ベストカー主催 水野和敏さんトークライブに行ってきた | Italiaspeedのロックな毎日

ベストカー主催 水野和敏さんトークライブに行ってきた

 ということで、今日はベストカーさんがやっているベストカーアンバサダーの
 イベントで、あの水野和敏さんのトークライブが開催され、それに応募したら
 当選しましたので音羽の講談社まで行って来ました。

 リスペクトする水野さんから直に話を聞くのは初めてなので、どんな話になるか
 楽しみですね。会場は講談社の一室で行われましたが、約50名ぐらいでしょうか、
 会場は満員でした。みなさん楽しみにしていたようです。

 水野さん登場して早速トークライブが始まりました。

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 話し始めたら止まらない水野さんw。すでに様々な講演や記事で語られていたような
 GT-Rの開発に関する話や、話題の日産退社後台湾メーカーに入った理由などが
 メインで語られました。それでも直に聞くと話しに引き込まれメモを取る手も
 止まってしまい、肝心なことをメモしていないような状態で、どう内容を書こうか
 困ってしまいましたがw、そんな中でも印象的だったことをいくつかご紹介。

 まずは、なぜドイツ車は優秀なのか。メーカーのクルマづくりに対する考え方が
 違うことももちろんですが、大きいのはやはり開発環境の違いです。速度制限を
 考えずに走るのが当たり前なら、当然それに合うようにクルマをつくることに
 なりますし、アウトバーンだけではなく、アウトバーンに向かう道でも120km/hで
 平気で走ってしまうような環境にも合わせるようになります。

 こういった環境の中をクルマの開発エンジニアも毎日走って通勤していれば、
 その感覚で開発をするのが当たり前。満員電車に揺られて出社したり制限速度内で
 走るような経験しかできない日本の開発者では、クルマづくりが違ってしまうのは
 当たり前と。こういった速度域が生活に密着した道を毎日走って開発するのと、
 道交法や労働基準法などによって様々に縛られた日本の環境では、残念ながら
 なかなか追いつけないようです。

 こういった環境面が大きい一方で、やはり会社として何のためにクルマをつくるのか、
 という根本的な部分での違いも大きいと。水野さんは、自動車って何と聞かれたら、
 それは「自由」だと仰ってました。他の交通機関と違い、思い立った時にいつでも
 どこでも行けるのがクルマであると。その自由であるがために様々な法律や条件に
 開発が縛られることも多いです。用途や規格、環境、安全、品質、などなど。

 これらは当然必要条件として当たり前のことですが、そこまでしか行けないのか、
 それとも、自由だからこそ、時間や空間、場所、感性、など、自由の幅に制限を
 持たせずに、いかにユーザーにとってそのクルマを持つ意味があるのかという
 メッセージを送ることができるか、ではクルマづくりが違うのは当たり前だとも
 仰ってました。

 確かにそうですよねぇ。自由だからこそ、つくり手の想像力やセンスが問われ、
 それを必要条件をクリアするところまでしか行かないとしたら、自分で勝手に
 制限を加えて想像力を発揮することを自ら放棄してしまっているのと一緒です。
 これじゃあいいクルマなんてできないでしょ! と言われればその通りですなぁ。

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 さらに、この世の中に真実は2つしかないと。それは時間と質量だそうです。
 宇宙のビッグバン以来、この時間と質量だけが真実を語っていると。ローテクな
 私には難しい・・・w。特に時間軸で考えると、今現在からすると過去と未来しか
 ないわけで、クルマづくりでは当たり前のように行っているシミュレーションや
 ベンチマークの利用などは過去に起こったことを基に行わることであり、
 なぜそうなるかというと、過去の例を基にすれば失敗することがないからだと。
 失敗しないための管理と統制、それに基づく改良では、唯一無二な提案なんて
 できずに新たなものは生まれないと。

 未来に向けてのクルマ開発は失敗は当たり前で、失敗を恐れずに挑戦するからこそ
 新たな想像力が発揮でき、唯一無二な商品ができる。そういったことを実施していく
 ためには少人数の精鋭部隊でチームを作り、その中でPDCAを回すことによって
 無から有を生み出し、魅力的な商品へと昇華していくそうです。

 この仕組みが今の日本では出来ていないのが欧州に勝てない理由のひとつです。
 なぜGT-Rという欧州のメーカーもビックリするようなクルマができたかというと、
 水野さんが全権を握り水野さん流の質量の本質を見極めた真実の追求をチームで
 実践していったからこそだそうです。そう言われると、今の日本メーカーには
 かなりのハードルのように見えますよねぇ。

 欧州では東西冷戦が終わった後、東側の優秀な人間が安い賃金で大量に西側に
 流れ込み、欧州のメーカーは優秀な人材を安く手に入れることによってより良い
 クルマを安くつくることができるようになり、メーカーの力がさらに上がった
 そうです。それに比べると日本は優秀な人材がどんどん海外へ流出するという
 逆転現象により、競争力が圧倒的に落ちてしまった。それをなんとかしないと
 ほんとうに日本が沈んでしまう。台湾へ行った理由はまさにそこにあるそうです。

 水野さんは、「自分の仕事は新しい開発圏を作ることだ。だから台湾なんだ」と
 仰ってました。台湾は東欧のように非常に優秀な人材があり、日本よりも安く
 優秀な労働力を得ることができるそうです。日本は高度で先進的な世界規模の
 技術を持っているにもかかわらず、技術者不足やコストダウンの要請によって、
 現場が疲弊していると。それを台湾の世界トップレベルのIT技術力と人的資源、
 安いインフラによって補って協調していけば、欧州にも勝る開発圏を作ることが
 できる。それが水野さんが目指すところだそうです。

 水野さんが入った華創車電では3年後には1.6リッターから2リッター級のCセグや
 Dセグで、欧州と同格のクルマをぶち抜くことを目指してるそうです。GT-Rが
 2年半で開発されたことを考えると、3年あればエンジンも車体も全くのオリジナル
 を開発することも可能でしょう。さらに開発された車体は日本メーカーにも
 どんどん出していくそうです。それによって日本メーカーもさらに競争力の高い
 クルマの開発ができるようになれば、まさに新たな開発圏が欧州を一蹴することも
 夢ではありません。

 あの水野さんならこれは夢でもなんでもなく、すぐそこにある現実であると
 思えますね。3年後に台湾からどんな凄いクルマが出てくるかほんとに楽しみです。

 最後に会場からの質疑応答では、やはり出ましたGT-Rって重くないですか質問w。

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 これも様々なところで話がされてますが、クルマには最適な重量があり、
 GT-Rが300km/hで走ってさらに0-100km/hを2.7秒で、ニュルを7分30秒を切る
 ような走りを一般のクルマとして実現するには1700kgという重量が必要ですと。
 4輪をどんな状況でもいかに路面に接地させるか、それができれば300km/hでも
 安心して走れるわけで、そのためには最適重量が決まってるということです。
 ロータス・エランにはエランに最適な重量が、GT-RにはGT-Rに最適な重量が
 あるので、なんでもかんでも軽ければいいわけではないのは当然ですよ、と。


 という感じで、2時間弱のトークライブはあっという間に過ぎていきました。
 終了後に参加者のみなさんと記念撮影を。さらに希望者はそれぞれ写真を撮って
 もらっていました。

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 最後に水野さんは、「クルマから夢やシーンを取っちゃったらしょうがないでしょ」
 とも仰ってました。未来へ向けて挑戦するからこそ、そのクルマには夢があり、
 さらに乗り手はそのクルマで走っているシーンに期待を膨らますわけで、
 そうならなかったらクルマつくる意味はない。みんなリッター○○kmで走ります、
 といったクルマに乗ってればいいんじゃないのと。そんなクルマばかりじゃあ
 つまらないですよね。そんなつまらないクルマじゃ欧州には勝てないですね。

 しかし、軽についてはすばらしいと太鼓判を押してました。あのサイズで価格で
 あの走りと空間を実現できるなんて欧州には絶対できないと。なんで軽を世界に
 出していかないのか疑問だよと仰ってました。確かにそうですよね。個人的には
 軽の規格を広げたほうがいいというのは何度も言ってますが、660ccよりは
 800ccや1リッター以下まで広げれば、欧州の1~1.2リッター級を圧倒できると
 思うんですけどね。

 水野さんは天才だと思いますが、マツダの人見さんと同じく基本に忠実なだけ
 なんでしょう。時間や質量はまさにすべての基本です。その基本をちゃんと
 考えれば答えは出てくると。これこそが水野さんのいう本質ではないかと思います。

 今後もこういった方の話が聞ける機会をベストカーさんにはどんどん作っていって
 ほしいですね。クルマ雑誌で言えば、メーカーとユーザーの間を取り持つのが
 メディアの仕事であるとするならば、まさにそれこそ媒体であり、手段は雑誌に
 留まらず、あらゆることを媒体としていって、さらなる日本のクルマ文化創世に
 役立つようなメディアになってもらえるといいですね。

 次回もこういった機会があれば是非参加したいと思います。
 今回はすばらしい機会をいただきベストカーさんありがとうございました。
 次回もよろしくお願いします。




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