最近は仕事がずいぶんと遅く、
整骨院やらなんやらで、とかく忙しい毎日です。
来月は3連休があるので、
ひとりで長崎県は軍艦島に旅行に行ってきます。
友達もいないので、
ロードスターを飛ばして
廃墟を見てきます。
中学生の頃、「深く潜れ」という
鈴木あみさんと小西真奈美さんが主演の
ドラマをみて、軍艦島を知ったのですが、
それ以来、僕にはそこが何だか行ったことのない
故郷のように感じて、
とうとう齢30歳にして初上陸・初里帰りというわけです。
中学生の頃はお小遣いはほとんど音楽に使っていたせいか、
お金のかかる映画よりも、テレビドラマを
よくお家で観ていたのですが、
特に野島伸司の作品、『未成年』を繰り返し観ていました。
当時としては、過激な演出があって
同級生でも話題のドラマであったわけですが、
僕はそれよりも、最後の主人公の演説のシーンが
とても好きでした。
学校の屋上から、
いしだ壱成が弱者の論理を語るのです。
その屋上は、実際の学校で見るよりも
非常に高く見え、
小さくか細い声なのに、
朝方の澄んだ空気を咲くような、
過剰ともいえるほどのよく通る声で、
ある種の抵抗を試みるものでした。
何にしろ過剰なものというのは
迫力があるものです。
とにかく大きい、とにかく高い、
とにかく多い、とにかく美しい。
絶対的な量的・質的な過剰さ、
肥大したエントロピーの前には、
人間は少なからず畏怖を抱くものではないでしょうか。
高い所からの演説といえば、
タルコフスキーの『ノスタルジア』で
おじさんが火の見やぐらみたいなところで
演説を終えて焼身自殺をするシークエンスがありますが、
その過剰さったら、「世界の終わり」の象徴なのです。
というわけで、『未成年』で、学校の屋上=高い所から
演説をかましたのが、我らがいしだ壱成でした。
『奇妙なサーカス』で久しぶりにいしだ壱成をみた僕は、
思ったよりも鼻が大きくて、
おそろしくアゴがないお顔だなと思いました。
(彼もまた一種の”過剰さ”を持った俳優です)
そのいしだ壱成の、演技はともかく、
彼自身から滲み出る過剰さは、
園子温の作品としては、非常に興味深いものでした。
園子温は、ここ最近で一気に観まくっているのですが、
多くの作品に共通しているのが、
”現実”という、我々が対峙せざるを得ない
徹底的な”過剰さ”に対して、
言い逃れも言い訳もなく、ただ直線的に
抵抗する・闘争するということです。
『愛のむきだし』では宗教団体、
『紀子の食卓』では家族、
『冷たい熱帯魚』では圧倒的な暴力、
『恋の罪』では性あるいはモラル、
『ヒミズ』ではお金や将来であるように、
差し迫った”現実”としての社会に対して
我々は自覚的であれ無自覚であれ
それを受容し折り合いをつけて生きていかなければ行けないのですが、
その抗いがたい過剰さに対して
抵抗する、闘争することは、
本来の意味での「希望」ではないでしょうか。
『奇妙なサーカス』では、
現実も過去も、すべてを血糊の嘘で塗り固める
人物が出てきますが、
彼女にはほとんど希望はないわけです。
過剰な現実に対して、
それはそれとして認識した上で、
抵抗し、闘う。
そうしないことには、僕らには果たして希望はないのです。
大江健三郎が彼のエッセイで
「嘘をつかない力」と言っていましたが、
自分の人生に対して、嘘をつくことは、
ほとんど無自覚に、無抵抗に生きていることなのだと思います。
僕も「嘘をつかない力」が十分に備わっている人間では
どうやらないようですが、
自分の人生に対して自覚的であること、
それを前提として抵抗し、闘争を続けることは、
結局は未来であり、希望なのだと思います。
それにしても、宮崎ますみさんという女優は、
当時で37歳くらいなのですが、
目元のシワ、乳首と乳房の変色・たるみ、
髪のツヤ感、指先の乾燥具合をみる限り、
40代後半のそれに感じました。
別に歳をとって見えるから悪いとか
美しくないとかじゃなく、
僕はそれはそれで魅力的だとは思うのですが。
(若さは若い人間に任せたらいいのです)
いしだ壱成のことには結局ほとんど触れず終いでしたが、
すっかり忘れていました。
文章を書くことに熱中すると、
”無自覚”に書き進めてしまうのです。
次は、園子温監督の『気球クラブ、その後』を観る予定です。
これは多分、ブログには書かないだろうと思います。
それと、4月から、『みんな!エスパーだよ!』というテレビドラマが、
園子温監督で放送されるみたいなので、
今から楽しみで仕方ありません。
最近読書があまりに疎かになっているので、
次は読んだ本のことを書けるといいな。
現在、『百年の孤独』と『車輪の下』、
阿部和重と旧約聖書が同時進行。
希望は、ない。
奇妙なサーカス Strange Circus [DVD]/東宝

¥5,040
Amazon.co.jp
深く潜れ~八犬伝2001~ DVD-BOXセット/徳間ジャパンコミュニケーションズ

¥25,200
Amazon.co.jp