太閤記統一彫　春木旭町地車

2015年06月03日(水) 14時26分30秒

テーマ：◆だんじりレポ◆岸和田旧市春木編

2週前の日曜日。
晴天のもと、子どもだんじり体験のイベント中ではありましたが、大型地車を拝見させていただきました。

春木旭町。
言わずと知れた春木地区屈指の大型地車です。

その彫物はといいますと、
地車彫刻界の苦労人で功労者でもあります、淡路は「萬屋」こと松田正幸師。

自身、何度も曳行シーンを拝見してるのですが、なかなかじっくりと拝見したことがなく、
この日念願の地車見物をさせていただくことができました♪

では、早速どうぞ～。。

▲まずは前後の姿見です。
　背が高く、屋根幅が広い･･･そんな印象。
　幟には「太閤記統一彫」にふさわしい“千成瓢箪”が施されてます。

▲続いて平方向から。
　天野工務店さん特有の重厚感あふれる雰囲気。

▲組物は四手先九段、さらに“台輪”も入った主屋根の細工。
　扇垂木の優雅さが大きなだんじりを、一段と大きく見させます。

▲このボリューム感☆
　天野さん作事の地車ファンが多いのも納得。

▲主屋根の鬼板には「木瓜」の御紋。
　後屋根の鬼板には「橘」の御紋。
　さらに飛燕垂木には「旭」の丸文字。

▲菖蒲桁には桁隠しとして大きな千鳥。
　バネ2本で固定され、小刻みに動く細工です。

▲さぁ、主屋根の桝合を見てみましょう。
　正面「藤吉郎信長に仕える」
　平右「日吉丸と蜂須賀小六、矢矧橋の出会い」
　平左「大徳寺の法要」
　後面「馬蘭後立付一ノ谷兜」

　･･･後面は珍しい細工ですね♪

▲主屋根桝合い（二重桝合）の上段部分に注目。
　黒檀の桝合虹梁の上に、二手先の組物。
　組物の「斗」の部分にも黒檀。
　

▲新調当時の細工から、後に彫りかえられたという主屋根の「隅出す」。
　平方向より右前「桶狭間の合戦」、右後「五右衛門香炉取り」
　同じく左面の前「姉川の合戦」、左後「醍醐の花見」

▲中でも個人的に大好きな「桶狭間」をアップで。
　雰囲気ありますね～♪

▲木鼻もええ顔してましたよ♪

▲秀吉公は実写版さながらで、よう彫られてました。
　随所に見られる「松田正幸」さんの銘がいいですね。

▲勾欄、脇障子柱、脇障子竹の節、兜桁･･･
　黒檀がふんだんに用いられています。

　脇障子受けのコブシがやや小振りなのが天野製地車の特徴でもあります。

▲さて車板です。
　小屋虹梁と一体型ですね。
　主屋根正面には「本能寺」。
　後屋根には･･･ここにも「桶狭間」♪

▲さぁ、土呂幕三方を見てみましょう☆
　松田さん父子、渾身の作です。

　まずは正面「木下藤吉郎、初陣の功名」です。
　随所に淡路彫りの真骨頂！躍動感を垣間見ることができます。

▲続きまして右の平「前田犬千代、桶狭間において江間左京を討つ」の場面。
　ここにも桶狭間です♪♪♪

　太閤記ファンにはたまりませんね～♪

▲そして左の平は、おなじみ「秀吉本陣。佐久間の乱入」です。
　鬼玄蕃のイカツイ顔つきとは対照的に、纏から顔を出す雑兵に注目です。

▲梃子掛け。
　天野さんで新調された地車に同じようなタイプがありますね。。。

▲見送りはおなじみ「賤ヶ岳」です！！
　
　淡路　松田正幸　父子
　岸和田木下賢治一門
　
　岸和田市　天野工務店　とありました。

▲見送り内の馬乗りです。

▲見送り天蓋には柴田勝家の「丸に二つ雁金」と、秀吉の「千成瓢箪」の御紋。
　

●賤ヶ岳の戦い

天正11年（1583年）、近江国伊香郡（現：滋賀県長浜市）の賤ヶ岳付近で行われた羽柴秀吉（のちの豊臣秀吉）と柴田勝家との戦いである。織田勢力を二分する激しい戦いとなり、秀吉はこの戦いに勝利することによって織田信長の作り上げた権力と体制の継承者となることを決定づけた。

ウィキペディアより引用

▲幟は唐獅子でした。



◆春木旭町地車紹介◆

　製作：平成３年～
　　　　平成４年完全完成

　大工：天野工務店
　彫刻：松田正幸師（父子で合作）、木下賢治師（一門）

　主な彫物：「太閤記」の統一彫り

　主屋根車板：正面「本能寺の変」
　主屋根枡合：正面「藤吉郎信長に仕える」
　　　　　　　平右「日吉丸と蜂須賀小六、矢矧橋の出会い」
　　　　　　　平左「大徳寺の法要」
　　　　　　　後面「馬蘭後立付一ノ谷兜」

　後屋根車板：「桶狭間の戦い」
　後屋根枡合：正面「清洲会議」
　　　　　　　平右「千利休、茶会の場」
　　　　　　　平左「秀吉の関白宣言」

　松　良：右「朝鮮水軍と日本軍の合戦」
　　　　　左「加藤清正の虎退治」

　土呂幕：正面「木下藤吉郎、初陣の功名」
　　　　　平右「前田犬千代、桶狭間において江間左京を討つ」
　　　　　平左「秀吉本陣、佐久間乱入」

　見送り：「賤ヶ岳の合戦」