やっぱ日産の水野和敏は凄過ぎる! | Italiaspeedのロックな毎日

やっぱ日産の水野和敏は凄過ぎる!

 ということで、昨日はトヨタ86デビューの話で持ちきりでしたね。
 その話題は別途東京モーターショーの時にでもするとして、
 昨日はもうひとつ興味深いイベントがありました。日産本社ギャラリーで
 行われたNISSAN GT-R2012年モデルの日産水野和敏さん公開講演会です。


 おそらくトヨタが27日に86発表を行うことに日産としてはGT-Rをぶつける
 ことでなんとか日産も話題にしてもらおう、ということを狙ったんだと
 思いますが、今のところレスポンスにもカービューにもCar Watchにも
 記事は出てないようです・・・。


 当日は行けなかったので、Ust配信を観てたんですが、これが面白い!
 いやー、やっぱ日産の水野和敏さんは天才なんですね。凄いですマジで。
 当初1時間半の予定が、話し始めたら止まらなくなって2時間を越える
 ことになっちゃいましたが、内容は非常に濃いものでした。


 クルマ好きはもちろん、日本のすべてのビジネスマン必見ですよ!


 その動画はこちらです。



Video streaming by Ustream


 詳しくは2時間もありますが動画を観ていただきたいのですが、
 いかにGT-Rが凄いというか、日本のクルマづくりやモノづくりの凄さを
 実感できます。私のようなクルマは好きですが、ローテクで機械に疎い
 者には目から鱗のような話ばかりでした。


 いくつかご紹介すると、GT-Rはラインで作ってるから安くできるんだ、
 みたいな話があるようですが、解釈はラインで作れるほど精度が高いと
 捉えるべき。欧州の高級スポーツカーをラインで作ったら止まってばかりで
 作れたもんじゃないそうです。GT-Rに比べてそれだけボディやパーツの
 精度がないらしいっす。だからラインでは作れないと。


 ラインで作れば当然安くなりますが、その分を部品の精度を上げることに
 使ってると。例えばショックアブソーバーは日本の規格はプラマイ10%が
 許容範囲で作られるそうですが、欧州は5%。しかしGT-Rはなんと0.1%の誤差
 範囲しか許されないそうです。それだけ過酷なテストをニュルでもやってる
 らしいです。そんなメーカーは世界広しと言えど日産だけ。


 モノコックをカーボンとアルミとスチールの3つを使って作るのは非常に
 難しいそうです。素材単体なら例えばカーボン単体で作るなら簡単にできる
 そうですが、違う素材を合わせてモノコックにするのは大変なんだそうで。
 それをやらないとコストも含めて作ることができないらしく、それを実現
 してるのもGT-Rだけ。その精度の高さがあるからラインで作れるんだと。


 ブレーキ性能を上げるために、ブレンボやAPに390パイのローターの製作を
 依頼したら、380パイまでしか作れない、と言われ、水野さんが自分で5分で
 設計図を描いて作らせたそうです。GT-Rを安全に止めるには390パイが
 必要だから、どうしても作らなければいけなかったと。


 GT-Rは1700kgもあって重いと言われるが、クルマには適正な重量というもの
 があることがジャーナリストも含めて分かってない人が多すぎる。F1カーは
 600kgの車体でもコーナリングでは1300kgものダウンフォースがないと曲がれ
 ないし、グループCカーも1300kgの車重に対し600kgのダウンフォースがないと
 曲がれない。つまり車体が1900kgないとあのスピードでは曲がれないのが
 レーシングカー。それと同じでGT-Rも1700kgないとあのスピードでは曲がれない
 ことが分からずに、クルマは軽いほうがいいなんてナンセンス。


 GT-Rの基準車と軽量化したトラックパックでは基準車のほうが0-100km/hは
 速いとか。車重分の荷重がちゃんとかからないとタイヤがちゃんとグリップ
 しないらしいです。さらに0-100km/hでタイム出すには、スタート時の
 タイヤ空転は1/4回転にしないといけないとか。1/4以上回転しちゃうと
 タイムが落ちるそうです。そこまでマメジメントできるなんて凄いっすねぇ。
 ちなみにこの2012年モデルの0-100km/hは2.8秒と公表されていますが、
 なんとこの数字にはまだマージンがあるそうです!
 来年になると2.8秒を切る数字が公表されるかも。凄過ぎです。


 車重バランスが50対50が理想、なんて言ってるのはナンセンス。止まった状態
 の車重バランスなんて意味はない。ブレーキ踏んで前のめりになったり、
 アクセル踏んでフロント荷重が少なくなったりしたら50対50に意味はないと。
 どんな状態でも4輪にしっかり荷重がかかってないと安全には走れないよと。
 そのためにサスペンションの左右非対称までやってるのがGT-R。


 とまぁ、こんな話が2時間ズーッと出てくるわけです。聞いてるだけでも
 非常に参考になる話ばかりなんですが、この話で水野さんが言いたかったことは
 GT-Rの凄さではなくて、世界トップクラスを狙ってはトップにはなれない。
 トップになるためには世界ブッチギリトップでないとダメなんだと。


 それが日本のモノづくりではできることを証明したのがGT-Rであり日産であり、
 日本の製造業そのものだと。そのためには社内や業界や国の基準や常識を考えて
 やっていてはダメ。その基準や常識を壊してこそ日本の製造業の未来はあると。


 今ではドイツをはじめ世界のメーカーの目標はGT-Rになってきてるそうです。
 どうやったらこんな凄いクルマが作れるのか、を連日ニュルのファクトリーに
 見学に来てるし、欧州の貴族や王室の人間までもがGT-Rに憧れてファクトリーを
 訪れて水野さんと記念写真を撮ってると。


 その昔、シルクロードを渡ってジパングの製品がヨーロッパの貴族や王室に
 持ち込まれ黄金の国ジパングという憧れのブランドになったように、
 今はそれをGT-Rが実現していると。欧州の名だたる人々の憧れのブランドに
 GT-Rがなってる事実があることを知っていただきたい。


 それもフーガやスカイラインを作っていた栃木工場が2年で実現したんだから
 みなさんの工場でも必ずできますよ、と。それが日本のモノづくりなんですよと。
 そのためには常識や基準をぶち壊して、お客様に感動を与えられることを目標に
 やっていかないとダメだ、ということなんですね。


 やはりそこまでできた水野さんが凄過ぎますね。これはなかなか実行できないっす。
 水野さんは走ってるクルマのエンジンの中でガソリンがどんな風に燃えているかが
 見えるそうです。ダンパーもオイルがどう動いてるか見えるそうです。ここまでの
 ことができるようにならないとブッチギリトップのクルマは作れないんだろうなぁ。


 こんなクルマづくりができるのはGT-Rだけなんでしょうねぇ。これをマーチとか
 他のクルマじゃできないんでしょうねぇ。それができるようになったら日産は
 欧州や韓国、中国のメーカーに負けないほんとの世界トップのメーカーになると
 思うんですが、それは難しいんだろうなぁ・・・。


 こんな努力の天才がいる日産はすばらしいですね。でも水野さんの今の悩みは、
 こんな技術や経験を今後どうやって伝承して社員を育てていくか、ということだ
 そうです。天才の言ってることは理解するだけでも大変ですし、それを教えると
 言っても教えられるものではないっすね。常識をどう破るかとか、エンジンの中で
 ガソリンがどう燃えているかがどうやったら見えるようになるか、を教えろと
 言ってもそんなことは教えることができません。職人ワザを盗め、といっても
 これは盗めないですね。天才なりの苦悩がここにありますなぁ・・・。


 ちょっと長くなっちゃいましたが、是非この講演はクルマ好きはもちろんのこと、
 日本のすべてのビジネスマンに見ていただきたいです。今後日本がどうやって
 進むべきか、がここにあるような気がします。是非ご覧くださいね!




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