日本人は「改革」という言葉に酔う傾向がある。
菅義偉政権はこの心理を巧みに利用して、表では「改革」をアピールしながら、その裏では既得権益者から利権を奪取する「仕組み作り」に熱心に取り組んでいる。そのシンボリックな動きが「デジタル・ガバメント(電子政府)」である。
新型コロナ禍は、日本政府機関のデジタル化の遅れを浮き彫りにした。安倍&菅政権は、これを好機と捉え、さる7月の「骨太の方針」で次世代型行政サービスの強力な推進として、「デジタル・ガバメントの断行」を打ち出した。
骨太の方針では、民間の人材・技術・知恵を取り入れ、徹底した見直しを行い、ベンダーロックインを避けるとしている。ベンダーロックインとは、システム改修を開発ベンダ(事業者)しか実質的に実施できないなど、特定のベンダに依存せざるをえない環境のことで、早い話、改革の名の下に霞が関官庁とIT企業(ITソフト会社等)からデジタル利権を召し上げることである。
政府全体で様々な行政手続のデジタル化を一気に実現するとし、行政のデジタル化の集中改革を強力に推進するため、「内閣官房に民間専門家と関係府省庁を含む新たな司令塔機能を構築する」とした。これが、「デジタル庁」である。
これらの施策を一元的に推進するため、関係法令の改正を含めたIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、〈平成12年〉)の全面的な見直しを行う。これにより、「政府CIO(最高情報責任者)の機能の強化等を定め、政府全体に横串を刺した社会全体のデジタル化の取組の抜本的強化を図る」とした。
安倍政権で内閣府副大臣だった自民党の平将明議員は、IT基本法改正案の柱が政府CIOの権限強化であり、これと合わせてIT予算の集約化を行う、と言う。つまり、IT予算のうち700億円は政府CIOの下で一括計上する改革を行ったが、今度はIT予算全額4000億円を政府CIOの下で一括調達、計上して、そこに集約することにした、というのだ。
言うまでもなく政府CIOが一人では4000億円を差配できるはずはなく、自ずと周囲のデジタル庁関係者や官邸が絡むことになる。そればかりか何と、あの竹中平蔵がすでに絡んでいるようなのだ。竹中と言えば、小泉政権当時、菅総理が総務副大臣だったときの総務大臣=元上司部下の関係である。
底知れぬ胡散臭さを感じざるを得ないのだ・・・。