マニュアルってそもそもITサービスに向いてないんじゃないかって話 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

特に業務系のシステムの場合、そのサービスを利用するにあって何十ページもあるような分厚いマニュアルが作られたりもするんですけど、最初はユーザーのためにもマニュアルは必要と思ってたりもしてましたけど、最近はそもそもITサービスにマニュアル自体が向いてないんじゃないかと思ったりしてます。

 

 

マニュアルがあるせいで進化できないサービス

 

 

 

一つはマニュアルがITサービスの進化の過程で足かせになっているケースが多く見受けられることです。

 

マニュアルにはスクリーンショットと一緒に説明を入れたりするものが多いですが、そのせいで画面自体を変えることに抵抗されることがあったりします。

単にボタンの配置や色、表示されているメッセージを少し変えるにしても「マニュアルを差し替えないといけないからダメだ」(または時間をくれ)といわれることもあって、よりよい方向に変えるにもかなりの労力を費やす羽目になったりします。

 

また、そもそもITサービスの進化のスピードとマニュアルを整備したり教育したり、周知したりといった運用のスピードにかなりの差があったりして、一昔前ならこれは逆だったんでしょうけど今やシステムの進化や変化の方が早く、運用側がそれについてこれないといったこともあげられます。

 

もちろん、仕事が遅いというわけではないのですけど、教育したりそれを提供している客に連絡して現場で混乱しないようにするといったことは人間が介在する分、かなりスピード感がでなくなってきます。

システム開発のスピードは向上するものの、マニュアルなどは相変わらずオフィスソフトを使ってドキュメントを修正したり、メールやユーザーにお知らせする機能を使って情報を拡散するといった物理的な時間の制約が伴うものが多く、サービスの変化についてこれない状況になってきたりしています。

 

今やサービスの変化というのはよっぽど大きな変更は除いてユーザーに告知することなく(実際には告知はしているものの多くのユーザーはそれを知らなかったり)変わっている事が多々あったりします。

 

ソフトウェアを立ち上げるごとにバージョンのチェックが入って日々細々としたマイナーバージョンのものへとアップグレードが繰り返されてたりしますし、急にサービスメニューが増えたり変更となったりしていて不満を持ちつつも、使っている以上はそれに追随しなければならないわけです。

こういったことが当たり前の世界になりつつありますし、ユーザーもそれに慣れてきてたりもするので、そういったサービスの非情に短いサイクルでの変化の中でマニュアルの存在意義というのはますます薄れていっているのではないかと思います。

 

 

マニュアルがないと困るものはあるか

 

 

 

じゃあ、マニュアル自体は一切要らないのか、といわれたら個人的に困ることも多かったりして、例えば開発する上で必要なメソッドやAPIの仕様の説明、開発規則や設計書などはないと仕事にならなかったりするんですけど、こういったものでも最新リリースされたバージョンのAPIなどにきちんと付いていけているドキュメントとか少なかったりします。

 

まぁ、OSS系とかは有志によるものだったりしますので当然そういったドキュメントの整備とかはコミットされているわけではないですし、開発の第一人者やコミッタによって公開されている情報である程度概要がわかったり、そもそもOSS利用するなら自分でソース読めとか動作確認しろというのは当たり前だったりもするので文句はいえないところではあります。

 

結局のところ、ITサービスの進化についていくにはある程度自分で情報を追いかけていく努力が必要となるんでしょうけど、一般的なITサービスを使ってみても、初見で全く使い方がわからないといったものはほぼ無く(あったらたぶんそれ以上使わない)、そのマニュアルはUIの説明をするというよりは、仕様的な説明をするものに置き換わっており、これはマニュアルと呼ぶよりもどちらかというとFAQやQ&A的な使い方をしているものが多かったりします。

 

 

要は旧来のマニュアルといったものは役目を終えつつありますし、そういったものが無くてもわかるものが求められていたりしています。
数年前までガラケーだらけだったのに今やスマホだらけで、その過程で一定の不便さを感じることはありつつも、使い方が全くわからなかったという苦労をした人はあんまりいなかったんではないでしょうか。

 

現に、70歳を超える親にiPad渡してもすぐに使えていましたし、当時3歳の姪っ子も普通にYoutubeとか自分で見たりしているわけです。

 

まぁ、ユーザーによってはサービスや機器を使っていく中で結構細かいことを突っ込んでくる人もいたりしますし、特に機械系とかなら思わぬ使い方をして怪我をしたとかいった場合に訴えられても困りますからこういうことはしないでくださいって注意喚起をマニュアルに盛り込むようにもしたり、データが消えたとか保障する・しないとかの話も盛りこんだりということしているとかなり分厚いマニュアルができあがるわけですけど、こういったものはどちらかというとマニュアル自体が自己防衛の目的が強かったりします。

 

こういったものは利用規約などに吸収されてたりもするんですけど。

 

ということで、結局のところ分厚いマニュアルなんてユーザーは細かく読まないですし、マニュアルがなくて利用できるサービスというものがよいですし、同業他社のサービスに負けないためにも進化のスピードが求められてきますし、それを実現するためにも足枷になるようなものは作るに見合わないのではないかと思ったりします。