新しくなったアプリケーションに触れたときにたいていの人は「使いづらくなった」という言葉を口にするわけですが、確かに使いづらくなっているというパターンも存在するものの、普段使っている操作から変わってしまったことへの不満からきている場合も多かったりします。
またあれこれ操作方法を覚えないといけないとか、あの機能を使うにはどこへ行けばいいのかわからないといったマイナスの印象が大きく出てしまうわけですけど、つまりは慣れてしまえば気にならなくはなるというものであったりもするわけです。
この慣れの問題というのは結構厄介で、ユーザーが受け取る第一印象によって必ず出てしまう不満の一つでもあります。
欠落してしまう客観的評価
もし、初めて使うアプリケーションやデバイスなどを評価してほしいといった場合、ユーザーは冷静に幾つかの対象を比較することはできると思います。
A案とB案のUIのどちらがよいか、製品Xと製品Yはどちらが優れているかなど、客観的意見をもって判断を下すことができるわけですけど、普段使っているものを大きく変えるとなると、たとえそれがより良いものになっているとしても、大抵は反発が起きたりします。
それは、よりよいものになった印象よりも、自分的にベストにカスタマイズしている、または長い時間をかけて覚えたスキルや知識を台無しにされてしまうということへの嫌悪感があるからかもしれません。
だから、大きなバージョンアップの直後は不満が続出したりもするのですけど、こういった慣れれば済む問題というのはユーザーに向けてそれを声を大にしていえるものでもなく、時間をかけて浸透を待つしかないわけですけど、その過程で最初の不満の多くは忘れられていったりもします。
ただそれが良いわけでもなく、本来評価してほしいところを冷静に判断してもらえず、ユーザーが内心を思っている確実に悪くなっている点も同様に忘れられてしまうのが厄介な問題だったりします。
つまりは、サービス改善後のユーザーの意見というのは、単に変わってしまったことへの不満が大きいだけの場合もあったりして、どの点が前回より評価として低くなったのかということを集約しづらく、またサービス改善から一定の時間が経過してしまうと、前の状態や操作性を細かく覚えているユーザーも少なくなり、これまた評価を得にくい状況になってしまうということです。
また、ユーザーがサービスや操作性に慣れるその習得スピードとサービスの改善スピードが比例しない場合も多く、大きなサービスであれば機能改善というのは小さな変更を積み重ねて徐々に変化させて行ったりもするわけですけど、それがどこかで限界を迎え大胆な改善に踏み切り、ユーザーの不満を買ってしまうというニュースなどで話題になったりします。
この辺りはサービスの流行りなどもあって、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの満足度の向上などが相容れない関係になってしまう例でもあります。
意図しないところで慣れてしまうユーザー
サービスの使い方というのは人それぞれではあるのですが、運営側が「こういう風に使ってほしい」という意図と実際にユーザーが使っている実情というのは結構乖離しているケースがあったり、良くも悪くも本来の使い方とば別のところで盛り上がりを見せたりもあるんですけど、それによってはサービスを改善する妨げになったりすることもあったりします。
ユーザーも悪知恵が働くというか、本質をきちんと理解している人がいて、運営側が「こういう使い方はされないであろう」と思っていても、ユーザーからすれば「やってみたらできたからそういう使い方をしてました」って人は結構いたりするわけです。
こうしてユーザーのサービスの使い方がデファクトスタンダードになって慣れてしまい、ただ運営側が意図しないところであったり本来それは認めていないという理由でそのサービスの使い方を突然禁止とかするとかなり大きな反発を呼ぶことにもなります。
まぁ、これは運営側がそれを予想できてなかったところに非はあるわけなんですけど、社内システムとかにおいてはいろんな禁止事項を掲げる中で、それがシステムの制約として反映できているものとルールで縛るものとがあったりして、ただ後者のものはやれば実際にできてしまうところから、一部のユーザーではその使い方が常態化してしまうケースがあったりします。
また、アプリケーション上の操作というのは最もベーシックな機能から、知っていれば便利というものまで幅広く用意されていたりするわけですけど、最終的に使う機能が同じであろうともそのたどり方や使い方というのはユーザーによって異なってきます。
これにより、ユーザーがある機能を使う際にどういった操作に慣れているのかというのはかなり細分化されてしまうので、特定の機能の改善によって不満を持ってしまうユーザーも多少なりとも必ず出てきてしまいます。
この辺はユーザーのアクセスログなどから統計が取れるのでどういった操作が最も一般的なのかを洗い出して改善における影響度を調査していけばいいわけですけど、意図しない使われ方が定常化してしまうと、ユーザーの慣れが邪魔してそれを受け入れがたくしてしまったり機能を変えることが難しくなることになってしまいます。
まとめ
ユーザーが慣れているというのは、それだけよくサービスを利用してくれているという裏返しでもありますから、それを変える場合はかなり慎重にやっていかないと不満を持つ人も増えてしまいます。
また、不満が出た際にその本質の不満を掘り起こす作業というのは結構根気がいる作業となり、単に機能が変わったから使いづらいという意見だけでなく、なぜ今の機能じゃダメなのかを探っていく必要が出てきます。
逆にその不満を放置してしまい、しばらくたつとユーザーが何も言ってこなくなったから「これでよかったんだ」という盲目的になってしまうのも怖いところではあるんですけどね。
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