なぜ、国民健康保険(国保)の保険料滞納が増加しているのだろうか?
しかも、2000年以降に差し押さえ件数と金額が急増しているのは、なぜだろうか?
これらの疑問を解くには、国保の実態を把握しておく必要があろう。
2月1日の参議院・予算委員会で、日本共産党の倉林明子氏の質問に対して、加藤勝信厚労相は次のような数字を明らかにした。
<直近(平成27年度末)の国民健康保険料滞納金額(累積の滞納繰越額)は約9322億円、2015年度単年では2500億円、2015年度の差し押さえ件数は延べ29万8000件、金額は968億円になっている。>
倉林氏は、平成27年度の「加入者1人当たりの所得に対する平均の保険料負担の割合」を示した。それによると、国民健康保険は10.0%、協会健保では7.0%、組合健保では5.8%となり、「国保の負担率は他の健保に比べて重い」。
それにしてもなぜ、国保の負担がこんなに高くなったのだろうか?
国保加入者の実態をみると、加入者の世帯主の職業は制度発足時(1965年)と直近(2015年)では様変わりしている。発足当時は農林水産と自営業が7割を占めているのに対して、今は圧倒的に非正規被用者が増えており、非正規労働者と無職(年金)で8割を占めている。
非正規労働者が2000年ころから増加したのは、小泉政権下で労働規制が大幅緩和されたことが背景になっており、安倍政権では元々非正規に冷淡な上に、「働き方改革」という名目で、さらに経済弱者、過労死予備軍を増やそうとしている。
また市町村健保(国保)、協会健保、組合健保を比べると、65歳から75歳の年齢は市町村がほぼ4割と極めて高い。医療費は他の2つの健保のほぼ2倍を超えている。平均所得はほぼ半分。「制度発足時から見ても明らかに加入者の負担が重くなっている」ことが判る。
こうなると、今後も弱者に冷淡な安倍政権下で、国民健康保険の保険料滞納と差し押さえが増加する可能性が高い、といわざるを得ない。