次にご紹介するのは…「変容と回帰~コロナ禍と文化~」というコラム
「ライブはその場で体験することにこそ価値がある
そんなエンタメ界の常識をコロナ禍は覆した」との書き出しで
ライブ運営会社代表への取材記事が掲載されているんだけど
それによれば…「年間約700本の公演のほぼ全てを配信している
地方のファンの需要はもちろん、複数のライブ日程が重なった場合や
終演後の口コミで評判を知って視聴する人に、録画配信も重宝されている」そうです
また「2.5次元」と呼ばれる、マンガやアニメ、ゲームといった
2次元作品の舞台化を手がける制作会社では、2015年から公演の生配信を開始
コロナ下では全公演配信をした演目もあったらしく
生配信とアーカイブを合わせた2024年の売り上げは、2020年の約1.3倍
収益も2020年を上回る黒字を確保し、事業の柱として力を入れている…とのことで
この制作会社社長は「劇場での体験が一番という核の部分はぶれていない」としつつ
「1万円以上のチケット代を払って劇場に来るのは、初めての人にはハードルが高い面もある
料金を抑えた配信は、そうした人にとってのお試しの役割も果たしているし
劇場に足を運んだファンの二度見三度見需要
介護や育児で劇場に行けない人の需要も掬い取っていると思う」
…と、それぞれ配信の意義について話されているんですが
一方で、コロナ下で急増した音楽ライブの配信は、感染症の収束に伴って縮小傾向にあり
この違いは、音楽ライブの配信では、様々なアングルからアーティストを捉えたり
会場全体を映したりするために必要なカメラの台数が多く、費用が高くなることと
配信を条件に支給された、コロナ下での公的補助金がなくなったという経済面に加え
元々、ライブに参加していた層にとって、配信はあくまでも代替手段であり
感染収束と共にライブ会場での「生」観覧に回帰する傾向が強まったために生じた結果と考えられるそうですが
甲斐さんもコロナ下では「背信行為(笑)」などとおっしゃいながら
ネットに動画をアップされたり、席数を減らしたライブの生配信をなさっていたものの
収束後は、コロナ禍以前と同様に、ツアー最終日の模様を収録という形に戻されましたよね?
ただ、チケット争奪が激しいアーティストの公演では、配信の併用も定着しているし
海外展開を目指すアーティストにとって、オンライン配信は有効な手段であり
コロナ禍で本格的に立ち上がったことは、大きな果実だった…と結ばれているんだけど
「ナマが一番♪」「参加することに意義がある」が信条の(笑)我が家の住人は
現場に「アップも楽しめる(笑)」モニターやスクリーンがあっても
「豆粒のような」甲斐さんを目で追ってしまう人だし(笑)
そもそも、当日は現場にいるため、生配信は観たことがないんじゃないかと…?(笑)
ちなみに…2020年2月26日、当時の安倍晋三首相が
イベントなどの主催者へ自粛要請を打ち出した…通称「演劇界の2・26事件」について
甲斐さんご贔屓の野田秀樹さんは「演劇人たちがどういう仕組みで食べているのか
それを知らない人たちが考えた要請だと思いました
僕たちは、公演期間中に集中して稼ぐ、いわゆる季節労働者です
だから、公演期間に劇場をしばらく閉鎖しろと言われたら、食べていけない
補償もなしに、簡単に『劇場を閉鎖しろ』なんておかしいという思いがありました
自粛要請には根拠もなかったので、状況を把握するために
コロナ禍前後での演劇関係者の収入の変化や
感染防止に不可欠な劇場内の換気状況を調べて
政府に補償を求める声を届けましたが、結果的に、海外に比べて、日本の補償は手薄な印象でした
文化というものがタダだと思っている人が多いのではないでしょうか
『好きでやってる人たちに、補償なんてしなくていい』という声も多かった
文化は簡単に利益が得られるものではありませんが
そこがしっかりしていないと色んなものが崩れてしまう。文化は『共同体の礎』なんです」
…と話されていたんですが、東日本大震災が起きた時に
甲斐さんが「まずは命を守ること…音楽なんて二の次三の次」
…とおっしゃったくらい危機的な状況のあと
少し日常を感じられるようになると、自然と音楽を求める気持ちが涌いて来る
…というのは、我が家も阪神淡路大震災後に経験したし
実際に「見上げてごらん、夜の星を」と
「そして、神戸」がリバイバルヒットしたりもしましたし
「こんな非常時に文化やエンタメなんて…」と、その火を完全に消してしまったら
平時に戻った時には、もう二度と灯すことが出来なかったんじゃないかと…?
続いては…「音楽ライブやミュージカルなどの生中継や収録の現場で
スイッチャーとして働いて30年になります」と、おっしゃる
WOWOWのエグゼクティブ・ディレクターの方へのインタビュー記事です
…といっても、甲斐さんや甲斐バンドの担当はなさってないみたいだけど…(苦笑)
ともあれ…「複数のカメラが捉える映像の内
今どれを視聴者に見せるのかを選び、映像を切り替えていく仕事です
最近のライブでは、設置するカメラの数は20台を超えます
私は、会場外に停めた中継車内に陣取り
全ての映像が同時に映し出されるモニターとにらめっこ状態になります
今この瞬間に視聴者が見たいのはどのカメラが撮っている映像なのか、それを瞬時に判断し
カメラごとに割り振っている手元のボタンを押して画面を切り替えていきます
パソコンのキーボードをずっと叩いているような感じですね
視聴者が見ていてフラストレーションを感じないとすれば
それはスイッチャーがタイミング良く視聴者の意に沿って誘導できている証拠です
少しでもタイミングがズレると、見ている人に違和感を与えてしまう
視聴者が自然に感じる流れを作るのが、うまいスイッチングです
そのためにも重要なのは、なんと言っても事前準備ですね
担当するアーティストの過去のライブ映像や音源
歌詞カードなどは必ず入手して、何度も入念にチェックします
どこでどんな風に盛り上がる曲なのか
アーティストが何を訴えたい公演なのか
スイッチャーの感性次第で、視聴者が抱く印象は大きく変わるので
多くの情報をインプットした上で本番に臨みます」…と話されてますが
奥さんが参加した、甲斐さんご出演の歌番組の公開収録で
ケーブル捌きのアシスタントの方が付いているようなキャスター付きのテレビカメラの脇に
その日演奏される楽曲1曲1曲の歌詞と、各センテンスやワードごとに
カメラの位置や角度を指示する書き込みがされた台本みたいなものが置かれていて
「こんなに細かく動くんだ!?」と驚いていたことを思い出しました(笑)
それはともかく…「ただ、スイッチングには正解がありません
たとえば舞台で主役の表情が良いとアップの映像を使いたくなりますが
その瞬間の脇役のリアクションにも芝居としての意味はある。バランスが難しいんですね
スイッチャーが100人いれば100通りのやり方があります
それだけに、ご指名をいただくと身が引き締まる思いです
反射神経が試される仕事ではありますが、年を重ねて視野が広がり
表現の世界の奥深さを実感しているところです」
…といった内容なんだけど、奥さんによれば
演劇の舞台を観る際に、席によっては主役の方の表情がハッキリ見えないこともあって
引きのカメラで捉えたように、脇役の皆さんのリアクションが見られるというか
テレビだと、往々にして、主役の方のアップになりがちなシーンでは
その場にいるはずの役の皆さんのたたずまいは窺えないのに対し
舞台だと、自然に全体を見渡すことが出来る…って
その場面ではセリフがない役者さん達が、アドリブっぽい動きをなさったり
ヒソヒソと耳打ちし合っては、クスクス笑っていらっしゃるのを
主役の方が、気になって思わず…という風に振り返られたり…が楽しいらしい(笑)
ただ、これが甲斐さんや甲斐バンドのライブ映像となると
「イヤイヤ!今は客席を映してる場合じゃないでしょ!」やら
「甲斐さんのアップが少なくね?」やらと文句タラタラ~(苦笑)
でも、甲斐さん立ち会いの下で?編集された映像を観る時には
甲斐さんが歌っておられる場面で、突然、甲斐さんの後ろ姿が捉えられたり
急にメンバーの方々の手元に切り替わったりすると
「ああ、ここの歌詞を間違えたんだっけ?(笑)」などと要らぬ詮索をしたりするので(笑)
生配信の録画映像だろうと、再放送の編集映像だろうと
結局は、心静かな観賞はムリなようです(笑)