一念岩をも通す・・・
ケータイWatchの記事に、 日本通信、1GB290円/月~の新料金プランを提供開始――上限ありの従量制で使った分だけの料金プラン てのがありました。
日本通信は27日、1GB290円/月~利用できる料金プラン「合理的シンプル290」を発表、提供開始したそうです。記事によると・・・
「合理的シンプル290」は月額基本料290円で、データ容量1GBがついた料金プランで、音声通話も利用できる。データ通信は従量課金で1GBあたり+220円で利用できる。
データ容量については、月々の上限を設定できる(初期設定は10GB)。1GB~100GBの間で1GB単位で上限設定でき、たとえば5GBに設定した場合、当月の利用データ量が4GBだった場合4GB分の料金で済むかたちとなる。
だそうです。日本通信(以下ポンツー)が、MVNO史上初となるであろう、格安音声通信SIMを提供しました。
音声通信SIMで月額290円は間違いなく最安です。
プランの詳細は記事に譲りますが、なぜポンツーがここまで音声通信SIMを安く出来たのかを中の人なりに考察してみたいと思います。
まず、MVNOは音声通信SIMを提供する場合にはMNO(キャリア)から「音声卸料金」で卸して貰う必要があります。この「音声卸料金」の料金については、ドコモの場合だと 基本料666円、通話料14円/30秒 が2011年に設定されていました。これは、 モバイル市場の競争環境に関する研究会中間報告書(案)に対する意見募集の結果及び中間報告書の公表(平成31年4月23日) という総務省が公表しているデータからも明らかです。
つまり、MVNOは音声SIMを提供する場合は、最低限「音声卸料金」の基本料666円をドコモに払わなければならないため、それ以下の音声SIMの提供はありえませんでした。これがMVNOの音声SIMの料金が高止まりしていた要因の一つであることは疑いようのない事実です。
では、今回なぜポンツーがこの660円以下の料金で音声SIMの提供が可能になったのかというと、日本通信がドコモに対しての音声通話サービスに係る回線卸料金(回線レンタル料)に関し、電気通信事業法の規定に基づき、2019年11月15日に総務大臣に対して裁定を申請したからです。
本件については、 同じく総務省が公開している モバイル音声卸料金の見直しについて に記載されています。これによると、2020年6月30日付けにて 音声通話サービスに係る回線卸料金を、適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額で設定する。 との総務大臣裁定が下っています。
これによりポンツーはドコモに対して、音声卸料金の協議を求めたのですがその協議は一旦は不調に終わっています。これは本ブログの 日本通信とドコモとの音声卸料金協議が不調に終わったそうです・・・ とのエントリーでもご紹介していました。
そして時は流れ、本日、ポンツーが上記のプランの提供に至ったということは、ドコモとの音声卸料金の協議がまとまったことに他ならないでしょう。
つまり、ポンツーとドコモの協議の中で、従来の「音声卸料金」の基本料666円が限りなく無料に近づいたか、それに準ずる料金になったと見るべきでしょう。でなければ、1GBの音声SIMで月額290円はありえません。
日本通信のプレスリリースを見る限り、「データ通信と音声通話の両方を携帯キャリアの原価ベースで調達できるようになった」との記載があることからも、それはほぼ決定的です。
これによりポンツーの三田会長の悲願達成と相成るわけですが、当然、他のMVNOへも同様の料金が波及することは必至であり、他のMVNOの追随にも期待したいところです。