晴雲秋月第10話「伊勢守、苦渋の決断」

■2021/10/20（水）晴雲秋月第10話「伊勢守、苦渋の決断」

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辛丑　二黒大安　晴

まずは１曲。

日韓合作テレビドラマ「赤と黒（悪い男）」主題歌（日本のみ）・ラムジで「好きだから」

松野伊勢守☃️ジェイド❄️💜✝️🐈‍⬛@matsuno_QB2010
俺の人生を平気で踏みにじったやつらを決して許さない。何もかもすべてやつらから奪い取ってやる。必ずこの手で。（日韓合作ドラマ「赤と黒（悪い男）」より）
2021年10月18日 22:38

人に聞く。

十月十九日

酉の刻（午後６時頃）、勢州（松野伊勢守）、下総中納言と細川右京大夫に早飛脚でも間に合わぬ、とテレックスを打つ。

恐れながら申し上げます。私は、文月廿七日の契約文書を完全履行したいと思い、その機会をうかがってまいりましたが、今般ようやく正当な理由ができたので、対象者を遠ざけることを決意致しました。

これから先のことは、あなたさまたちが、お決めになることでございますし、私はいかなる決定にも異議を申し立てず、命令に従う所存であります。

2021年10月19日

謹上下総中納言様　細川右京大夫様

伊勢守拝

亥の刻（午後10時頃）。朝議緊急招集。伊東日向権守ならびに矢島伊豆守の辞官納地、および治罰綸旨が慌ただしく決定される。

伊東前日向権守ならびに矢島前伊豆守、本年２月当時の関白太政大臣ガースーの命令に背き、緊急事態宣言中にムサシノの国からエドの国を経て彩の国へ私用で行くという、１国のみならず２国の国境をまたぐ暴挙をあえてなし、他者顧みず忖度なく、甚だ人倫の紀綱を乱す。あえてこれを放置するなら、白龍は水を失い、人は蝙蝠の刺身を食べ、黒い羊は牛の腸を喰らう。猿や犬が英雄を称し、流星が野外に飛び、鐘や太鼓が国中に響き、大地は荒れ果てるであろう。しかれば速やかに軍旅を発し、仇讐を報ずべし。天気所候也、この旨を以って申し入れしめ給うべし。よって執達件の如し。

十月十九日　左少弁秀俊

謹上　

畿内山陽東海都督府将軍殿（足利万菊丸）

検校兵庫将軍殿（牧野右少弁兼上総介）

左衛門権佐兼検非違使殿（九重廷尉）

十月廿日

卯の刻（午前６時頃）、都督将軍足利万菊丸（三歳）を胸に抱いた松野伊勢守（右兵衛権佐兼検校兵庫軍監）が、都督副将伏見民部卿、都督参謀武上大学、検校兵庫将軍牧野右少弁兼上総介、検校兵庫副将嶋崎安芸守、および検非違使九重左衛門権佐を前に次のように演説した。

皆の者、心をひとつにしてよくお聞きなさい。これは余の遺言であり都督将軍様のご意思であらせられる。

前尾張守殿の恩は山よりも高く海よりも深い。他界した者の無念を晴らすのは生き残った者の義務である。名を惜しむ勇者は旧恩に報ずるべく立ち上がるべし。ただし、あちら側に付きたいと思う者はこの場で申し出なさい。以上。

この言葉に皆奮い立ち、特に任命後半年間、仕事がなく、年齢的に焦りの色があった伏見民部卿（七十歳）は感涙にむせぶと云々。