電子制御式のシステムは、システムの異常が発生するとそのシステムの警告灯を点灯させるのが一般的です。
警告灯の電源は、メーター内の他の警告灯と共通になっていますので、警告灯を点灯・消灯させるのは、その警告灯を制御しているECUです。
警告灯を点灯させる方法は大きく分けて2種類あります。
警告灯の電源側ではない側(アース側)を、制御しているECU内でアースして点灯させるタイプと、アースすると消灯するタイプです。
タイプ1:ECUが警告灯のアース側をアースして点灯させるタイプ
回路は、上の図のように警告灯のアース側がECU内のTr(トランジスタ)に接続している。
警告灯を点灯させる場合は、ECU内の駆動回路からトランジスタをONさせる信号を出すと、警告灯のアース側がアースされるので点灯する。
トランジスタをONさせなければ、アース回路が成立しないので警告灯は消灯するといった単純な回路。
よってこのタイプの警告灯は、ECU自体の不良、ECUの電源やアースが不良だと、トランジスタをONさせる駆動信号が出ないので、警告灯は消灯したままになる。
また、このタイプはキーONで警告灯が点灯しないし、スキャンツールを接続しても接続できない。
逆にいえば、キーONで警告灯が点灯しな場合(球切れ、警告灯関連の配線不良は除く)は、ECU自体の不良、ECUの電源・アースの不良ということになる。
このタイプを使用しているシステムは多いが、どういうわけかABSとエアバッグは使われていない車が多い。ただし、ホンダのエンジンもこのタイプではない。(最近の車は不明)
また、最近の先進安全装置なども不明。
タイプ2:ECUが警告灯のアース側をOFFして点灯させるタイプ
このタイプは、ECUがランプのアース側をアースすることで警告灯を消灯させる仕組みがメーター内にある。
ECU内のTr1をON(アース)させることで、メーター内のTr2のB(ベース)端子をアースすることになり、Tr2がOFFして警告灯が消灯する。
アースしないと、Tr2のB(ベース)端子の電圧が上がるので、Tr2がONして警告灯が点灯するというもの。
よって、よってこのタイプの警告灯は、ECU自体の不良、ECUの電源やアースが不良だと、ECU内のTr1をONさせることができないので警告灯は点灯したままになる。
また、このタイプで、エンジン始動後に警告灯が点灯したままで、スキャンツールが通信できなかったり、手動のダイアグノーシスが点検出来ない場合は、ECU自体の不良、ECUの電源やアースが不良ということになる。
このタイプは、どういうわけかABSとエアバッグに使われている。
また、ホンダ車はエンジンの警告灯にもこのタイプが昔から使われている。
なぜ、ABSとエアバッグなのか?
あくまでも個人的な推理であるが、ABSやエアバッグは命に大きく関わるシムテムであるが、通常は作動していない。
よって、ECU系統の不具合があっても走行にはまったく関係ないし、不具合が発生していることが体感できない。
ただ、ECUが正常でセンサ等に不具合があった場合は警告灯を点灯させて、システムに異常があったことを知らせることが出来るが、警告灯にタイプ1を使っていると、ECU系に異常があった時は警告灯が点灯しない。
(キーON時の点灯が無いことで異常があったと判断できるが、ほとんどのユーザーは気がつかない)
仮にECUの電源ヒューズが切れていた場合、タイプ1だと警告とは点灯しない。
その状態で、警告灯は点灯していないにも関わらず、いざという時にABSやエアバッグが作動しなかったのではメーカーの責任問題にもなりかねない。
よって、ECU系に異常があった時には、コストはかかるがタイプ2を使って警告灯を点灯させているのではないかと思われる。
それに対して、エンジンや電動パワステは、仮にECU系に異常があっても、エンジンがかからないしパワステが効かないので、システムに異常があることは体感できるので、コストのかからないタイプ1を使っているのではないかと思う。
基本、この2つのタイプだが、これらと違うタイプもある。(タイプ3)
タイプ3:ECUが警告灯のアース側をONして点灯させるるが、ECU系に異常があっても点灯させることが可能なタイプ
このタイプは、タイプ1と同じように、警告灯のアース側をアースすることでランプが点灯するのだが、ECU自体の不良、ECUの電源やアースが不良の場合は、タイプ2と同じように点灯したままになるのである。
(その仕組みはタイプ2と同じ)
まとめると次の通り。
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警告灯の点灯の方法 |
ECU系が不良の場合の警告灯 |
タイプ1 |
ECUが警告灯のアース側をアース |
消 灯 |
タイプ2 |
ECUが警告灯のアース側をOFF |
点 灯 |
タイプ3 |
ECUが警告灯のアース側をアース |
点 灯 |
※これらの回路は実際の回路を単純化した等価回路です。
※ここに書いてあることが、ほぼ間違いではないと思っていますが、ここに書いている以外の方法もあるかもしれません。
※ここに書いていることは平成20年くらいまでの車であり、それ以降の車のシステムについては、どのタイプかはわかりません。