本日 新幹線・交通対策特別委員会 並行在来線に未来はあるか… | 地方都市は死なず! 滝沢いっせい ブログ爽創通信  *09016693890*kpissey@rf6.so-net.ne.jp*

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上越市議会議員滝沢一成のブログです! 日々感じたこと、考えたことを、できるだけ素直に書いてゆきます。
滝沢一成のテーマは「雪」「老い」「貧困」、これらを追及します。

本日、上越市議会の「新幹線・交通対策特別委員会」が行われました。私もそのメンバーです。本日の議題は、「北陸新幹線開業にかかわる現状について」。そのなかで、新潟県並行在来線開業準備協議会経営委員会について説明がなされました。


新潟県並行在来線開業準備協議会経営委員会は、北陸新幹線の金沢開業時に経営分離される北陸本線直江津・富山県境間及び信越本線直江津・長野県境間における並行在来線の経営計画の策定、及び経営主体の設立準備を行うために設置され、211030日以来3回開催されています。


私は、実は、この新潟県並行在来線開業準備協議会経営委員会こそ、将来の並行在来線=新第三セクターのあり方を決める最も重要な組織だと睨んでいます。

ここでの決定=経営計画案が、ほぼそのまま新会社の経営方針となると考えるからです。



まず、この委員会の概要を、新潟県ホームページから抜粋します。

HPはこちら

http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1256587339218.html


1)新潟県並行在来線開業準備協議会 経営委員会の事業


(1)並行在来線の経営及び利用促進に関する調査研究

 (2)並行在来線の経営に関する計画の策定

 (3)並行在来線の利用促進及びこれに資する事項に関する計画の策定

 (4)経営主体の設立準備

 (5)その他、目的達成のために必要な事業


2)構成団体


 新潟県 上越市 糸魚川市 妙高市


3)経営委員会 委員名簿


【学識経験者、鉄道事業経験者、経済団体、利用者】

有沢 栄一 株式会社有沢製作所 相談役

大熊 孝夫 北越急行株式会社 代表取締役社長

国領 保則 株式会社第四銀行 取締役兼執行役員 上越ブロック営業本部長兼高田営業部長

小山 一弘 パナソニック株式会社 セミコンダクター社生産本部 新井工場長

嶋津 忠裕 前肥薩おれんじ鉄道株式会社 代表取締役社長

田中 辰雄 慶應義塾大学経済学部 准教授 委員長

田中 弘邦 社団法人新潟県商工会議所連合会 副会頭 上越商工会議所 会頭

村山 政文 新潟経済同友会 幹事 株式会社村山土建 代表取締役社長

渡辺 均 電気化学工業株式会社 上席執行役員青海工場長

【行政】

坂井 康一 新潟県交通政策局長

稲荷 善之 上越市副市長

本間 政一 糸魚川市副市長

引場 良男 妙高市副市長

合計13人



上越市からは、稲荷副市長、有沢栄一氏、田中弘邦氏他の皆さんが参画。注目は、大熊孝夫北越急行株式会社代表取締役社長と、嶋津忠裕前肥薩おれんじ鉄道株式会社代表取締役社長でしょう。第三セクターで唯一といっていい黒字路線のほくほく線、様々な工夫で奮闘しているおれんじ鉄道、それらのトップお二人が加わっていることは大きな力となっていると考えられます。



つぎに、いわゆる並行在来線問題を整理します。


1)直江津~長野県境・直江津~富山県境の並行在来線の経営見通しは、30年間で約386億円の公的負担が見込まれ、非常に厳しいと予想される。


2)しかし、10年前に、各地方自治体が「責任を持ってその経営にあたる」と国とJRに約束してしまっている。従って、いま湧きあがっているJRによる経営の継続説は、まずあり得ないと考えられる。JRは明確に否定。


)自民党政権・与党時申し合わせスキームの見直しが、民主党政権によって為されるものかどうか。


4)地方負担の軽減、具体的には「初期投資への起債充当」「交付税措置」「貨物使用料に関する調整制度の充実」がどこまで進められるか。


5)JRの協力をどこまで取り付けられるか。「JR資産の買い取り額の軽減」「指令所や車両基地などJR施設利用時の費用軽減・当面の無償化」「相互乗り入れ契約での優遇措置」「人的協力・技術的協力」その他


5)県土分断の懸念。新潟地域~富山地域の直通列車廃止の懸念が大きい。そこを走る特急や急行列車等が残るかどうか。


)北越急行の経営の過激な悪化。今ははくたかで黒字を達成しているが、はくたか廃止で約9割売り上げが落ちると予想されている。


7)新幹線仮称上越駅の在来線線路の移設問題。経営主体が定まらないこともあり、何ら解決策が見いだされていない。つい先日、村山市長さえ、「どうしたらよいか分からない」的発言をしていたのには唖然。このまま新幹線ホームと在来線駅舎が120メートル離れたかたちにならないとは思うが…まさか…


8)どういう路線をどういう列車が走るのか。

 ①単線か、複線か。ご存知の通り北陸線は複線だが、一時期、単線でいいのではないかという議論もあったらしい。なぜなら「単線を買った方が乱暴に言えば半額で済む」。もう一本の線路はJRのままにするわけだ。ただイニシャルコストは確かに安いが、儲けられる貨物輸送収入が無くなるし、すれ違いなど様々不便なこともあるためか、いまは「現状維持」に落ち着いた模様。


 ②電車かディーゼルか。現況は全車両が電車である。ディーゼル化というと、ちょっと退化するようで抵抗があるが、「JRから電設関係を買い取らなくて済む」※文学的表現だが、めちゃくちゃ高いらしい「1車輛だけの走行が可能など使い勝手がいい」※つまり運行経費が安い「交直デッドセクションの制約を受けない」※糸魚川と梶屋敷の間に交流と直流の境目があるというややこしい状態が大問題なのだがそれを無視できるなど、メリットもいろいろある。

しかし今は車両がないから、新造するしかない。またディーゼル機関車を運転できる機関士も少ないらしい。どうやら電化のままという線が濃いらしいのだが、ディーゼルも魅力的だ。実際経営委員会でも「その可能性は、将来の会社が判断する」と、含みを持たせている。


 ③指令室、車両基地を新たにつくる必要がある。現在JRの指令室は、新潟と金沢にあり、また車両基地の大規模なものは長野にある。つまり、この並行在来線区内にはない!直江津あたりに新しく作るか、JRに頭を下げてしばらく暫定的に間借りするしかないだろう。いずれにしても高くつく。


 ④新幹線仮称上越駅とのアクセス性。すぐにつながらないと、東京~上越間の時間短縮の意味が無くなる。それは直江津以西の名立、犀潟以東の東頸域等も含めてである。


ざっと書いただけでも問題は山積みです。これらを上越市が主導的に進められればいいのですが、今日の担当部長の答弁で多用されたのは、「将来の会社が決めること」という言葉。なんとなく他人ごとなのです。


その将来の会社の経営方針を決めるのがこの委員会。そこにはよく見ると「稲荷副市長」が入っているわけで、上越市の戦略を、この経営委員会の指針に浸透させていくいのは、そう難しいことではないのでは?


稲荷さんは前副市長の中川さんから引き継ぎ、直近の2月2日がデビューだったわけで、まだまだ顔見世興行的な出席だったと想像されるのですが、どうかこれからどんどん上越市の主張を委員会でしていただきたい。新幹線が来てよかったと市民が思うのは、第一に今より便利に使えること。第二に東京や金沢との行き帰りが楽になること。そして既存の街がにぎわうことです。最低限これらの実感を市民の皆さんが抱けるよう頑張ってください。電車でもディーゼルでもいいですから。


昨年の10月に経営委員会が発足したことから予想するに、任期はたぶん一年なので、この10月頃までには「経営計画案」が示されるでしょう。そうなると、23年度初頭くらいまでには、経営主体が設立されると考えられます。

その時、善し!と膝を打つくらいの将来像を示していただだきたいものです。