そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない知的財産権のルール (ソフトバンク新書 66)
ネットと技術が大衆化した今、できる事とやって良いことの区別がなかなか付きにくい時世になってきています。
例え知らない事でも、検索エンジンを通して調べてみるとそれが可能な技術を簡単に探すしだす事は、簡単にできてしましす。
しかし、できる事イコールやって良いこととなると、人間は大抵の罪を犯すことはできてしまいます。
罪を裁くために法律があるわけですが、我々はその法律の内容をほとんど知らずに生活しています。
「人を傷つけてはならない」という当たり前のことは、法律を学んだ事が無い人でも幼い頃からの先生や両親からの教えで知っていたりはしますが、その当たり前のこと以外にも、当たり前に罪になることは世の中には沢山あるわけです。
我々にとって身近なネット上での違法なダウンロードやアップロードに関する問題も、最初に書いたようにそれが可能な技術が大衆化してしまい、周りを見渡せば「あの人もやっているからいいでしょ」という状況になっているからだと感じます。
しかし、法律に定めている事を犯すことは我々がこの国で生活する以上、罪となってしまいます。
もし仮に誰かから権利を侵害していると訴えられたとしても「みんなやっているよ」という事はいいわけにもならないため、何をやってはいけないのかと言う事を知っておく事は重要な事になるかと思います。
この本では、主に知的財産権に関する法律と私たちの身近にある出来事をQ&A方式にして書かれているため、比較的読みやすい構成になっています。
また、本のタイトルの通りブログやネット上のサービスに関する問題について取り上げられているため、より身近な問題と著作権や商標権などの法律を照らし合わて読むことが事できます。
※ この本のタイトルからはネットに関連した問題ばかりが扱われているように見えますけど、ネット関連の話題は
半分ほどです。残りは、企業として知的財産をどのように取り扱っていくべきかについて触れられています。
例えば、
有名人の写真を勝手にブログに載せてもいい?
と言う問題や、
違法サイトからのダウンロードは著作権侵害ではない?
とか。
我々がネットと付き合っていく上でとても身近な出来事です。
私が個人的に知りたかった事は、まさに本エントリに関する事で、
原文を引用する場合、誤植を訂正してもよいか?
という問題で、ここでは書評をブログとかで書くにあたって、本の内容に誤植があった場合、それらを勝手に訂正する事が法律違反かどうかについて書かれています。
これには、
しかし、たとえ誤植の訂正であったとしても、著作者に無断で行う事は著作者の「改変」にあたります。 (略) 誤植の訂正のような、著作物の内容に影響しない形式的な表記方法の変更であっても、この「改変」にあたるので、注意が必要です。
と記載されています。
ただ、私はそれよりも、そもそも書評をする際に本の内容を引用する事は問題ないのかという点が知りたかったのですが、これも書かれており、それには
著作権法では、「公表された著作物は、引用して利用することができる」と規定しています。そして、この場合の「引用」は、「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」とされています(著作権法32条1項)。
とあります。
本の内容を簡単に複製してネット上に公開することは簡単にできますが、この場合やれる事とやって良いことがこれでイコールになったわけです。
※ もちろんここで引用した部分だけでなく、もう少し細かい条件がありますのでその範囲内でと言う事
以前に読んだ「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? 」の中でも、こういったネット上の問題に対して法律上の穴がある事を指摘していましたが、それもひろゆき氏自身が法律についての知識があるからだと感じました。
(個人の倫理観は置いておいて、法律だけを見てみるとどうしてもそのような抜け穴が存在すると言う事)
逆に言えば、法律を知れば違法と思われることを平然とできてしまう可能性もあったりするわけです。
この場合もやれる事とやってよい事がイコールになってしまう世界。
身近なところで少しだけ法律について興味を持たせてくれた本でした。