理系の子 | 科学教育プログラム ithinkplus

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いろいろお伝えしていければな~と思います。

この秋、高校生を対象にしたアメリカの科学フェア(International Science and Engineering Fair)について書かれた本を読みました。

 「理系の子―高校生科学オリンピックの青春」
 ジュディ ダットン (著), Judy Dutton (原著), 横山 啓明 (翻訳)
 文藝春秋

 "Science Fair Season: Twelve Kids, a Robot Named Scorch . . . and What It Takes to Win"
 Judy Dutton

凄い子たちがいるもんですね。頭が切れるだとかではなく、何が凄いって、好きなことをとことんやる!ってこと。その子たちを認める社会があり、自分のやりたいことを自分の力で切り開いて行けること、いいですね。

アメリカ発祥の大会FLLと共通点もあり、FLLなどサイエンスフェアが盛んな理由と、どのような意図があるのか、新しい気づきもありました。なるほど、そういうことなのねって。

そして、読んだだけでは気持ちがおさまらず、2012年世界大会でFLLの上位カテゴリーFRCに参加していたアメリカの高校生、しかも日本人の女の子、Rさんに連絡をとり、本に書かれていたことが、本当なのかと色々質問させて頂きました。そうしたら大変素晴らしい回答が返ってきました! この素晴らしい回答をみなさんとシェアしたいと思います!

Q:Falconsメンターからの質問
A:Rさんの回答
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Q : 一般高校の数学、理科、技術(以下、理系)の授業は理系好きな生徒にとって物足りない?

A : そうですね。一般の数学、理科、技術は理系好きな生徒にとっては物足りないかもしれませんね。でもアメリカの高校の授業は選択式なので、難しいクラスをとることもできます。実際APクラスと言って大学レベルの授業を選択することもできます。私も化学や数学のAPをとったことがあるのですが、やっぱり大学レベルなので、難しいです。大学では1年生の時にとるような授業ですが、やっぱり他のクラスとは桁違いです。APクラスは難しい分、GPAが Weightedされます。アメリカでは、オールAをとったら、4.0のGPAとして記されます。しかし、4.0以上のGPAをとることも可能なんです。つまり、4.0以上のGPAをとっている子達はAPクラスでAをとっている子達なんです。一年の終わりに全国共通のAPテストがあります。このテストを受けるか受けまいかは生徒の自由です。成績には全く影響しません。このテストの成績は1から5の数字で表されます。5が一番いい成績です。もし成績がよければ、大学によっては授業が免除されます。5の場合は数クラス免除、4は2単位免除など。大学にもよりますが、大体3以上は単位を免除してくれます。アメリカの授業料はとても高いので、6000円程度のテスト料金だけならば、本当に助かります。だから大勢の生徒はAPテストでいい成績をとれるよう、クラスをとります。あとGPAも上がり、大学に書類を送ったときにこの生徒はこんなにAPクラスをとっていたのかと評価が上がります。アメリカは向上心の国だと思います。チャレンジしようと思えば、いくらでもチャレンジできるのです。一般高校のクラスが物足りなかったら、さらに難しいクラスをとればいいだけの話なんです。高校レベルじゃ物足りなくて、実際、大学で数クラス授業をとっている子も私の友達ではたくさんいます。チャレンジするか、するまいかの差だと私は思います。
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Q : そもそもISEFなど科学フェアは、広く知られていますか?

A :ちょっとよく分からないですね。広く知られているとは思うのですが、やっぱりScienceに興味がない人だと知らない人も多いいかもしれません。でもアメリカでは、幼いころから、Science fairなどをやるようすすめられるので、そういう科学フェアは広く知られています。実際私の中学では科学フェアに出場をすることでボーナスポイントを貰えました。ただ、ISEFではなく、学校全体でやるような規模のものでした。科学フェアは皆知っていますが、ISEFと言われると分からない人も多くないと思います。私も実は高校に入学してからISEFというフェアを知ったんです。私の学校は高校4年全体で200人という小さい科学に力を入れているオプション校です。School of Science and Technologyと言います。皆はSSTと呼びます。やっぱり科学に力を入れているだけあって、ISEFをやることで単位をもらえるようなシステムになっています。私もISEFに参加するようになってから今年で4年目です。やっぱり周りの影響だと思います。ISEFは科学に興味がある人は誰でも知っていると思います。私の学校では知らない人はいません。
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Q : ISEFに参加する生徒は特別な才能をもった子だと思いますか?

A : そうとは限らないと思います。私の学校では単位が貰えるのであまり頭がよくない子でも参加しています。参加は誰でもできます。ただやっぱりすごい時間と努力が必要なので、皆が皆フェアまで行ける訳じゃないですね。でも大学に書類を送るときなどにこういうフェアに参加したと言うとプラスになります。私もISEFのRegionalフェアで1位をとったので、履歴書にのせるようにしています。そうするとやっぱりたくさんの人が興味をもってくれます。でもやっぱり県大会などになると桁が違いますね。はっきり言って、皆何の研究をしたのかちんぷんかんぷんです。私の先輩にISEFでInternationalまで行った人たちがいます。Internationalで賞もとりました。オバマ大統領にも会って彼らの研究を発表しました。たしか、世界初、手に収まる放射線なんたらかんたらとかちょっと理解できない機械を作りました。やっぱり、彼らはその分野には長けてました。天才というほどではありませんでしたが、好きな分野については天才的でした。ISEFに参加する子達皆才能を持った子ではないと思いますが、たくさんの人才能を持っていると思います。特に勝ち進んでいく子達はその分野にたいしては特別な才能を持った子達だと思います。
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Q : スポーツの出来る生徒の方が人気者で、理系好きの生徒はオタクというイメージを持たれますか?

A : はい。やっぱりアメリカでは一般的にはそうなってしまいますね。(笑)アメリカンフットボールプレイヤーやチアリーダーがポプラーグループに入ります。あくまでステレオタイプですが、一般的にはそうです。私の学校はオタクというよりもNerd学校だと思われています。
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Q : 本の中では、理科の教師や大学の職員の協力も研究を成功に導く大きな要因であるよに思います。Rさんの周りを見渡し、地域の中に協力してくれそうな、または声を掛けやすい専門家はいますか?

A: はい、たくさんいます。大学に連絡をすれば専門家たちがMentorとしてついてくれることもあります。ただ、プロジェクトプランが気に入ったらの話ですが。興味を持ってくれなかったら別の話です。研究所も借りることができます。6ヶ月待ちとかは普通ですけど。アメリカはメンターシップが多いです。実際私の友人の数多くはメンターがついています。メンターは科学フェアの実験のサポートをします。
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Q : 賞を受賞することによって学校の知名度をあげようと、先生が熱心になりすぎていないでしょうか?

A : なっているところもあるかもしれませんね。実際私の知っている私立高校は先生がすごく熱心です。私立なだけあって、お金でのサポートも桁外れです。研究所、メンターは当たり前です。やっぱり実験するのにもお金はかかります。その分やっぱりレポートから何までもクオリティーが高いです。熱心になりすぎかは分かりませんが、他に比べたらずいぶん熱心ですね。Judge もここの高校の関係者が多いです。
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Q : 本の中で受賞しスカラーシップや賞金を獲得し、大学に進学しようとする生徒が紹介されていました。このような動機は珍しくないことなのでしょうか? 周りの大人も、スカラーシップや賞金を獲得することについて肯定的でしょうか?

A : 物凄い肯定的です。(笑)私は親にスカラーシップ貰えないようだったら大学に行くなと言われています。アメリカの大学はすごく高いので、どれだけスカラーシップが貰えるかによって大学選びする人がほとんどです。例えいい大学に受かっても、スカラーシップなしでは非常にきついです。だからそこそこの大学でもスカラーシップがたくさん貰えるならばと、いい大学を蹴る人も珍しくはありません。はっきり言って大学にうかるかどうかじゃないんです。どれだけお金でサポートしてくれるかなんです。だからISEFやFRCなどスカラーシップをたくさん出してくれるプログラムは人気なんです。
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Q : ISEFに参加する生徒にはスポンサーがつくこともあるようですが、Rさんの周りでも、企業お金を出して支援するといったことはありますか?

A : はい。たくさんあります。大学がお金を出してくれるケースが多いですね。私の親しい友人もISEFの際に研究所が必要になったので大学に連絡したんです。研究所を使うのにはメンターが必要です。幸い教授も興味を持ってくれたので、交渉は成立しました。ここの大学では研究をすることによって10万円貰えます。支援のお金と一応働いていることになるので、給料込みだということだと思います。他にも企業が出してくれたというケースもたくさん知っています。スポンサーシップは特に珍しいことではないと思います。勝ち進んでいく子達はこういうケースの子が多いです。

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最後に二つ。

一つは、「理系の子―高校生科学オリンピックの青春」お薦めです。是非手にとってみて下さい!

もう一つ、FLLに挑戦することにより、Rさんのように国境を越えたつながりを持つことができます。世界目指してがんばって下さい!