生徒さんに対し「自己判断」でレッスンを受けるか受けないか決めて下さいというのは、判断と責任を生徒さんに丸投げしている事だと何となく気付いていたのだと思います。
はっきり気付いてからはお休みについてこちらからお願いするメールを送る事もありました。
 
また、SNSでは「自己責任」という言葉を目にする事が増えました。
「自己責任でイベントに来てください」とか、行動への批判に対し「自己責任で参加するから文句は言うな」という言葉を見かけた事もあります。
何かあっても自己責任ならばよさような気もしますが、他人を巻き込むものは自己責任の範囲ではないと思いました。
人の集まる場所に自己責任だからと行って感染し、その後会った人や同居する家族が感染し・・・
こうなっては自己責任では済みませんよね?
 
ただ、私はイベントに参加したり、外出する事自体は批判していないです。
私も3月に2回程飲みに行ったりもしました。
ただ、自己責任という言葉を免罪符の様に使ったりその言葉だけで片付けようとする事はいけないと思います。
 
「自己判断」という言葉に抵抗を感じた他の原因として、「自己責任」という言葉をSNS上で見ていて近いものを感じたのかもしれません。
 
長々と3部に渡って書きましたが、新型コロナウイルスについては一刻も早く収束して欲しいです。
これはきっと皆さん思っている事だと思いいます。
ただ、思いが時に暴走してします事もあります。
今回の件でウイルスの怖さと共に人の怖さを感じた人も多いと思います。
そんなギスギスした雰囲気を和らげるのも音楽や芸術だと思います。
先が見えない状況ではありますが、私がギター講師として仕事を通してできる事を考えていきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。