弁護士の先生の一言で、民事訴訟法コンメンタールを読んでいる。
基本法コンメンタール民事訴訟法1 第三版追補版
http://www.nippyo.co.jp/book/5839.html
俗に、手続法と言われる分野ではあるが、結構奥が深い。
(まあ訴訟法だから当たり前か・・)
社会保険労務士だから裁判は関係ないのかもしれないが、そういうわけにはいかない動きがある。
今国会で社会保険労務士法が改正され、裁判所において、弁護士である訴訟代理人とともに補佐人として出頭して陳述できるようになるかもしれないのだ。
(全国社会保険労務士会連合会のホームページには掲載されていないが、会員向けの冊子である「月刊社労士平成26年5月号 」)に掲載されている。)
今国会も会期末まで1ヶ月を切ったので法改正が実現するか流動的だが、成立すれば、補佐人として業務を行う場合も出てくるのだろう。
ちなみに、民事訴訟法の補佐人に関する条文は以下のとおりである。
民事訴訟法
(補佐人)
第六十条 当事者又は訴訟代理人は、裁判所の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
3 補佐人の陳述は、当事者又は訴訟代理人が直ちに取り消し、又は更正しないときは、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。
上記条文からは、裁判所の許可があれば法改正によらなくても出頭、陳述できると解釈できるが、法改正により許可がなくてもよくなるわけだ。
すでに税理士については、補佐人制度が創設されている。
税理士法
第二条の二 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。、
おそらく社会保険労務士法改正の場合でも上記を同じような条文になると推測される。
ただ、上記の「租税に関する事項」というのは、ほとんど税務訴訟だと思われるが、社会保険労務士業務となると実に幅が広い(労務管理、労災、雇用保険、社会保険などだが、先日とある弁護士の先生からは、「相当社労士の先生方が補佐人になる事件があると思いますよ。」と言われた。
労使間紛争においては、会社の顧問社会保険労務士の方が弁護士より実情を知っている場合もあるし、一般論として、雇用保険、社会保険分野は社会保険労務士の方が詳しい。
雇用保険や社会保険に関する裁判例を見るに、社会保険労務士が相談に応じていれば、訴訟にならなかった、あるいは依頼人にとってよい結果が得られたのではないかというケースも見受けられる。(逆に早めに弁護士に相談しておいた方がよかった事案もあるのだろうが・・)
ただ、理論はもちろん訴訟実務に詳しくなければ、弁護士の先生に迷惑をかける可能性があるので、今後社労士は訴訟に関する知識も身につける必要が出てくるだろう。
社会保険労務士の業務拡大にあたっては、いろいろ反対する人がいるものよく聞くが、依頼人の利益のために社会保険労務士として多くの分野で活躍できるようにするのは結果的には国民の利益になるのではないかと考える。
話は脱線したが、基本法コンメンタール民事訴訟法は、3巻あるので、全部読むのはまだまだ時間がかかりそうである。今後役に立つと考え、じっくり読むとしよう。
基本法コンメンタール民事訴訟法2 第三版追補版
http://www.nippyo.co.jp/book/5840.html
基本法コンメンタール民事訴訟法3 第三版追補版
http://www.nippyo.co.jp/book/5841.html