今日はオフ。
好きな詩の掲載でご容赦。犀星は金沢の人、この詩はどこで書いたのか。
越後の山が「見ゆる」ところ・・・
寂しき春
したたり止まぬ日のひかり
うつうつまはる水ぐるま
あをぞらに
越後の山も見ゆるぞ
さびしいぞ
一日もの言はず
野にいでてあゆめば
菜種のはなは波をつくりて
いまははや
しんにさびしいぞ
小景異情
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
犀星という筆名は、故郷金沢の犀川の畔に生まれ育ったことからと言われる。犀星はその川と山々の景色とを愛しながら、ほとんど故郷に戻ることなく、その写真を書斎に飾っていたという。
越後の山の向こうに犀星の古里の山がうすぼんやり見える。
私は今、その越後にいる。「遠くにありて思は」ずに帰ってきた、私の古里にいる。
ひとりで。